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袖ケ浦フォレスト・レースウェイで全開チェック。スズキ初の軽EVは、いったいどんな走りを見せたのか!?
8月24日、スズキが同社初の軽乗用EV「e SKY」を発表。軽の老舗が鳴り物入りでぶっ込んだ一台の実力はいかに!? 今秋の正式発表を前に開催された報道陣向けのサーキット試乗会で、週プレ自動車班が限界領域まで徹底検証してきた!
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ついに出た!
8月24日、スズキが同社初となる軽乗用EV「e SKY」の先行情報を公開した。日本での正式発表は今秋を予定している。ちなみに一充電航続距離310km(プロトタイプ値)。e SKYが掲げる価値は「少ない電気でたくさん走る」「走りも快適」「ちゃんと使える」の3つ。
「週プレだからよけいなことを言うと全部書かれるぞ」
この言葉は対面取材で、e SKY開発陣のひとりから飛び出したひと言。しかし、取材中の開発陣は終始謙虚で、こちらの質問にも率直に言葉を返してくれた。スズキは2025年度の国内新車販売台数(軽自動車+登録車)で、1993年度以降初めてホンダを抜き、トヨタに次ぐ総合2位となった。それでもおごる気配はない。
週プレ自動車班が聞きたかったのはひとつ。故・鈴木 修前会長は、かつて軽自動車を「庶民のげた」と表現した。ちょっと出かけるときに気軽に使え、生活に寄り添う実用車。それがスズキの軽自動車に対する根っこの考え方だ。
では、その〝げたの思想〟は、同社初の軽乗用EVにも受け継がれているのか。そう質問すると、開発陣は首を縦に振った。
令和に爆誕した庶民のげたスズキ e SKY 価格:未発表 ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1625mm。ひと目でスズキとわかるデザインに仕上げられた
デジタル数字をイメージしたリアランプが特徴。コンパクトなボディながら存在感は十分
e SKYが目指したのは、ガソリン車から乗り換えても戸惑わず、通勤や買い物、送迎といった日常使いをこれまでどおりこなせるEV。開発コンセプトも「Easy to Switch」。まさに「いつもの軽から、無理なくEVへ」という発想である。今回の取材で、スズキ関係者は口をそろえてこう言った。
「アルトが担っている社用車需要をe SKYが徐々にカバーすることも想定しています」
法人には脱炭素のニーズがあり、さらに過疎化でガソリンスタンドが減っている地域にも、新たな選択肢として提案したい考えだ。
その思想が、スペックにも表れている。搭載するバッテリーは26kWh。大容量バッテリーに頼るのではなく、バッテリーと車体全体の効率を高めることで310kmという航続距離を狙った。
モーター、インバーター、ギアを一体化した小型・軽量ユニットを採用し、バッテリーは床下に配置。さらにボディ形状や車体下面の空気の流れまで作り込んでいる。軽EV専用の骨格による低重心設計と、最小回転半径4.4mという軽自動車らしい小回りが特徴だ。
ボンネット内にはモーター、インバーター、ギアを一体化した高効率ユニットを搭載。EV専用設計が光る
充電は3kWの普通充電で約8時間、6kWで約4.5時間。50kWの急速充電では約25分で80%まで充電できる。さらに、バッテリー残量や交通状況を考慮してルートを案内する「スズキつながるナビ」や、アクセル操作だけで加減速できる「イージードライブペダル」なども備える。
では、本当に「いつもの軽」のように走るのか。千葉県袖ケ浦市のサーキットで、週プレ自動車班がその実力を確かめた。特設コースにはスラローム(蛇行運転するコース)やクランク(狭い折れ曲がりコース)が用意され、一般道では試しにくい速度域や急な切り返しまでチェックできる。
まず感心したのは操作系だ。シフトレバーは最近のEVに多いボタン式ではなく、見慣れたレバー式。クルマに詳しくなくても、乗った瞬間から操作に迷いはない。
10.1インチディスプレーは先進的だが、シフトレバーは見慣れたもの。スズキらしい実用本位の設計
走り出してまず感じたのは、拍子抜けするほどの自然さだった。EVらしい強烈な加速を見せるわけでも、モーターの存在感を主張するわけでもない。アクセルを踏めばスッと前へ出て、速度が乗れば軽快に走る。その印象はまさに、エンジンの振動と騒音を取り去った、普通の軽。
ところが、ペースを上げると床下バッテリーの効果が見えてくる。スラロームで左右に荷重を移しても車体の動きは穏やかで、速度を上げてコーナーへ進入しても姿勢変化が小さい。切り返しでも挙動が乱れにくく、限界域まで探っても素直だった。
スポーツカー的な鋭さはないが、タイヤが路面をつかんでいる感覚がわかりやすく、限界が近づいても急に挙動が変わる怖さがない。速さよりも、誰が乗っても安心して扱えることを優先した味つけなのだろう。
クランクでは最小回転半径4.4mの小回り性能も光った。狭い場所でもスッと向きを変え、住宅街や駐車場での扱いやすさが容易に想像できる。乗り心地も上々で、路面の凹凸を通過しても上下動は穏やか。後席でも落ち着いている。
静粛性は不快なノイズを抑えながら、速度感や安心感につながる音は適度に残されている。静かすぎない静けさという感じ。
後席を倒せば荷室はさらに拡大。買い物からレジャーまで、日常使いなら十分な積載性を備える
スズキが市場に送り出そうとしているのは、EVを意識させないEV。まさに〝庶民のげた〟というスズキの軽自動車哲学を、e SKYは令和のEVへと持ち込んだ。特別なクルマではなく、毎日の生活にスッと入り込むクルマ。「いつもの軽」の延長線上にあること。それこそが、e SKY最大の武器なのだ。
そして、残された最大のピースが価格。この一台が本当に〝庶民のげた〟になれるかどうかは、価格次第。今秋、その答えが明らかになる。