
坂本慎太郎
さかもと・しんたろう
坂本慎太郎の記事一覧
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
公式X【@bucomi】
まだEC(電子商取引)という言葉が一般的でなかった1993年に個人創業。2015年には海外取引の越境ECも開始した
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
日々生活をしていても気づきづらいが、われわれがモノを買う際、そのほとんどは卸を通している。大企業ならまだしも、中小の事業者はどう取引しているんだろう? そんな疑問から銘柄を探した!
助手 この前、知り合いの雑貨店の人と話していたら、「売るより仕入れのほうが大変だ」ってボヤいてたんです。展示会に行く手間はかかるし、問屋と新しく付き合うにも信用の話がある。しかも商品を受け取った後に代金を後から精算する掛け払いだと、請求書の確認や後日の入金だのが面倒くさいって。ネット通販の時代なのに、会社同士のやりとりって意外とアナログなんですね。
坂本 従来型の仕入れをやっているとそうなるね。もちろん、その面倒くささを解消するサービスもあります。確か、その先駆けはラクーンHDの『スーパーデリバリー』だったかな。アパレルや雑貨を中心に、メーカーや卸と小売店・飲食店・美容室といった事業者をつなぐ卸・仕入れサイトです。
助手 ネット上の問屋街みたいな感じですか。それなら後発の企業でもつくれそうですけど。
坂本 ECの機能だけならね。でも、スーパーデリバリーの本当の価値はそこじゃないんです。2002年に開始した老舗のサービスだけあって流通量が大きい。今では商品掲載数は200万点超、出展企業は3300社超、利用店舗数は3万8000店超まで成長しています。ECみたいなマッチング系のサービスは、参加者や流通量が増えるほど便利になるから、後発は追いつきにくい。
助手 確かにその規模があれば、買い手は「ここを見ればだいたいそろう」、売り手は「ここに出せば販路が広がる」となりそうですね。
坂本 そう。さらに、ただ商品を売買できるだけじゃなく、商品代金の回収までラクーン側が担当しているんです。売り手からすると、小さい店や初めての相手にも売りたいけど、与信の判断が難しかったり未払いリスクが怖い。小規模な買い手からすると、信用がなくてメーカーや卸が新規取引をしてくれない。そこをまとめて解決してるわけ。つまり、ただのマッチングより、もう一段深い業務に入り込むサービスと言える。
助手 となると、一度使い始めたらなかなか離れられませんね。
坂本 そのとおり。新規取引先の開拓や代金回収など、業務の中核をスーパーデリバリーに頼っているわけだから、使わないと業務に支障が出る。
助手 じゃあラクーンHDは、スーパーデリバリーが業務に根づいている強みを生かしてじわじわ成長していく感じですかね。堅実かもしれないけど、成長に時間がかかりそうで投資先としては地味かなぁ。
坂本 いや。利用者の増加ペースを超えて業績が伸びる可能性はあるよ。というのも同社は後払い決済サービスの「Paid」と、売り掛け保証サービスの「URIHO」も展開しているんです。スーパーデリバリーで集めた顧客に両サービスが乗れば、同じ顧客基盤でも売り上げを増やせる。
助手 両サービスに勝算はある?
坂本 ええ。例えばPaidは、ただ請求や回収を代行するだけではありません。審査の自動化を進めたことで、平均審査時間を2日から約12分まで短縮し、平均与信枠も42%引き上げています。URIHOも、保証対象先数が無制限という独特の設計です。顧客との接点から蓄積した取引データや審査ノウハウが、そのままサービスの使いやすさと競争力に変わっているんです。
助手 なるほど、独自データでいろんな稼ぎ方ができそうってことかぁ。
坂本 そう。株価は安くはないけど、成長の道筋が複数あるし、優待もいい。長期投資で面白いと思います。
今週の実験結果
商売の首根っこを押さえたインフラ的企業。長期投資ならアリかと