日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。天才ピアニストの伝説のライブ「ケルン・コンサート」開催の舞台裏!
『1975年のケルン・コンサート』
評点:★4点(5点満点)
伝説の「ザ・ケルン・コンサート」の驚愕の舞台裏
© Wolfgang Ennenbach / One Two Films
ジャンル映画は常に「お約束」の上に成り立つ。
いったい、18歳の少女が、由緒あるオペラ劇場を借りて天才ジャズ・ピアニストの完全即興ピアノソロ公演を企画し、それを実現させるというようなことが可能なのだろうか?
それが1975年1月24日金曜日、夜11時半から始まったキース・ジャレットのライブ、通称「ザ・ケルン・コンサート」である。
本作の主人公ヴェラ・ブランデスは実在の、そして今も存命中のドイツ人音楽プロデューサー。
高校時代からジャズ・クラブでの夜遊びを繰り返していたヴェラは、とあるきっかけで海外ジャズ・ミュージシャンのライブのプロモーションに関わるようになり、ゼロから手探りで音楽の夢を追い求める中、伝説の「ザ・ケルン・コンサート」を手掛けることになった。
障壁は数多い。権威ある歌劇場という高いハードル。気難しいミュージシャン。前金。さらにコンサート直前になって、キース・ジャレットが求めた97鍵の超高級ピアノが会場に用意されておらず、調律の狂った小型のピアノしかなかったことが判明する。
時代背景や即興音楽の特殊性などを随所に分かりやすく織り込みつつ、一夜の「奇跡」を可能にした意志と努力が爽やかな余韻を残すエキサイティングな一作だ。
STORY:ドイツ・ケルンに住む高校生ヴェラは来独ミュージシャンのツアーをブッキングするバイトを始める。ある日、アメリカの天才ピアニスト、キース・ジャレットの演奏を聴き衝撃を受け、キースのケルン公演開催を決意するが......
監督・脚本:イド・フルーク
出演:マラ・エムデ、ジョン・マガロほか
上映時間:116分
全国公開中
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