【みんなの給与明細】報酬ダダ下がり、リストラに歓喜...。逆境で奮闘する仕事人たち

取材/鈴木 旭 友清 哲 西田哲郎 東川 亮 東田俊介 南ハトバ 茂木響平 山口真央 吉岡 俊 吉川明子 文/友清 哲 イラスト/服部元信


日本経済に何よりも必要なのは賃上げ! そう信じる週プレは、現役世代の賃金事情を2023年から毎年調査し続けてきました。物価上昇が始まってはや4年。ベアはどこまで浸透した? ボーナスは? 原油高やAIの影響は? 総力調査した!

どんな業種であっても時代の波にはあらがえない! 今回は、強烈な逆境の中で奮闘する仕事人たちをご覧あれ!【みんなの給与明細2026年 春闘お疲れさまでしたVer. Part6】

*本特集に出てくる年収やボーナスは、額面の金額です。すべて個人に対する取材によるもので、職種や業界の平均値ではありません

*  *  *

【この先どうなってしまうの!? 逆風業界】

●武田薬品工業 管理部門(女/30代前半)

<年収>1000万円 
<冬のボーナス額>90万円 【前年比】→ 
<ベアは?>あり

製薬会社として国内トップをキープしているが、近年は減収増益。業界全体として伸び代が少なく、人材の流出も増えている。うちも昨年、700人弱の人員整理を発表したばかり。

しかし、ボーナスや給与への影響はなく、基本年収が850万円、残業や補助などを含めると額面は1000万円程度になるので不満は少ない。業績や個人成果による変動もないので楽な気持ちで働けている。

研究開発部門やMR(医薬情報担当者)を対象にリストラはあったが、早期退職者には年収5年分に相当する退職金が提供されるので、むしろ喜んで手を挙げる人も多かったようだ。

●生命保険会社 営業(男/40代前半)

<年収>1050万円 
<冬のボーナス額>60万円 【前年比】↓ 
<ベアは?>なし

プルデンシャル生命保険の不祥事の影響で、顧客のガードが堅くなった。

提携カード会社の会員向けの「無料ライフプラン相談」のような企画も、勧誘と見られて敬遠されがち。

オンライン面談でもアポを取るのが難しい状況が続く。また面談にこぎ着けたとしても、ヒアリングから家計・保障の現状分析、設計書作成まで作業負担は重いのに、見積もり段階で保留されることが多くなった。

業界全体として保険料収入は減少傾向にあり、完全業績給のため、今年は前年度と比べて年収が1割下がった。それを埋め合わせるために業務時間が増え、家族との時間が減っている。

●建設業 施工者(男/20代前半)

<年収>450万円 
<冬のボーナス額>25万円 【前年比】→ 
<ベアは?>なし

仕事柄、施工の規模により受注金額が異なるため、年収は割と変動しがち。現場監督が管理会社にプレゼンして仕事を得る仕組みで、施工方法や過去の実績によってその"勝率"が左右される。

昨今の資材の高騰がダイレクトに影響するのが建設業界の弱点。施工方法によっても原価は変わるし、それなりの案件を受注しても、売り上げはタイル、塗装、防水、電気、とび(足場)、コンクリートなどなど、現場に関わったさまざまな職人に割り振らなければならないので、会社としての実入りは少ないと思う。

基本的には、人工(じんく)の数が増えると分け前が減ってしまうので、カバー範囲の広い人が強い業界ではある。

たまに若手で年収1000万円を超える特殊なケースも耳にするが、それは下請けに発注せず個人で仕事を丸々引き受けられる人に限られる。ちなみに自分の専門は防水で、物価高で材料の値段が上がっていることから、報酬は減少傾向。

職人は皆、陽気で明るい人が多く、体力自慢が気合いで仕事をこなしているような昔ながらの世界。監督によっては毎日飲み会を開くケースもあった。

実はさほど浮き沈みのある業界ではないのだが、結局、個人の職人として稼ぐのは難易度が高く、しっかり稼ぐには監督になるしかないのが実情だ。

●フードデリバリー配達員(男/50代半ば)

<年収>600万円 
<冬のボーナス額>なし 【前年比】→ 
<ベアは?>なし

主に弁当などフード系の配達をやっている。業務時間の設定が自由でマイペースで働けるのはいいのだが、年々、配送費が下げられていて、業務時間を長くしないと同じ収入が得られなくなってきているのが大きな悩み。

比較的新しい業態であるため、数年前の黎明期(れいめいき)は配達員を募るために高待遇の現場が多かった。

おかげで当時は誰でも短時間でけっこう稼げたが、最近は配達に伴うリスクに対して割に合わないという声も増えている。

なお、登録の自由度が高い仕事なので、競合するサービス間で配達員の奪い合いが激化中。

●留学エージェント 営業(男/30代前半)

<年収>550万円 
<冬のボーナス額>15万円 【前年比】↓ 
<ベアは?>なし

留学希望者からの問い合わせに対応し、学費・滞在費を現地通貨から円換算して見積もりを作成するほか、学校選びやビザ、航空券、保険、現地サポートまで一気通貫で提案する仕事。年収550万円のうち、200万円前後が成約率によるインセンティブで占められている。

ただ、最近は「予算を下げたい」ニーズが多く、当初は欧米希望でも、東南アジアや東欧などコスパのいい留学先に変更するケースが多い。

さらに円安でコストの総額が見通しにくいためか、成約直前で延期や中止を申し入れられたり、分割での支払いを相談されたりすることも。

●東海地方の電鉄系百貨店 販売(女/40代後半)

<年収>500万円 
<冬のボーナス額>なし 【前年比】→ 
<ベアは?>なし

百貨店という業態はオワコン扱いされがちだが、どちらかといえば、強者と弱者の格差が広がっている印象が強い。

例えば都市部の大手は、インバウンドや富裕層需要を取り込んで好調なところもある半面、地方や中堅どころはかなり苦しいのが実情。特に昔ながらの百貨店モデルから脱却できず、若い世代の購買行動の変化に対応できずにいるところは厳しいはず。

待遇面も、20年以上働いてきて年収500万円というのは苦しく、現場には先行きへの不安が蔓延(まんえん)しているのも事実。

それでも、この仕事や店舗自体に愛着を持つ従業員は多いのが業界の特徴かもしれない。

  • 友清哲

    友清哲

    ともきよさとし

    ルポライター、編集者。1974年生まれ、神奈川県横浜市出身。編集プロダクションを経て、1999年よりフリーライターとして独立。2001年から「このミステリーがすごい!」の編集に携わり、エンターテインメントの評論活動を行なう。17年には父親をテーマにしたアンソロジー『I Love Father』に参加し、小説家デビュー。『物語で知る日本酒と酒蔵』『日本クラフトビール紀行』など著書多数。
    Instagram【satoshi.tomokiyo】

この記事の特集

編集部のオススメ

関連ニュース

TOP

週プレNEWS春のプレゼントキャンペーン