
西田哲郎
にしだ・てつろう
西田哲郎の記事一覧
ライター・コンテンツディレクター。観光業界紙を経て、複数のスタートアップ企業でメディア立ち上げに従事。得意テーマは投資、スタートアップ、人材、地方など。
占星術やタロットを駆使した"経済予言" が軒並み的中! パラディン森永こと森永康平氏
「占星術で半導体株の下落を予測した!」そんな話で投資界隈をざわつかせている人物がいる。数々のテレビ番組でコメンテーターを務める経済アナリストの森永康平氏だ。
父は同じく経済アナリストでテレビでも活躍した故・森永卓郎氏。その森永氏が今、「パラディン」を名乗り、星や暦で相場を占っている。いったい何が!?
――まずは話題の予測から。6月末に文章投稿サイトのnoteで、占星術に基づき「7月はAI・半導体株が危ない」と発信しましたよね。
森永 ええ。当時はAIの普及で半導体がもっと売れると期待されて、半導体株がどんどん上がっていた。そんなときに「下がる」と言うのはなかなか勇気がいりました。
――半導体大手のキオクシアHD(ホールディングス)は6月の高値11万円超から、7月下旬には4万円割れ。確かに当たってる!
森永 キオクシアを名指しした予測じゃないんですけどね。占星術を使い始めてからの3ヵ月ぐらいでいうと、予想はほぼ100%当たってますよ。金や為替の反転も予想してましたし。
――今や占星術を使って毎月の相場予測を発信してるし、YouTubeではタロットまで使って翌週の相場を占ってますよね。いったいどうしちゃったんですか!?
森永 予測が当たって、反響も大きかったので。生配信も少し告知しただけで3000人くらい見てくれることがあって。僕としては、もうそっちに振り切ろうと。
――公式プロフィールにまで「パラディン森永」って書いてありますよね。パラディンってなんなんですか?
森永 僕はアマチュア格闘技で4階級制覇して「武闘家」をマスターしてるんです。それに東洋占星術と西洋占星術の資格も持っているんで、そっちは「僧侶」かなと。『ドラゴンクエストⅥ』では、このふたつを極めると上級職のパラディンになれる。なのでパラディンを名乗っています。
――経済アナリストが「パラディン」なんて名乗って「占星術が~」とか言い出すの、かなりの賭けですよね。誰も止めなかったんですか?
森永 普通に止められましたよ。「仕事なくなるよ」って。でも僕、生粋のギャンブラーなんで。当たったときのリターンが大きそうだから別にいいかなと。
普通のエコノミストやアナリストは、今まで築いたイメージが崩れるのが怖くて占いの世界に入れません。逆に占い師が金融や経済を何年も勉強するのも難しい。だから、両方できる人はほとんどいない。この賭け、けっこう期待値が高いなって思ったんです。
「エコノミストって『いつ下がるかは占い師じゃない限りわからない』って言うんですよ。 『ん? じゃあ占えばよくね?』って」
――めちゃくちゃ計算してるじゃないですか!
森永 そう見えるんですけど、僕は導かれてるとしか思ってない(笑)。
――お父さんの森永卓郎さんが息子のこの姿を見たら、なんて言ったでしょうね。
森永 「やっちまったな!」でしょうね。おやじには生前、「おまえの子供が成人するまでは絶対に素を出すな。ヤバいから」って言われてました。世間ではおやじが型破りで僕はおとなしいと思われてるけど、実態は逆なんです。
――占い界隈からも怒られそうですけど。
森永 僕もそう思ってました。でも、「俺たちがひっそりやってたことを、堂々とやってくれている!」と好意的で。「援軍が来た」と受け入れてもらいました。
――格闘技を極めたかと思えば占星術へ。どういう経緯なんですか?
