"逃避行"をテーマにグラビアに挑んだフィメールラッパー・SHACHI「一気に25kgくらい痩せたんですけど、胸はある程度残ったので、"神の産物"です(笑)」

取材・文/アオキユウ(short cut) 撮影/横山マサト


アイドルグループ・CY8ERのメンバーとして活動し、現在はフィメールラッパーとして活動を行なうSHACHIが、初のデジタル写真集『Run Away』をリリース。

このインタビューでは、「逃避行」をテーマにした撮影の感想をはじめ、アイドル以外にも多岐にわたる経歴や自身のモットーなどを語ってもらった。

*  *  *

【前の自分だったらグラビアに踏み出せなかった】

――まずは撮影当日の感想から聞かせてください。

SHACHI 前日、緊張して30分しか眠れなかったんですけど(笑)、終わってみたらあっという間で。クリエイティブな世界観で、スタッフさんたちと一緒になってひとつの作品を作ることができた達成感と感動がありました。この写真をお届けできることが今から楽しみです。

――撮影テーマは「逃避行」。工業地帯や富士の樹海という閉塞感がある場所から、晴れ渡った湖へ向かいながら、内面の部分も解放されていくような撮影を目指しました。

SHACHI 私自身、いろんなことから逃げがちで、ぐるぐると考えて引きこもっていた時期もあるし、「歩けないときは歩かなくていい。呼吸をしていれば人は少しずつ前に進んでいる」みたいなモットーがあるんですよ。だからこのテーマをスタッフさんから聞いたとき、「なんて自分に合ったものを用意してくださったんだ」と嬉しかったです。

ありがたいことに、これまでもいろんな方からグラビアのお話を何度かいただいたことがあるんですけど、あまり自信がなかったのでほとんどやってこなかったんです。でも、ボディメイクを頑張っていたときに、今回ちょうどこのテーマとともに声をかけていただいて、挑戦してみようという気持ちになって。


――タイミングと、自分にハマりそうなテーマと。ボディメイクはどんなことを?

SHACHI スタートからお話しすると、実は数年前にかなり太っちゃったことがあって、だいぶ自分のことを責めていたんですよ。元々そんなに小さいほうではなかったんですけど、胸もお尻も、ピーク時は100cmを超えるくらいまでいって。でも、そんなに食べているわけじゃないし、食事制限をしても太っていくっておかしいじゃないですか。

それで一度病院に行って検査したら、代謝が落ちたり、妊娠していなくても母乳が出たりする「高プロラクチン血症」という女性ホルモンの病気になっていて。

――そんなことがあったんですね......。

SHACHI それに気づけて治療を始めたら、一気に25kgくらい痩せられたんです。でも、お尻はだいぶさみしくなっちゃったので、今、パーソナルトレーニングに通って少し体重を戻しつつ、お尻を中心に育てています。胸はある程度残ったので、"神の産物"です(笑)。

――原因がわかると前向きにもなれますよね。

SHACHI はい! ダイエットがうまくいかないときって、そういうどうしようもできないことが原因の場合もあるので、もし世の中の女のコも、うまくいかなくても自分を責めないでねって伝えたいです。でも、こうして今あらためて自分の病気をお話しして、「私は本当にいいタイミングでお声をかけていただいたな」と思いました。前の自分だったらグラビアに踏み出せなかったと思うので。

【「なんてエッチな曲なんだ」と思ったり】

――アイドルを経て、現在はフィメールラッパー・SHACHIとして活動中ですが、前職がいろいろあると聞きました。

SHACHI もともとは美容師でした。学生時代から頑張って、有名サロンに入ることができたんです。サロンでお客さんの髪を切ったり、撮影現場にヘアメイクとして行ったりしていました。でも、当時はアトピー肌だったこともあって、ある時期から思うように接客仕事ができなくなり、退職しちゃいました。

そんなときに、あるCM撮影現場で出会った制作会社の方に、「うちでバイトしてみる?」と声をかけていただいて。いきなりアシスタントプロデューサーとしてバイトさせていただくことになったんですよ。

――いきなり急展開!

SHACHI すごい転がり方ですよね(笑)。そこでは代理店との打ち合わせの前にお菓子を買いに行くことから、カメラ前でカチンコを叩くとかまで、いろんなことをやっていました。そんなこんなで、数カ月働いていたんですけど、今度はお仕事で知り合った方から「メイドカフェとかも似合いそう」と言ってもらえて。


――まさかそのままメイドさんに?

SHACHI 美容師時代もAP時代も、ありがたいことにすごくかわいがってもらえることが多かったので、やってみたら楽しいかなって(笑)。今はわからないですけど、当時は「社会人経験者のメイド」ってほとんどいなかったと思うんです。それもあってか、社会人として丁寧にお給仕していたら、そのお店の人気メイドになることができました。そのタイミングで「アイドルにならない?」と声をかけていただいて、今に至ります。

――本当に転々としてきたんですね。いい意味で流れやすいというか、「面白そう」と思ったらまず始める方というか。

SHACHI まさにそうですね。こうして今ラップをやっていることも、もともと聴くのが好きだったのはあったけど、プロデューサーのSAMEさんが声をかけてくれたからなので、全然自分スタートじゃないですし。本当に、わらしべ長者的な感じです(笑)。

――いきなり入ったラップ界はどうでした?

