
当サイトでは当社の提携先等がお客様のニーズ等について調査・分析したり、お客様にお勧めの広告を表⽰する⽬的で Cookie を使⽤する場合があります。
詳しくはこちら
ミニ ジョンクーパーワークス 価格:540万円~ 八角形グリル全体が開口部となる迫力の顔つき。これはジョンクーパーワークスだけに与えられた特権
日本で愛され続けるミニ。その理由は、見た目のかわいさだけではない。今回試したのは、ラインナップの頂点に立つ高性能モデル。"走りがとんでもない"という評判は真実なのか。公道実走で、その正体に迫った。
* * *
かつて日本の輸入車市場には、揺るぎない〝絶対王者〟が存在した。フォルクスワーゲンのゴルフである。しかし、その王座を奪い取ったモデルがある。ドイツのプレミアムブランド・BMWが手がけるミニだ。
JAIA(日本自動車輸入組合)の統計によれば、2016年以降、車名別(モデル別)販売台数で10年連続首位をキープ。問答無用の〝新王者〟である。
もちろん、この快進撃には理由がある。ゴルフが基本的にハッチバック中心のラインナップであるのに対し、ミニは3ドア/5ドア、コンバーチブル、SUVのカントリーマン、EV専用モデルのエースマン、さらには高性能版のジョンクーパーワークスまで、実に多彩な顔ぶれをそろえる。販売台数が積み上がりやすい構造なのは否定できない。
ただ、それだけで10年もの首位君臨を説明するのは難しい。自動車ジャーナリストの桃田健史氏は、その背景をこう見ている。
「かつてゴルフは、日本人にとっての〝輸入車の入り口〟でした。技術的にも非常に完成度が高く、国産車を含めたベンチマーク的存在だった。しかし近年、日米欧韓中でコンパクトカーの技術が成熟し、ハードウエアの差はつきにくくなっています。そうした時代に勝敗を分けるのが、ブランド力なのです」
販売店関係者に取材すると、ミニの主な購入層は30代、40代。輸入車としては異例とも言える、女性比率の高さが特徴だという。都市部、特に首都圏で支持を集める理由として、小型で取り回しに優れたパッケージが、日本の道路事情と高い親和性を持つ点も大きい。
「現代は商品としての〝ストーリー性〟が重要になる時代。その成功例のひとつがミニでしょう。BMW傘下に入ったミニは、英国時代のヘリテージ(遺産や伝統)を現代的に再構築することに成功しました。その象徴が、レースの世界でミニを変貌させたジョン・クーパー氏の精神を受け継ぐジョンクーパーワークスなのです」
ボディサイズは全長3875mm×全幅1745mm×全高1455mm、車重は1350kg。狭い日本の道でも扱いやすいサイズ感
そのジョンクーパーワークスに、今回試乗した。顔はカワイイ。どこか穏やかな表情を保っているが、赤いブレーキキャリパーや控えめなエアロパーツが、静かに性能の高さを主張する。
エンジンを起動させ、公道へと走り出した瞬間、印象は一変。とんでもないクルマだった。ミニの走りの快楽を純度高く磨き上げた、まさに〝超高性能〟モデル!
コーナーが迫る。ステアリングにわずかな入力を与えるだけで、車体は鮮やかに向きを変える。いわゆる〝ゴーカート・フィーリング〟とは、この瞬間のためにある言葉だろう。
ワンテンポ遅れて動くような曖昧さは一切ない。ショートホイールベースならではの凝縮感とともに、クルマは路面をつかみ、狙ったラインへ吸い込まれていく。
コックピット中央には象徴的な円形センターディスプレーを配置。メーターの役割はヘッドアップディスプレーが担う
ただ速いだけではない。反応の鋭さそのものが濃密な情報となり、五感に直接訴えかけてくる。それでいて挙動は驚くほどクリーン。
過激なパフォーマンスを秘めながらも、ハンドリングから立ち上がりまでの流れはどこまでも澄み渡っている。足回りは正直に言えば硬く、荒れた路面では入力を受けるが、その衝撃は瞬時に収束する。
まさに〝究極のゴーカート感覚〟。その魅力に、週プレ自動車班は引き込まれた。刺激的なフィーリングに完全にドハマりし、いつまでも走り続けていたかった。
2リットル直列4気筒DOHC16バルブターボを搭載。231馬力・380Nmが、小さなボディに刺激を注ぎ込む
搭載されるエンジンは、2リットル直列4気筒ターボで最高出力231馬力。欧州で加速するEV化の流れの中で、ミニもいずれ全車電動化へ向かうのか。桃田氏はこう語る。
「ブランド力が試される時代において、ミニはEV普及の起点になりうる存在です。市場環境は流動的ですが、ミニは常に時代の空気を読みながら、自分たちの戦い方を選んできた。
ミニの魅力は、スペックや実用性の比較を超え、その世界観ごと受け入れられるかどうかにあります。ミニと過ごす時間そのものを楽しめるか。その一点にこそ価値があると思います」
スペックや数字の競争ではない。日常を楽しくしてくれるという体験価値こそが、ミニの本質的な魅力だ。その部分を愚直に磨いてきたからこそ、10年近くにわたり日本のユーザーに支持され続けているのではないだろうか。