森永 大きいのはAIの登場ですね。今は文章も画像もAIで作れるし、膨大なデータの分析も得意。知識や技術だけで食べていくのは難しくなる。じゃあ次は、AIにはできない肉体を使うことに価値が出るだろうと。
――それで格闘技に行くのが普通じゃないですけどね。
森永 直接のきっかけは、80㎏くらいあった体重を落とせと医者に言われたことですね。凝り性だから26㎏くらい落として、キックボクシングや総合格闘技で4階級制覇しました。でも今度は、AIを頭脳にしたロボット、いわゆるフィジカルAIが出てきた。建設や介護、飲食の仕事までロボットが担うようになるなら「フィジカルもいらなくね?」って。
――せっかく体を鍛えたのに、そこもAIに奪われると。
森永 そう。じゃあ、人間に残るのはスピリチュアルじゃないかと。肉体には年齢や能力の限界がある。でも空想や思考には物理的な天井がないじゃないですか。人は哲学やスピリチュアルのような内面の世界へ向かうんじゃないかと。僕は昔から古典や神話が好きで、占星術につながる知識もあったんです。
――は、はぁ......。占星術を信じるようになったきっかけは?
森永 東洋占星術の師匠に「直近であんまり良くないことが起きそう」と言われたことがあるんです。その週、自宅でYouTubeの生配信をしていたら、車が家に突っ込んできて! 運転していた人は覚醒剤の影響下にあったらしく、パトカーまで来た。あれは「占星術すげえな」と思いました。
――予言の当たり方が物騒! でも、なんで株を占おうと思ったんです?
森永 自分が恋愛運を占ってもしょうがないですからね。得意な経済と組み合わせられないかと考えたら、「金融占星術」という分野があった。星や暦で株価や為替の動きを読むもので、歴史はけっこう古いんです。これだ、と。普通の経済分析だけではわからないことを、別の角度から考えられるんじゃないかと思ったんです。
――冒頭の半導体株はどうやって予測したんですか?
森永 ベースは普通の経済分析ですよ。経済指標はどうか、半導体の需要がどうか、株価が利益に比べて高すぎないか、みたいな。キオクシアも、期待が膨らみすぎて「いずれ下がる」と思っていた。でも、株って高すぎるからといって、すぐに下がるわけじゃないんです。人気が続けば、さらに値上がりすることもある。
――そこで占星術の出番?
森永 はい。エコノミストって「いつ下がるかなんて、占い師じゃない限りわかんないよね」とか言うんですよ。仲間内で。そこで「ん? 占い師ならわかるんじゃん。占ったらよくね?」って。
森永康平氏
――それを実行するとは。星には何が出ていたんです?
森永 東洋占星術と西洋占星術、両方で星を見ました。東洋では2026年は火と水がぶつかって、それまでの勢いが消されると読めた。西洋でも「今までの流れがリセットされる」と読めたんです。だったら、AI・半導体の上昇も転換するんじゃないかと。
――なるほど。下落時期を「7月」まで絞れた理由は?
森永 7月に水星逆行っていうのがありまして。地球から見ると水星が逆向きに動いて見える時期で、占星術では相場が荒れやすいといわれている。東洋と西洋で読んだ大きな流れに、この水星逆行を重ねて、7月あたりが危ないと考えたんです。つまり、経済分析で「下がりそうな分野」を見つけて、占星術で「下がりそうな時期」を探った。
――でも、占星術で本当に儲かるんですか? 米国の金融占星術家の予測を約13年間追跡した検証では、星の指示どおりに運用した場合の年平均リターンは約6%。株を持ち続けた場合の約14%を下回りました。普通に株を持ってたほうが儲かってますよ。
森永 それはたぶんシンプルに、占った人間に星を読む能力がない。同じ星を見ても、どういうストーリーを読み取るかは読み手次第ですからね。例えば「大きな変化が起きる」と読めても、それが株価の上昇なのか下落なのか、どの市場に影響するのかは別の話。金融や経済の知識も必要なんです。
――それ、外れたときの言い訳としては最強ですよね。「星は悪くない、読み手がヘタだった」で済むわけだから。
森永 だから僕は「先出し」と「答え合わせ」を大事にしてるんです。株が上がっても下がっても、後からならそれらしい理由をつけられるじゃないですか。だから僕は先に「7月は半導体株が危ない」と発信して、実際にどうなったか検証する。外れたら外れたで、何が間違っていたのか考える。そこはごまかしたくないんです。
――予測は先出しで、後から答え合わせですか。同業のアナリストには嫌がられそうなルールですね。
森永 そうかもしれないですけど(笑)。僕だって外れる可能性はあるんだから、ほかの人に偉そうなことは言えないですけどね。
――そこまで検証にこだわるなら、「星のお告げは絶対だ!」みたいなスピリチュアル100%の人とは話が合わなそうですね。
森永 絶対に当たる予測を求める人は、情報商材にハマる情弱ですよ。確実にカモになるタイプ。僕も占星術だけで全部決めてるわけじゃない。あくまで企業の業績や株価の指標と同じ、判断材料のひとつなんです。
――じゃあ、経済分析と星の予測が食い違ったら?
