間違えて白ではなく、グレーのマスクを買ったときの一枚。まるで殺し屋

『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。最近、いろんなマスクを試しているという彼女が驚いた、すごいマスクとはーー?

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私は14歳までアメリカで育ったんですが、日本に引っ越してきた頃は違和感があったことも、ずいぶん自然に受け止められるようになりました。

例えば、料理におけるコーンの使い方。日本ではピザやサラダにやたらちょこっとコーンをのせますが、ああいう食べ方は欧米ではしません。マヨネーズとコーンを和えた"マヨコーン"も、日本独自の料理ですね。

女性用トイレについている"音姫"も日本以外で見たことがありません。私もこちらに来た頃は「なんでみんなわざわざ音を出すんだろう」と思っていました。でも、今では自分も当たり前のように使っていて、「私も日本人になったなぁ」と、ふと思ったりもします。

そんな日本人ならではの慣習の中でも近年常識になりつつあるのが、マスク。風邪やインフルエンザ予防のため冬場は多くの人が着用していますが、あれってウイルスの侵入をほとんど防げないそうですね。

もちろん喉を乾燥させないという効果はあるのですが、私は「マスクをしていると落ち着く」という理由でどこでも着けるようになりました。あの圧迫感が心地よくて、家でも使っちゃいます。

それだけに、海外に行くとマスクが着けられなくてすごくつらいです。向こうでは、マスク着用者=重度の病気の感染者or廃棄物処理業者or強盗、と思われてしまうためです(笑)。

私の親戚も、アメリカから日本行きの飛行機に乗ったとき、マスクをしている日本人たちを見て「どうして病人ばかりが!」と驚いたそうです。日本人のマスク好きは、欧米の人から見るとかなり奇異に映るんですね。

しかし、すっかり日本の文化になじんだ私は、今では自分好みのマスクを探していろんな商品を試しています。その中でも、最近発売されたすごい商品が、花王の「めぐりズム」シリーズの「蒸気でホットうるおいマスク」。

まだ一部地域でしか売っていないようですが、マスクの中に入っているシートが発熱して、あったかい蒸気が出てくるんです。温かい空気を吸える上に、ものすごく喉が潤うので、飛行機の中など乾燥する場所にオススメです。難を言うなら、もう少し効果が長続きするといいですね。

また、新ポリウレタン素材で作られた「PITTA MASK(ピッタ・マスク)」もオススメ。ものすごくピタッとフィットするのに、息がしやすくて、着けているのを忘れるくらいです。

見た目が好きなのは"貼るマスク"。耳が痛くならないように、ひもをなくしてシリコンテープで顔に直接貼りつけるタイプのマスクなんですが、ちょっとアンドロイドっぽくてSF好きの心をくすぐります。

マスクって顔に着けるものだけあって、見た目も重要になりますよね。最近では角を丸くして小顔効果を狙った商品もあるみたいです。そもそも人間の脳は見えていない部分を都合のいいように補正するので、マスクをしている人を見ると美男美女だと思いこんでしまうという錯覚も働くようです。

これからますます寒さが本格化しますね。マスクではおっつかなさそうなので、いっそのこと、私は目出し帽を被りたいくらいです(笑)。

●市川紗椰(いちかわ・さや)
1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、J-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』(毎週土曜21:00~)、MBSラジオ『市川紗椰のKYOTO NOTE』(毎週日曜17:10~)などにレギュラー出演中。間違えてPITTAのグレーを買ってしまったことがあるが、"中二病"っぽく見えてすぐに着けるのをやめた

『市川紗椰のライクの森』は毎週金曜日更新!