日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『ARCO/アルコ』をレビュー!

日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。虹色スーツの少年と少女が織り成す、どこか懐かしく温かい物語。
『ARCO/アルコ』
評点:★4点(5点満点)

「今、ここではないどこか」を目指して

 ©2025 Remembers / mountainA / France 3 CINEMA©2025 Remembers / mountainA / France 3 CINEMA

人間はみんな、「今、ここでないどこか」を希求してやまない。

人類がジャングルや深海を探検し宇宙を目指すのも、あるいは科学や歴史や文学やアートを探求するのも、すべて「今、ここではないどこか」への入口をそこに見出すからである。

2075年、気候変動で森林火災が絶えない時代に暮らす少女イリスも同じ願望を抱いている。

一方、さらなる遠未来の少年アルコもまた「今、ここではないどこか」へと―もっとも、彼の場合は「恐竜が見てみたい」という具体的な目的があったが―夢を馳せていた。

アルコ君はこっそり家を飛び出して時間旅行を試みるが、偶然行き着いたのはイリスの時代だった。

本作は近未来と遠未来の子供2人の、ひとしきりの冒険紀行を描くアニメーション映画で、アニメーションならではの高い寓意性と詩情が目と心に突き刺さる。

秀逸なのはイリスが暮らす時代を現代にしなかったところで、逆説的に人類の行く末に強く思いを馳せる効果を生み出している。

イリスが暮らす近未来の様子が細やかに描かれているところも良い。そのことが橋渡しとなって、ほとんど魔法のように見える遠未来のテクノロジーの可能性を想像することが可能となるからだ。

STORY:気候変動が進む2075年。少女イリスは虹色の謎の物体が空から落ちてくるのを目撃。それは虹色の飛行スーツでタイムトラベルが可能な遠い未来から不時着した少年アルコだった。やがてふたりは未来への帰還=虹の道を探す旅に出る

監督・脚本:ウーゴ・ビアンヴニュ
出演(吹き替え版):黒川想矢、堀越麗禾ほか
上映時間:88分

全国公開中

★『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』は毎週金曜日更新!★

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