森永 例えば、経済分析では「この株は上がる」と思っているのに、星では「下がる」と出たとしますよね。そうしたら、まず普通の分析に見落としがないか、もう一度確かめます。
それでも結論が変わらなければ、今度は星の読み方を見直す。両方を行き来しているうちに「長期的には上がりそうだけど、今は買うのを待とう」とか、別の答えが出ることがあるんです。自分ひとりで考えていると、どうしても思い込みが入るじゃないですか。そこを疑うための壁打ちみたいなものです。
――では、来年の予測は?
森永 今年が丙午(ひのえうま)なのに対し、来年は丁未(ひのとひつじ)です。東洋占星術を用いると、今年起きたさまざまな激しい動きが落ち着いていく年回りで、ロシア・ウクライナや米国・イランなどの戦争が終わる可能性もあります。
一方、西洋占星術では冥王星、海王星、天王星という「トランスサタニアン」の3天体が新たな星座へ動きます。新しいテクノロジー、AI、ロボットなどが、実験的なものではなく日常へ本格的に定着する一年になるのではないでしょうか。ざっくり言うと、さほど悪くない一年になるはずです。
――テレビで真面目に経済を語るときも、頭の片隅には星がチラついている?
森永 判断材料としては使ってます。ただ、テレビでいきなり「天王星が......」とか言ったら、みんな「え?」ってなる。だから媒体によって、占いを表に出すか出さないかを切り替えてるんです。大本のデータベースは一緒ですよ。
剣を持つパラディン森永氏。noteで「パラディンからの手紙」と題して毎月、経済予測を出している
――テレビでは隠してるだけなんだ。ちなみに自分の資産運用でも占星術を使ってる?
森永 100%生かしてます。企業経営者と会うから職業倫理的に個別株はやりづらくて、FXや金などが中心ですけど。為替だって、円が上がると思っていても、実際に売買するタイミングは難しい。そこで占星術も見て、自分の考えと照らし合わせるんです。もちろん、星の予測だけを見て売買するわけじゃないですよ。
――意外と堅実! もっと星のお告げで売買してるのかと。
森永 人間って、弱いから欲に負けるんです。日本なら「お天道さまが見ている」っていうじゃないですか。例えば、もう十分儲かっているのに「まだ上がるはずだ」と欲張ったり、損を認めたくなくて損切りできなかったり。
そういうとき、自分以外の視点を持って、「おまえ、本当に今それやるべきなの?」って問い返す。僕にとって占星術は、そういう役割もあるんです。
――意外と真面目な話になりましたね。で、パラディン森永はいつまで続けるんです?
森永 どうですかね。来年ぐらいには「占星術のあの記事、取り下げてください」って言って、周囲には「あれ、フェイクニュースなんで」とか言ってるかもしれない。
――こんなに語っておいて!?
●"パラディン森永"こと森永康平(もりなが・こうへい)
1985年生まれ、埼玉県出身。証券会社、運用会社でアナリストとして株式市場や経済のリサーチ業務に従事。2018年6月、金融教育ベンチャーのマネネを創業。経済アナリストとして講演やメディア出演も行なう。武闘家と僧侶のキャリアを経て、2026年からはパラディン(聖騎士)として西洋・東洋占星術の知識を生かした情報発信を行なう。テレビやラジオでのコメンテーターも数多く務める。著書は『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)や父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など多数。YouTube『森永康平のマネネTV』『パラディン森永のリアル経済学』を運営