
直井裕太
なおい・ゆうた
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ライター。尊敬する文化人は杉作J太郎。目標とするファウンダーは近藤社長。LINEより微信。生活費の支払いは人民元という国境を越えるヒモおじさん。ガチ中華はブームじゃなくって、主食です。
近年、気温が高くなってくると発火事故が多発するモバイルバッテリーをはじめとした充電式のリチウムイオン電池搭載製品。異常時の廃棄方法、異常の前兆から日常での利用や製品の選び方まで大型連休前に絶対に覚えておきたい正しい運用術を紹介します!
※掲載した製品はNITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)推奨の製品ではありません。
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スマホの相棒として欠かせないモバイルバッテリー。夏の定番商品のモバイルファンに、加熱式たばこ。大型連休での利用も多いポータブル電源などなど、多くの人が日常的に活用する充電式のリチウムイオン電池を搭載した製品群。圧倒的に便利だが、近年は夏場になると必ず発火事故が報告されるほどのリスクが潜んでいる。
そんな、リチウムイオン搭載製品の廃棄方法や正しい使い方などを、NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)の宮川七重さんに解説してもらいます。
――大型連休が近づき、これまで使っていたモバイルバッテリーから新モデルに更新するユーザーも多いはず。このタイミングで古いモバイルバッテリーの廃棄は、どうするのが正解でしょうか?
宮川 自治体が回収ボックスを設置している場合もありますが、廃棄方法は地域ごとに異なります。お住まいの自治体に確認してください。また、最近は大手家電量販店にも回収ボックスが設置され、これらを活用するのもよいでしょう。
――自治体によって捨て方や捨てられる製品はバラバラ。これはユーザー自身が確認するしかないですね。廃棄するときの注意点は?
宮川 すでに本体が膨張・変形している、焦げ臭いといった状態の場合は、事前に回収ボックスを設置する施設へ連絡して、指示を仰いでください。その状態のままで回収ボックスへ入れるのは、ボックス内で発火して火災のリスクが高まりますので、絶対にやめましょう。
――実際、どのような場所での発火例がありますか?
宮川 家庭だけでなく、ごみ収集車や処分施設での発火も報告されています。発火リスクが非常に高いのが、一般ごみとしてリチウムイオン電池製品を捨てることです。
モバイルバッテリーやモバイルファンだけでなく、ワイヤレスイヤホンや加熱式たばこなどは小型なことから一般ごみとして捨てられることがあり、問題となっています。自治体によっては回収した一般ごみに紛れたリチウムイオン電池製品の確認作業もあり、そのコストも大きな負担となっています。
リチウムイオン電池製品はサイズに関係なく、強い衝撃や圧縮されることで発火する構造だということを覚えておきましょう。
発火した状態のモバイルバッテリー。まず煙が出て、その後一瞬で火花を散らしながら発火。一般的な花火よりも大きな炎を噴き出すなど危険
発火したバッテリーは、火花が収まった時点で大量の水をかけて消火
――ごみ収集車や処分施設で発火したら、作業も中断してかなりの損害。「小さいから大丈夫でしょ!」で捨てるのは大間違い! では、使用中のモバイルバッテリーなどが発する〝危険信号〟的な挙動はありますか?
宮川 例えば、充電中に「異常に発熱する」「とにかく充電が遅い」といった挙動。そして、本体が膨らむ、充電・給電時に焦げ臭いなどですね。この場合は内部のリチウムイオン電池に異常があることが考えられますので、すぐにメーカーに相談するのがよいでしょう。
そして、こういった異常な挙動が出る前からユーザー側でできることとして、「リコール情報の定期的なチェック」を行なうことも重要です。NITEには「メーカーがリコール発表した後に発火」というケースも報告されています。
――それは超重要! リコールのチェックは具体的にどういった方法が?
宮川 消費者庁の「リコール情報サイト」、NITEでも「NITE SAFE-Lite」というフリーワード、メーカーや製品名からリコール情報を検索できるサービスを提供しています。異常な挙動のない製品でもリコールチェックを行なうことで、より安心して使用できます。
――モバイルバッテリーやワイヤレスイヤホンなどは、常に持ち歩いて、雑に扱われることも多い製品。異常な挙動につながるような使用シーンはありますか?
宮川 まず、衝撃です。リチウムイオン電池などは衝撃に弱く、ズボンのポケットぐらいの高さから道路に落とした衝撃だけでも異常な挙動につながる恐れがあります。そして、熱。夏場にクルマのダッシュボード、冬場にストーブの付近に放置するのは絶対に避けてください。
気をつけてほしいのは、落下や熱にさらされても、すぐに異常な挙動が現れるとは限らないということ。なので、異常が疑われる場合はしばらく使用を控え、様子を見ることも重要です。
また、自分で落下させた認識がなくても、本体に傷やヘコミを発見した場合も様子を見ることにしてください。
現在、ECで散見される電動アシスト自転車用の非純正バッテリー。純正品に比べ安く、レビューも高評価だったりするが、中には低品質の製品もあり発火リスクも!
過充電された低品質のメーカー非純正バッテリーが発火した状態。火花、炎共にモバイルバッテリーよりも大きくなっている
――では、新たにリチウムイオン電池製品を購入するときにチェックすべきポイントはありますか?
宮川 PSEマークです。これは電気用品安全法の基準に適合した製品に印字されるマークとなります。モバイルバッテリーでは、PSEマークと事業者名の印字のない製品は、国内では原則販売禁止とされています。まずは、実機やメーカーのホームページからPSEマークの有無を確認しましょう。
――現在、多くのECでは「◯◯◯(対応する製品名)の互換バッテリー」といった名称でリチウムイオンバッテリーそのものが販売されています。これらの安全性は?
宮川 NITEでは、これらを「非純正バッテリー」と呼んでおり、低品質の製品も散見されています。中でも電動アシスト自転車用の非純正バッテリーは複数個のリチウムイオン電池を内蔵する大容量の製品です。搭載されている電池数が多い分、品質の劣る製品では発火リスクも高まります。
――これは要注意! ECでは非純正バッテリーが、純正品の半値以下で販売され、コスト面で非純正を選んでしまうのはわからないでもありませんが......。やはり〝格安=危険〟という認識が正解?
宮川 ECで販売される製品のすべてがダメなわけではありませんが、「安さの背景に品質管理の不備がないか」という視点で注意する必要があります。
一方、国内事業者は、PSEマーク印字のない製品を販売することは法律で禁止されています。PSEマークがついた製品を正しく選んでください。値段は高くなりますが、こういった製品を選ぶほうがより安心して使用することができます。
――近年、リユース店でも多くのリチウムイオン電池製品が販売されています。これらを選ぶときの注意点は?
宮川 充電回数や衝撃の有無など、過去にどういった使用をされたかわかりません。なので、バッテリーのコンディションを判断するのは厳しい状況です。
――そう考えると、メーカーが直接販売する中古品である「再整備製品」は〝バッテリー交換済み〟が多いので、安全性が高いかもですね。では最後に、安心・安全に使用するためにユーザーはどういったことを意識するべきでしょうか?
宮川 リチウムイオン電池製品は強い衝撃や圧縮されることで発火します。そのことを強く意識して使用・廃棄をしていただければと思います。
――4月24日からは、国内・日本発着国際線の旅客機内での使用禁止・持ち込み制限など新ルールも登場したモバイルバッテリー。また、今年に入ってからは、より安全性を向上させた次世代バッテリー搭載製品も登場。今後のさらなる技術革新に期待です!