豪雨で1ヵ月に3度の浸水被害。千葉「ラーメンみたけ」店主が語る再起への道!

取材・文・撮影/村上隆保 写真/共同通信社(浸水時の店写真)

9月6~7日の大雨で2度目の被害に遭った「ラーメンみたけ」。このときは10~20㎝の浸水だった9月6~7日の大雨で2度目の被害に遭った「ラーメンみたけ」。このときは10~20㎝の浸水だった
千葉県を襲った豪雨のニュース映像で、たびたび映し出された「ラーメンみたけ」。3度の被害に遭ったが、再起を目指して奮闘中だ。その店長に現在の心境と夢を語ってもらった!!

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【復旧作業中に3度目の豪雨がやって来た......】

千葉県は、この夏から秋にかけての1ヵ月余りの間に3度の豪雨に見舞われた。

8月13日、1時間降水量が観測史上1位となった千葉豪雨。9月6~7日、秋雨前線による激しい大雨。9月21日、台風25号の接近に伴う暴風雨。

この3度の豪雨で大きな被害を受けたのが、ニュース映像などによく映っていた千葉県大網白里市のラーメン店、「ラーメンみたけ」だ。

「正直、とても信じられないです。『こんなことあるの?』と。それ以外の言葉が見つかりません」

そう話すのはラーメンみたけ店長の池田隆宏さん。

「8月の千葉豪雨の前日は夜9時頃に営業が終わって、10時40分くらいまで浸水対策をしていました。椅子や低い場所に置いてある荷物などを棚の上に上げたりしていたんです。

実は3年前にも大雨による浸水を経験していたので、このまま雨が降り続くと店内に浸水するかもしれないと思って、できる対策はしていたんです。でも、まさか自分の腰ぐらいの高さまで、90㎝も水が入ってくるとは思いませんでした」

その後、従業員総出で復旧作業を進め、約3週間後の9月5日に再開にこぎ着けた。

9月21日には台風25号による豪雨で3度目の被害に。このときの浸水は約70㎝9月21日には台風25号による豪雨で3度目の被害に。このときの浸水は約70㎝
「オープンできたときは、やっぱりホッとしました。とにかく、早く店を開けることしか考えていませんでしたから」

しかし、オープン直後の9月6~7日に秋雨前線による大雨でまた被災した。

「まさか、またすぐ大雨が来るなんて想像しませんでした。だから『2日しか営業してないんだけど。もうやめてくれ』という思いでした」

2回目は足首の辺りまで、10~20㎝の浸水だった。

「清掃に消毒、壁紙の張り替えなど、また一から復旧作業を始めました。何が一番大変かというと、駐車場の掃除なんです。

店よりも広い場所が全面泥水だらけになる。水が引いた後も泥は残っているので、ブラシなどでこすってかき出さないと流れていきません。毎日入れ替わりで10人くらいのスタッフにやってもらっていました」

再開は9月22日を予定していたが、その前日の復旧作業中に台風25号がやって来る。

3度目の被害後、1週間ほどたっていたが、まだまだ復旧作業中。10月上旬の再開を目指している3度目の被害後、1週間ほどたっていたが、まだまだ復旧作業中。10月上旬の再開を目指している
「この日は店の入り口に1mくらいの止水板を設置していたんです。そして、止水板の前に防犯カメラをつけて、自宅から店の様子を30分置きぐらいに確認していました。

『まだ大丈夫』『まだ耐えている』と思っていたら、突然アクセスできなくなった。たぶん、一気に浸水してWi-Fi機器が水没したんじゃないでしょうか。3回目は店内に70㎝くらいまで水が入っていました」

それが営業再開前日の夜の出来事だった。

「やっと明日オープンできると思ったときに店が水没するんです。『もう勘弁してくれよ』『これ、漫画じゃないの?』という思いです。

でも『もう店をやめよう』というわけにはいきません。高額な復旧費用がかかり、心が折れそうになりますが、復旧作業を手伝ってくれる仲間がいたり、差し入れを持ってきて『再開するまで待ってるから』と言ってくださるお客さんがいたり、店の前で信号待ちしている車の中から『頑張って』と声をかけてくださる人たちがいるんです。

そういう人たちの励ましがあるので、『なんとか頑張ってみよう』と思っています」

【実は大網白里市を代表するラーメン店!】

浸水被害で注目を浴びたラーメンみたけだが、実は、大網白里市を代表する名店のようだ。

『食べログ』の口コミでは"2001年創業の大網のレジェンド名店""じんわり美味(うま)い系"などと評価されている。

また、大網白里市で暮らす人に聞いても「すごくおいしい店」「いろいろあるけど、みそラーメンがとにかくうまい」「接客がとても良かった」「早く再開してもらいたい」と評判だ。

入り口には臨時休業中の張り紙が。この1ヵ月余りで営業できたのは2日ほど。復旧作業費もかさんでいる入り口には臨時休業中の張り紙が。この1ヵ月余りで営業できたのは2日ほど。復旧作業費もかさんでいる
ラーメンみたけは、隆宏さんの父である経雄(つねお)さん(現社長)が、01年にJR大網駅の高架下で創業した、カウンター12席ほどの小さな店だった。

「ラーメンが好きだった社長が、脱サラして始めたんです」

その頃、隆宏さんは高校を卒業して自動車整備士の仕事をしていたが、地元の食材を使ったこだわりのスープなどで人気が高まったことで忙しくなり、整備士を辞めて父の仕事を手伝うようになる。

「父が一生懸命に頑張っている姿を見て、なんか恩返しをしたくなっちゃったんですよ」

その後、みたけは25年4月に高架下から現在の場所に移転。

「高架下の店はカウンターしかなくて手狭だったし、車で来るお客さんのために広い駐車場があったほうがいいと思ったんです」

ラーメンみたけ前の歩道。1週間ほどたってもまだ泥が残っているラーメンみたけ前の歩道。1週間ほどたってもまだ泥が残っている
この移転から、約1年4ヵ月後の被災だったが、3度の浸水を乗り越えて10月からの営業を目指しているという。何か再起に向けた秘策はあるのだろうか。

「大網白里市にある自然発酵キムチの専門店『一龍』さんとコラボして『大網キムチラーメン』というのを出そうと考えています。

勝浦市には有名な勝浦タンタンメンがありますが、大網白里市にはご当地ラーメンがないので、何かそういうものを発信できたらと思っているんです」

1ヵ月に3度の水害に遭って、心が折れそうになっても、夢だけは捨てていない。ラーメンみたけは今後、何があっても復活するだろう。

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