
日野秀規
ひの・ひでき
日野秀規の記事一覧
フリーライター、個人投資ジャーナリスト。社会経済やトレンドについて、20年にわたる出版編集経験を活かし幅広く執筆活動を行なっている。専門は投資信託や ETF を利用した個人の資産形成。
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減税実施に突き進む高市首相。臨時国会で法案が通れば、来年4月に飲食料品の税率が1%になる
食品消費減税が閣議決定され、本格的に動き始めた。賛否はあれど、実施されるならトコトン活用したい! 今から準備できるのは、減税されたら儲かるであろう会社の株を買うこと。減税となれば、消費は旺盛になるからだ。狙い目の銘柄を識者に教えてもらった!
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2月の衆議院総選挙で注目を集めた食品消費減税が、半年をかけてようやく閣議決定にこぎ着けた。秋の臨時国会で法案成立の見込みで、来年4月から飲食料品の消費税率は2年間、8%から1%へ、7%の引き下げとなる。
これを受け、スーパー大手のライフコーポレーションをはじめ、株式市場には一部の関連銘柄を物色する動きが見られた。
そこで、食品消費減税で株価がぶち上がる〝隠れ優良銘柄〟を探っていこう。『会社四季報』を毎号読破し続けてもうすぐ30年、国内上場銘柄を知り尽くす渡部清二氏に、食品消費減税によってわれわれの生活がどう変わるのかという点から解説してもらった。
「今回の食品消費減税の意義は明確で、歴史的な政策転換になると考えています。まず、導入されて38年目にして、初めて消費税率が引き下げられるという点。財務省の抵抗を抑えて、税率を下げる前例を作ったのは画期的です。
そして国民経済にとっては、インフレが定着する中で伸びていない家計の消費に火をつけて企業の売り上げを伸ばし、GDPを拡大していこうという明確なストーリーの初動になるということです」
日本の実質GDPは悲しいかな、1996年から2020年までほとんど伸びなかった。その後は改善基調に転換したものの、今度は給料の伸びが物価上昇に立ち遅れ、依然として個人消費は停滞を抜け出せていないのだ。
「最新の政府統計で、消費支出は8ヵ月連続で前年比マイナス。要は使いたくても、家計にはお金が足りない! そのせいで家計に占める食費の割合を示すエンゲル係数が、44年ぶりの高水準になってしまいました。
株式投資を考えるには、ここをピンポイントで助けようという政府のメッセージに対して、市場がいかに反応するかという点に想像を巡らせてみることです」
減税によりスーパーの売り上げが改善するとの見立てもあるが、果たして......?
するとやっぱり、「ライフ」みたいなスーパーや食品メーカー、包装材といった関連産業全般に注目が集まりそうな気が......?
「いやいや! 少々お金が浮いたところで、人々の胃の大きさが変わるわけではないですから、そう大きく伸びるとは考えにくいですよね」
それは確かに!
「家族4人の家計が、月9万円の食費で回しているとしましょう。この7%分が浮くとすると月6000円強、1年で約7万5000円となる。
これを何に使うかと考えたときに、旅行に行くにはちょっと足りない。それなら、外食の機会を増やすんじゃないでしょうか。そこで例えば、今後息の長い成長ストーリーが描けるハイデイ日高に注目しています」
同社は駅前立地の「日高屋」を中心に中華食堂を運営しているが、外食チェーン投資の「勝ちパターン」にはまる資格が十分にあると渡部氏は踏んでいる。
「牛丼チェーントップの『すき家』を要するゼンショーHDは、上場から29年で株価を345倍に伸ばしました。その道のりは、まずは牛丼チェーンのトップに駆け上がり、続いてファミレスやすしという新しい業態の開拓、最後にグローバル展開という3段階。
この先達になぞらえると、ハイデイ日高は関東地方のチェーンなので国内の拡大余地があり、中華以外への進出、そして今後のグローバル展開が可能です。食品消費減税が、同社の成長ストーリーに弾みをつけることを期待します」
渡部氏が熱視線を送る日高屋。現状、関東圏に出店が集中しているが、全国区になれば利益は大きく伸びる
減税分で月イチ程度の日高屋飲みを楽しむ。このように、投資は「プチぜいたく消費」という軸で考えるのが良さそうだ。この流れで、渡部氏は「体験消費」に視点を移す。
「身近なレジャーにも鉱脈があります。例えばフェスに行くとか、推し活をするとか。前者ならチケット販売とイベント会場運営で伸びるぴあ、後者ならカプセルトイやゲームの施設を運営するイオンファンタジーが面白そうです」
ぴあは元来、イベント運営者と客をつなぐ立場だったが、イベントの会場運営や主催に業態を拡大。その結果、23年から業績好調を続けている。
「自社イベント関連のキャラクターグッズ販売も手がけており、追い風になるでしょう。グッズ販売という点では、イオンファンタジーは本命格。クレーンゲームの『クレーン横丁 極』、カプセルトイの『カプセル横丁』などのアミューズメント施設では推し活需要を狙った限定商材がめじろ押しで、集客は絶好調です」
同社は23年に黒字転換した後は右肩上がりの成長を続け、中国・東南アジアでも伸び続けている。
スーパーや食品メーカーなどの「直球銘柄」より、消費者が浮いたお金を費やしそうな事業者に目を向けるのが吉。業績に表れれば株価はすぐ織り込んでしまうので、減税が始まる前に仕込んでおくべし!
「最後に、コロナ禍以降盛り上がり続けるペットブームに、減税がもうひと押しを加えるとみます。国産無添加のペットフードで伸びる犬猫生活は、プチぜいたく消費の受け皿となるでしょう」
世帯の少人数化および高齢化が進む中、家族の一員であるペットの健康を守るための支出は、もはや家計の必須項目。その対象としてブランド化に成功している同社は、ROE(株主資本利益率)46.4%を誇る。
上場企業上位500社のうち、半数以上がROE10%以下に甘んじる中、この超収益経営は驚異的だ。中期経営計画において、29年までに売上高を少なくとも倍増させると宣言しており、投資妙味も十分だ。
家計への恩恵に加えて、株式投資の儲けまで得られるとなれば、食品消費減税ががぜん待ち遠しくなってきたのでは?