SHACHI やっぱり男性が多い世界なんですけど、誰もチャラついていない、紳士が多いなと思います。でも、初対面でお辞儀をするような普通の世界とはやっぱり違って(笑)、みんな独特なハンドシェイクから始まるんですよね。

――リズムよくグータッチや手を弾き合ったりする挨拶ですよね。

SHACHI そう。「俺たちファミリーだろ」みたいな感じで、距離感を保つ世界ではないというのが最初はビックリしました。

あと、ラップ自体を始めて面白かったのは、音楽のいろんな音が聴こえるようになったこと。アイドル時代はメロディくらいしかわからなかったのが、自然とキックにハイハット、ベースライン......細かい音が聴き比べできるようになって。昔聴いていたような曲を聴き直しても「なんてエッチな曲なんだ」と思ったりとか。

――エッチな曲?

SHACHI 説明するのが難しいんですけど、「来てほしいところに、来てほしい音がある曲」というか。そういうのをエッチな曲と呼んでいます(笑)。「この音が心をくすぐってたんだ!」みたいな気づきがいっぱいありました。だから今楽しんでいるのは、こういう音楽の研究かもしれないですね。

【世の中、なんでも必然じゃないですか】

――冒頭で「いろんなことから逃げてきた」と言っていましたが、撮影テーマにちなんでお聞きします。SHACHIさんが逃げてきたことってなんですか?

SHACHI まず第一の逃げは、高校時代に友達から逃げたことですかね。3年生の後半、卒業が確定して自由登校になったときに、ちょうどスーファミのドラクエにハマっちゃったんですよ。みんなは「最後にたくさん思い出作ろうよ」みたいな感じで学校に通い続けていたんですけど、私は「なんで来ないの?」と言われながらも、ドラクエⅠ、ドラクエⅡ、Ⅲ、Ⅳ......と家でやり続け......。

――相当没頭していたんですね。

SHACHI お兄ちゃんからもらったんですけど、ひとつ何かを始めると他のことが見えなくなるタイプで。それで、卒業する頃には友達と気まずくなってしまって、そのまま修復を目指すこともなく疎遠になってしまった、"人間関係からの逃げ"です。

あとは"夢からの逃げ"ですね。サロンの在籍中に肌問題で苦しんだとき、「お客様もモデルさんも、この手に触られたくないだろうな」って思ったら、どうしようもないくらいの絶望感に襲われちゃって。美容師として生きていくことは子どもの頃からの夢だったし、もしかしたら続けられたのかもしれないですけど、そのときの絶望した私は自暴自棄になっちゃって、2ヵ月くらいお家に引きこもる生活を選んだんですね。

――そんな時期が......。

SHACHI ちょっと別の話になるかもしれないんですけど、CY8ERというアイドルグループにいたとき、やっと掴んだ武道館ライブを経て私はアイドルを卒業したんです。でも、当時はコロナ禍だからお客さんは声出し禁止で、目標としていた武道館に立つことはやりきったけど、本当に完全燃焼したのかと思うと、そうではない気もして。

けど、そこで私は「やりきった」ということにして、今度は2年くらい引きこもっちゃったんですよ。そんな感じで、何か起こるたびに家に引きこもるタイプの逃げを続けてきた人生でした。


――なるほど。でも、そのたびに誰かの誘いを受けるなどして、また戻ってくるのがSHACHIさんだと。

SHACHI そうですね。だから、自分の中ではそこまで後ろ向きに捉えていなくて。「逃げている」というより「遠回りしている」みたいな感覚で生きていきます。世の中、なんでも必然じゃないですか。

――必然?

SHACHI 「水面に水が落ちたら波紋ができること」と同じくらい、私がそのタイミングで調子が悪くなるのは、私の人生の中で決まっていたこと、みたいな(笑)。変な考え方だと思うんですけど、なんでも"しゃあなし"なんですよね。そう思っているから私は何度も一歩踏み出せるんだと思い込んでいます。

――いい考え方だと思います。最後に、今後の目標を聞かせてください。

SHACHI 音楽での今の夢は、印税生活です(笑)。ヒット曲が出せるようにと思いつつ、ゆっくりなペースかもしれないけど、誰かの背中を押してあげたり、一緒に寄り添ってあげられるような曲を作っていきたいなって。

あとグラビアも、実は今回を「最初で最後の記念」にしようと思っていたんですけど、カメラマンさんをはじめ、いろんな分野のプロフェッショナルの方とお仕事するのはすごく楽しくて。なのでそれは撤回して、また何か素敵な作品作りができたらいいなと思います。

●SHACHI(しゃち) 
10月17日生まれ 神奈川県出身 
◯フリーで活動するフィメールラッパー。作詞・作曲も手がける。 唯一無二のフローで音楽ファンを魅了する。 
公式X【@Shachi_GANG】
公式Instagram【@shachi_gang】

★SHACHIのグラジャパ!プロフィール


★【デジタル限定】SHACHI『Run away』

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