植村祐介
うえむら・ゆうすけ
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ライター&プランナー。専門誌編集部勤務ののち独立。ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆を手がける。
シンプルな形状で就寝時も違和感なく装着可。「メーカーは推奨していませんが、サウナや水回りなどでも着けています」と浅沼氏
スマートウオッチに続き、急成長を遂げるスマートリング市場。その先駆者であるオーラは、米法人がNASDAQ上場の手続きを進めるなど破竹の勢いを見せている。果たしてOura Ringの実力は本物か? 6年前から愛用する商品検証ジャーナリストの浅沼伊織(あさぬま・いおり)氏がぶっちゃけレビュー!
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ウエアラブルデバイス市場が活発化している。主戦場のスマートウオッチでは、アップルとファーウェイが世界市場で首位を争い、シャオミ、サムスンなどが続く形だ。
一方で注目を集めているのが指輪型ウエアラブルデバイス、スマートリングだ。
この分野を牽引するのは、「Oura Ring」を展開する、フィンランド発のOuraHealthOy(以下、オーラ)。Oura Ringは2015年に初代が登場、21年の3代目では、詳細なデータが参照できるサブスク「Ouraメンバーシップ」を導入した。
現在の最新モデルは、今年6月に発売された5代目「Oura Ring 5」だ。
先代より40%小型化しつつ、9日間のバッテリー駆動時間を確保。内蔵センサーで「睡眠段階」「血中酸素ウェルネス」「ストレス」「心肺機能」などの健康データを計測してくれる。
ただ日本では、スマートリングの知名度はイマイチ。
その使い勝手や機能、スマートウオッチとの違いはどうなのか? 商品検証ジャーナリストの浅沼伊織氏に疑問をぶつけてみた。
「そもそもの出会いは20年頃。当時、商品テスト誌『MONOQLO』でコロナ対策グッズを検証していた際、『NBAが選手らにOura Ringを配布』というニュースに目が止まりました。
調べると米スタンフォード大学の研究で、コロナの予兆検知に使われており、精度にお墨付きがあった。合理主義のアメリカでNBAが採用するなら期待できると考え、レビュー用に個人輸入したのが始まりです」
性能についての実感は?
「第一印象は『自分の感覚との乖離がほぼない』でした。ウエアラブルデバイスが示すスコア、とりわけ睡眠管理は、体感と差があると意味がない。たとえデバイスが高得点でも、自分が寝不足を感じていたら信頼できません。
当時から併用していたアップルウォッチと比べても、スコアがより実感に近く、信頼できると思いました。自分の体の異変を先回りして気づかせてくれることにも驚きました。
仕事に集中すると無理を重ねて寝込んでしまうことが多々ありましたが、体の変調を敏感に検知し、未然に教えてくれる。これでもうハマってしまい、以降、最新型まで継続して使っています」
継続使用で〝個性〟も見えてきたという。
「ひと言で表現するなら非常にシビア。例えば睡眠の質については、アップルウォッチもしっかり分析してくれますが、睡眠測定が甘めで90点台の高評価が出やすい。
一方でOura Ringは90点台になかなか到達しない。睡眠時間帯の調整や、就寝前ルーティンの模索など、高得点には試行錯誤が必要。なので本気で体調管理に向き合う人には好相性なんです。逆に言えば、大ざっぱでも気楽に体調を管理したい程度の人にはオススメしづらい。
ただ、オーラのアプリは単なる記録にとどまらず、『今日は回復に専念しよう』と専属トレーナーのように具体的な行動提案をしてくれる。このUIとアドバイスの質の高さこそ、サブスク代を払う価値だと実感しています」
睡眠時間などのほか、睡眠負債や体内時計とのズレまで詳細に分析。自分の生体リズムと生活習慣の乖離具合が把握できる
睡眠効率などをシビアに数値化しつつ、具体的な解決策を提案。あたかも専属トレーナーのように毎日の生活改善へ導いてくれる
健康データはデバイスを24時間身に着けてこそ、より正確になる。そこで指輪型であることがアドバンテージになる。
「アップルウォッチも、世代を重ね、データ計測が正確になっていると感じます。ただ、腕時計をしたままの就寝に抵抗のある人は多い。その点、指輪型は就寝時も日常生活でも邪魔になりづらい。
また、ディスプレーのない指輪型はバッテリーの持続時間でも有利。充電は週1回、1時間強程度なので、体から離す時間はわずかです」
ならば、これからスマートリングを買いたい人にはOura Ringがオススメ?
「正直、そうとも言い切れません。お話ししたようにOura Ringは正確ですが、やはり『これできちんと健康管理するんだ』という強い意志がないと挫折しやすい。
そもそも本体が6万5800円からと高価で、フルに機能を使うには月々のサブスク料金999円もかかる。気軽に始めたければ、本体4万円弱でサブスクなしで使える、後追いの国産メーカー・SOXAIの『SOXAI RING』などから始めるのもアリです」
24時間のストレスとリラックスの推移をタイムラインで表示。一日の中で自分がどの時間帯に負荷を感じ、どの時間に精神的な開放を感じているのかをひと目で把握可能
では、指輪型はさらに高機能化して、健康管理ウエアラブルデバイスの主流になる?
「これも判断が難しいところ。健康管理は今後、本格的にAIとの融合が始まります。そのためGAFAMやOpenAIは、バイタルデータを収集する〝入り口〟を求めています。
その意味ではアップルウォッチで先行し、またハードからソフトまで自身でカバーできるアップルは有利ですから」
近日、オーラはアメリカNASDAQに株式を上場する手続きを進めているが、その将来に不安はないのか!?
「オーラはスマートリング市場のシェアの多くを握り、ブランドも確立しています。また、資金的にも余裕があると思われるので、今すぐにどうこうということはない。ただ、自身が切り開いたこの市場が広がるにつれ、強力なライバルが台頭する可能性もあります。
圧倒的な強さを誇ったロボット掃除機の米iRobotやウエアラブルカメラのGoProが中国勢の猛追で一気にシェアを失ったように、経営判断を誤れば一寸先は闇。個人的にはGAFAMのいずれかが買収して、正常進化していく将来を希望していた部分もありますが(笑)」
オーラに明るい未来があるのかどうか。このあたりも、投資家の判断が分かれそうだ。
●浅沼伊織(あさぬま・いおり)
商品検証ジャーナリスト。雑誌『MONOQLO』『家電批評』の編集長や、ウェブメディア『マイベスト』のコンテンツ責任者を歴任後、独立。ガジェットやAIプロダクトの検証・企画を中心に幅広く活動。Oura Ring愛用歴は6年。