過去最多! イングランド・プレミアリーグでプレーする9人の日本人選手の明暗

取材・文/中山 淳 写真/アフロ

今シーズンのイングランド・プレミアリーグでは、過去最多となる9人の日本人選手がプレーしている。新たに5選手が加わり、昨シーズンからほぼ倍に増えた格好だが、世界中の一流選手が集結する世界最高峰リーグの舞台に、これだけ多くの日本人が立っていること自体が画期的だ。

その顔触れも豪華絢爛。三笘 薫(ブライトン)、遠藤 航(リバプール)、鎌田大地(クリスタル・パレス)、田中 碧(リーズ)に、今回がプレミア初挑戦の鈴木彩艶(アストン・ビラ)、前田大然(イプスウィッチ)、守田英正(ハル)、坂元達裕(コベントリー)、そして2シーズンぶりのプレミアリーグ復帰となった冨安健洋(クリスタル・パレス)。

いずれも現日本代表、もしくは日本代表経験者という実力者ばかりだが、開幕から約2ヵ月が経過した中、特に評価を高めているのが、鈴木と田中のふたりだ。

アストン・ビラに加入後すぐに好プレーを連発した鈴木。高い守備力やキック力で指揮官をはじめ周囲の信頼を得たアストン・ビラに加入後すぐに好プレーを連発した鈴木。高い守備力やキック力で指揮官をはじめ周囲の信頼を得た

イタリアのパルマで実績を積み、北中米W杯では日本代表正GKとして活躍した鈴木は、今夏の移籍市場で〝人気銘柄〟になった。

名門ユベントスや現欧州王者のパリ・サンジェルマンへのステップアップ移籍が噂された中、最終的に古豪アストン・ビラへの加入が決定。GKとして日本人初のプレミアリーガーになると、加入後のアーセナル戦で上々のパフォーマンスを披露。以降も守護神として活躍し、現地で高く評価されている。

とりわけ脚光を浴びているのが、並外れたキック力だ。正確かつ長い飛距離のキック1本でチャンスをつくる技術は、チームの大きな武器となり、本場のファンも魅了した。

今シーズン初勝利を収めた9月のトッテナム戦後、チームを率いるウナイ・エメリ監督が「彼は素晴らしいGKだ。セーブを見せるだけでなく、われわれが望む形でビルドアップする能力も備えている」と称賛したように、あっという間に最高峰の舞台で周囲の信頼を勝ち取ることに成功した。

日本人のGKがプレミアリーグのクラブで正GKを務めている事実だけでも、日本サッカー界にとって大きな希望と言える。24歳という年齢を考えても、今後の成長が大いに期待できそうだ。

リーズで第3戦からスタメン出場するようになった田中。攻守で豊富な運動量を生かし、好調なチームを支えるリーズで第3戦からスタメン出場するようになった田中。攻守で豊富な運動量を生かし、好調なチームを支える

リーズのMF田中も定位置をつかみつつあり、シーズン序盤から評価を上げている。

チャンピオンシップ(イングランド2部)から昇格を果たした昨シーズンは、プレミアリーグ特有のプレー強度やスピードへの適応に時間を要し、ポジション争いで後手に回った。しかし今シーズンは、開幕3戦目からスタメンに定着。ここまで、好調をキープするチームの原動力となっている。

光っているのが、自慢の運動量とボール奪取能力に加え、攻撃時にはタイミング良く相手ゴールに迫り、積極的にシュートも狙うアグレッシブなプレースタイルだ。

特に強豪ニューカッスルとの試合では、攻守にわたる活躍で勝利に貢献し、ボランチとして不可欠な存在であることを証明。チームとして今シーズン初黒星を喫したアーセナル戦でも、現地メディアは田中の運動量とボールを持ったときの落ち着きを高く評価している。

W杯では、自身の判断ミスをきっかけに失点し、日本の敗退が決まるという苦い経験をした田中。だが、現在はその悔しさをバネに飛躍を遂げようとしている。

ケガ明けのリバプールの遠藤は、プレシーズンマッチに途中出場したものの、開幕後は出番なしと苦しい状況が続くケガ明けのリバプールの遠藤は、プレシーズンマッチに途中出場したものの、開幕後は出番なしと苦しい状況が続く

一方、苦境に立たされているのが、プレミアリーグで4シーズン目を迎えたリバプールの遠藤とブライトンの三笘だ。まだ公式戦での出場はない(6戦終了時点)。

先のW杯で、負傷が癒えずに直前で登録メンバーから外れるという不運に見舞われた遠藤は、それを機に日本代表からの引退を宣言。クラブでのプレーに集中すべく、その後もリハビリを続けた。

しかし、コンディションが整わないうちに開幕を迎えると、アンドニ・イラオラ新監督の構想外となり、欧州チャンピオンズリーグの登録メンバーから外されてしまった。

強豪リバプールには、遠藤と同じポジションに各国代表の一流選手がそろっており、この先も出場機会を得ることは困難とみられている。クラブとの契約も来年夏までのため、現地では移籍の噂が絶えないという状況にある。

ケガからいまだ復帰できていないブライトンの三笘。その時期も気になるが、来夏までの契約のため移籍などの動きも注目されるケガからいまだ復帰できていないブライトンの三笘。その時期も気になるが、来夏までの契約のため移籍などの動きも注目される

ブライトンで不動の地位を築いてきた三笘も、昨シーズン終盤の左ハムストリングのケガでキャリアが暗転。日本代表として2度目のW杯出場を逃した後、手術からのリハビリが続いており、まだはっきりとした復帰時期が明かされていない。

もちろん、完全復帰さえすれば、三笘がチームにとって重要な戦力となることは間違いないだろう。ただし、遠藤と同様、三笘の契約も来年夏までとなっており、現地では今後の去就に話題が及ぶようにもなっている。契約を延長するのか、冬の移籍で新天地を求めるのか。三笘の動向は、今後も要注目だ。

そのほか、初めてプレミアリーグのピッチに立った前田、守田、坂元の3人も、まだ期待されていたような活躍はできていない。

ここまで先発出場も多い前田は、自慢の走力で守備面の貢献は一定の評価を得ているが、FWとして重要なゴールがなく、厳しい評価を下されるようになっている。

守田は負傷による離脱が誤算となり、チーム内の序列が上がっていない。1部昇格に貢献した坂元も、プレミアリーグではベンチを温める試合が続き、レギュラーの座が遠のいている。スタメンをつかむためには、まずは国内カップ戦での活躍がポイントになる。

一方、日本人ふたりがプレーするクリスタル・パレスでは、3シーズン目の鎌田が不動のレギュラーとして活躍し、新戦力の冨安も、負傷さえなければ定位置を奪う可能性は十分にあるという状況だ。

果たして、日本の9選手の今後はいかに。プレミアリーグから、目が離せない。

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