【板倉 滉が激白!!】大会直前の主将就任、スウェーデン戦の途中交代――。あのとき何が起きていたのか?

構成・文/高橋史門 撮影/山上徳幸 写真/アフロ

6月26日に行なわれたグループステージ最終節・スウェーデン戦(1-1)の終了後、板倉はピッチ上で遠藤航のユニフォームを掲げていた6月26日に行なわれたグループステージ最終節・スウェーデン戦(1-1)の終了後、板倉はピッチ上で遠藤航のユニフォームを掲げていた

世界各国との激闘を繰り広げるも、ラウンド32で幕を閉じたサッカー日本代表の北中米W杯。優勝の目標には届かなかったものの、組織力の強さを世界に見せつけることができた。そんなチームを主将として率いた板倉 滉が語る熱戦の記憶と、今だから話せる涙とケガのこと、そして30年のW杯への決意とは。

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【主将就任挨拶でこぼれた涙の理由】

「まだまだですね。自分も含めて。結果、ブラジルに負け、ベスト32で終わってしまった。ただ、日本の組織力というのは今回、世界を相手にしても通用するのを見せることができたんじゃないかと思います」

優勝を目標にW杯北中米大会へ臨んだ日本。グループステージではオランダ、チュニジア、スウェーデンと熱戦を繰り広げ、2位で決勝トーナメントへ進出した。

ラウンド32の相手は史上最多5度の優勝を誇るブラジル。試合序盤から日本は臆することなくプレーし、29分に佐野海舟が先制点を決めるなど、前半は試合の主導権を握っていた。

だが、ハーフタイム以降はブラジルペースで試合が進み、試合終了間際に逆転を許した。1-2で惜敗。そして板倉は累積警告でクロアチア戦を欠場した2022年カタール大会に続き、またしても決勝トーナメントの試合に出場できなかった。

「笛が鳴って敗戦が決まった瞬間、まさか、ここで終わるのかよって。僕らは勝ち進んで次のラウンド16の試合が行なわれるニューヨークへと向かうイメージしか頭になかったですから。

日本に帰ってW杯の試合を見るたびに、どうしても悔しさが込み上げてくるんですよ。本当だったら、まだ僕らはアメリカでプレーしているはずだったのに、って」

板倉にとって2度目のW杯となった北中米大会は、また特別なものだった。

突然の主将就任。それまでチームを牽引してきた遠藤 航が、大会直前の親善試合で手術明けだった左足首の状態を悪化させ、W杯初戦の3日前に離脱が決まると、森保一監督が急遽主将に指名したのが板倉だった。

「森保監督から最初に言われたとき、正直びっくりしてしまいました。そこまで航君の状態が深刻だったとは知らなかったんで。

前回のカタール大会が終わってから航君は主将としてずっとチームを引っ張ってきてくれました。この4年間、航君がどれだけ北中米大会にかけてきたことか。僕はずっとそばで見てきました。だから、就任時の挨拶では泣くつもりは全然なかったけど、自然と涙が出てしまいましたね。

初戦のオランダ戦まではもう3日しかない。自分に言い聞かせたのは〝とにかくやるしかない、決して後悔だけは絶対しないように〟ということでした」

【スウェーデン戦、前半交代の真相】

新キャプテンに就任した板倉。オランダ戦は出番がなかったが、常にチームを全力で鼓舞し続けた。印象的だったのは、2-2の同点に追いついた後半44分。喜びを爆発させた小川航基がベンチの板倉のほうへ走り込み抱き合うと、皆が次々と覆いかぶさった。まさにチーム一丸であった。

「一体感とかワンチームって口では簡単に言えるけど、なかなか実行できるものじゃなくて。試合に出られる選手に対して、出られない選手もいるわけです。当然、少なからずフラストレーションはあります。でも、それを払拭して、目の前の試合に対して全員で勝つという気持ちが僕ら日本には確かにあった。そこは誇っていいと思います」

圧勝した第2戦のチュニジア戦に続き、第3戦スウェーデン戦も、板倉はゲームキャプテンとして先発出場を果たした。相手攻撃陣との1対1にはほぼ勝利しており、順調に見えたのだが......前半21分、板倉は左太もも裏にわずかな違和感を覚えた。

「軽く肉離れを起こしたと瞬時に感じました。前半終了までは全然やる気でいたんだけど、さらにブチッとやるかもしれない。だから、森保監督には給水タイムが終わったところで状態を伝えました。ほかのCBにウオーミングアップしておいてほしいですと。

CBが急に途中出場するのって、気持ちの面でもなかなか入りが難しいんです。その状況を踏まえて、森保監督が即座に交代を決めてくれました」

7月12日、板倉が主宰する未来創造プロジェクトKo Creation Projectのイベント「KCP in 福岡」がベスト電器スタジアムで開催。W杯で共闘した谷口彰悟、冨安健洋、菅原由勢も駆けつけ、会場を盛り上げた7月12日、板倉が主宰する未来創造プロジェクトKo Creation Projectのイベント「KCP in 福岡」がベスト電器スタジアムで開催。W杯で共闘した谷口彰悟、冨安健洋、菅原由勢も駆けつけ、会場を盛り上げた

4日後のブラジル戦には出場できず、そのまま日本代表のW杯は終わってしまった。

だが、いつまでも引きずってはいられない。森保監督は27年1月に開幕するアジア杯まで続投するが、同3月からは大岩 剛監督の新体制がスタートする。

「ワンチームで戦えたことに確かな手応えはあったけど、個々の成長も必要。ここからまた4年後に向けて進んでいきたいです」

30年のW杯、板倉は33歳。円熟期を迎えるCBのリベンジを期待したい。

●板倉 滉(いたくら・こう) 
1997年1月27日生まれ、神奈川県出身。川崎Fで育ち、2019年1月、レンタルで蘭1部フローニンゲンへ移り、20-21シーズンに年間最優秀選手賞を受賞。21-22シーズンは独2部シャルケ、22年から独1部・ボルシアMGでプレー。25年、蘭1部アヤックスへ移籍。北中米W杯で日本代表を主将として牽引した。

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板倉 滉がいかにして世界の舞台に立つまで成長したのか――。その"成長"の哲学を半生の振り返りと関係者の証言から読み解く、自身初の著書が好評発売中!

  • 高橋史門

    高橋史門

    たかはし・しもん

    エディター&ライター。1972年、福島県生まれ。日本大学在学中に、『思想の科学』にてコラムを書きはじめる。卒業後、『Boon』(祥伝社)や『relax』、『POPEYE』(マガジンハウス)などでエディター兼スタイリストとして活動。1990年代のヴィンテージブームを手掛ける。2003年より、『週刊プレイボーイ』や『週刊ヤングジャンプ』のグラビア編集、サッカー専門誌のライターに。現在は、編集記者のかたわら、タレントの育成や俳優の仕事も展開中。主な著作に『松井大輔 D-VISIONS』(集英社)、『井関かおりSTYLE BOOK~5年先まで役立つ着まわし~』(エムオンエンタテインメント※企画・プロデュース)などがある。

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