窃盗事件からの内紛がエスカレート! 関東最大の暴力団で新会長を擁立する動きが!?

文/大木健一 写真/時事通信社、photo-ac.com

今年1月、警視庁暴力団対策課のに新設された「住吉会幸平一家特別対策本部」の看板を設置する幹部ら今年1月、警視庁暴力団対策課のに新設された「住吉会幸平一家特別対策本部」の看板を設置する幹部ら
指定暴力団・住吉会の内部が紛糾しているようだ。

発端は昨年12月、先代会長の死亡当日に現金5000万円を盗んだとしてトップの小川修司会長が逮捕された事件だ。親のカネに手を付けた事件だけに、組織内からは反発の声が噴出。後任に2次団体の京王会の児島秀樹会長を推す動きも出ているという。

一方で住吉会は2次団体・幸平一家が警視庁の重点取締対象となり、包囲網そのものも狭まっている。組織はどこへ向かうのか。

【小川会長を見限る声が噴出】

千葉県警は昨年12月、住吉会の関功前会長が死去した2022年5月に関前会長の千葉県柏市の自宅の金庫から5000万円を持ち出したとして、小川会長ら7人を窃盗容疑で逮捕した。指定暴力団のトップが窃盗事件で逮捕され、その被害者が先代会長の遺族という仁義なき構図に、世間の注目が集まった。

「小川会長側は、5000万円は遺族への遺産ではなく、これまで組費や上納金として納めたカネだというスタンス。しかし、いきさつはなんにせよ、よりにもよって先代が亡くなった日に、金庫を開けてカネを持っていくという行為自体が咎(とが)められている。住吉会内部では、会長交代を求める声まで出ている。

そもそもこの事件は逮捕の2年近く前から、小川会長の関与を指弾する怪文書がばらまかれていた。小川会長の行為を問題視し、引きずり下ろそうとする勢力は一定数存在する」(暴力団事情に詳しいA氏)

住吉会とトクリュウの関係に警察が睨みを効かすなか、内紛の終息には時間がかかるとみられる住吉会とトクリュウの関係に警察が睨みを効かすなか、内紛の終息には時間がかかるとみられる
会長交代論の中で名前が挙がっているのが、京王会の児島会長だ。児島会長は住吉会では特別会長補佐を務める最高幹部。今年4月、住吉会系幹部が身分を隠して購入した高級車「アルファード」を不正に購入されたものと知りながら使用したとして、組織犯罪処罰法違反の疑いで警視庁に逮捕されている。

「現在の住吉会において、実質トップである幸平一家の加藤英幸総長に次ぐ存在が児島会長です。京王線沿線などを縄張りとしていて、資金力に優れている。山口組の高山清司相談役と関係が深いという点も、組織内での存在感につながっています。小川会長より年長の75歳と高齢ではありますが、住吉会の運営から一歩引いている幸平一家系を除けば圧倒的な存在で後任会長に就いてもおかしくありません。

4月に逮捕された事件は、微罪での摘発。住吉会内部の混乱を探るために、キーマンである児島会長の身柄を抑えて身辺を探る、というのが警察の真の狙いでしょう」(全国紙社会部記者)

【「時間のかかる」組織はどこへ】

この間の住吉会を巡る逮捕劇は、児島会長だけに留まらない。特にターゲットになっているのが、警視庁が1次団体の住吉会を飛び越えて、名指しで特別対策本部を据えている幸平一家だ。トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)関連の事件に絡めるかたちで、恐喝未遂や監禁、強盗傷害などの容疑で立て続けに逮捕されている。そして警察の厳しい摘発に伴い、今年に入って組員の離脱が相次いでいる。

斜陽化が進むヤクザ業界において、圧倒的なブランド力で20~30代の若手組員の獲得で組織を伸長してきた幸平一家。しかし、警察の圧力の前に従来の勢いを保てるかは不透明だ。

会長、最高幹部の逮捕、傘下組織への重点捜査??関東最大の暴力団・住吉会はいま、組織の紛糾と当局の厳しい取り締まりという逆風に立たされている。

裏社会には古くから「カネのかかる稲川会、時間のかかる住吉会、命のかかる山口組」という言い回しがある。住吉会は、東日本の伝統組織の流れを汲む一家の連合体という傾向が強く、これを反映した意思決定の遅さを表現した一節だ。

「住吉会は合議制の伝統が強く、誰か一人の独断では決まらない組織です。会長を代えるにしても、しこりを残さない手順を踏もうとすれば、それなりに時間がかかる。今回も簡単には収まらないでしょう」(前出のA氏)

会長の進退を巡る内紛は、しばらく燻(くすぶ)り続けることになりそうだ。「時間のかかる」組織が、この局面でどう動くのか??その動向に注目が集まっている。

  • 大木健一

    大木健一

    全国紙記者、ネットメディア編集者を経て独立。「事件は1課より2課」が口癖で、経済事件や金融ネタに強い

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