俳優・高良健吾さんの人生を動かした映画体験とは? 俳優・高良健吾さんの人生を動かした映画体験とは?

『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies~その映画が人生を動かす~』。

今週は映画『蛇にピアス』『ソラニン』などの作品で知られ、今月19日に最新作が公開される俳優の高良健吾(こうら・けんご)さんが登場!

* * *

──子供の頃に見た映画で印象に残っているものはありますか?

高良 原風景として自分の中にあるのが『学校の怪談』(1995年)。初めて見たのは小学校2、3年生の頃で、学校でもけっこうなブームになっていましたね。このシリーズは全部好きで、今見直しても面白いんですよ。

──どのへんがグッとくるんですか?

高良 いまだにキュンキュンできるってどういうこと?っていう。見ていてうらやましくなるんですよ。

──ああ、なるほど。ノスタルジックで大人にも人気ですもんね。

高良 いろんな意味で大切な映画になっている気がします。といっても、今の自分につながっている作品かというとそこは違うんですけど。あくまで好きな作品ですね。

──では、影響を受けた作品は?

高良 熊本にいた頃に見た作品でいうと、同郷出身の行定勲(ゆきさだ・いさお)監督が撮った『GO』(01年)。同じ熊本の人がこういう映画を作っているんだと衝撃を受けましたね。

──窪塚洋介さん主演で、柴咲コウさんがヒロインの作品ですね。脚本は宮藤官九郎さん。

高良 あと、映画ではないんですけど、僕がこの世界に興味を持ったのはドラマ『私立探偵 濱マイク』(02年)なんです。

──著名な監督が交代でメガホンを取った作品ですよね。

高良 僕が中学校3年生のときに放送されて、「よくわかんねえな」と思いながらもすごく面白くて。気になって監督たちがこれまでに撮ってきた作品を見たんですけど、今までに見たことのない映画だらけだったんです。例えば、青山真治監督の『EUREKA』(01年)とか。訳がわからないけど、それが面白くて。

──俳優になってからはどうです?

高良 柄本佑くんにはいろんな映画を教えてもらいましたね。10代の頃に出会ったんですけど、彼は本当に映画好きで。銀座シネパトスがまだあったときに、ふたりでロマンポルノの2本立てを一緒に見たりして。

そういう意味では、僕が本当に映画のことを好きになったのは柄本佑くんの影響なんですよね。

──監督の持つ世界観が表れている作品が好きなんでしょうね。俳優として監督と対峙(たいじ)する上で大事にしてることはあります?

高良 やる前からいろいろ聞かないってことですかね。実際にシーンが始まる前から「こうしたいです」みたいな話し合いをしない、ということはどの現場でも心がけています。リハや段取りの段階で「こうなのかな?」と自分が思っていることを実際に演技を見せて、そこから話し合いを始める。

──それはどうしてでしょう?

高良 そっちのほうが不安でいいじゃん、って思うんですよ。それに、自分が演じることで今から提示しようとしているものを口で説明するより、リハや段取りで実際にやってみて、監督が「じゃあこうしていきましょう」ってなったほうが、広がる可能性がある気がしていて。話も早いですし。

──今回の『アンダー・ユア・ベッド』の撮影はどうでしたか?

高良 それが違って。現場に行くと必ず監督が待ってくれていて、「今日のシーンをちょっと考えよう」って。

──なんと(笑)。

高良 それが逆に新鮮でしたね。最初は「でも、やんなきゃわかんなくないですか?」という気持ちもあったけど、監督も「そうなんだけど、その前に理解してほしい」と。そういったやり取りを毎朝、けっこう長い時間していたんです。

とはいえ、そういうのって結局は何がやりやすいとか、そのレベルだけの話なんですけどね。自分が普段しないことをしたからって、別に何かがダメになるわけでもないし。

──演じてみせる前に、しっかり話し合って役を作っていったと。

高良 もともと、リアルとか自然とかって自分のなかで本当に大切なことだったんですよね。「普通の人はこうだ」「いくら映画が虚構の世界であっても、こんな行動しない」みたいな。でも、経験を積んでいく中でそういうこだわりのようなものがどんどんなくなっていって。

──抜けたというか。

高良 まだそこまでは。いつか抜けたって言いたいですね。

──かっこいいなあ。映画って、役者さんの成長過程が作品にすごく影響しますよね。

高良 しますね。本当は影響してほしくないですよ、僕は。だって、その人が私生活で考えていることとか、私的なものが出てしまったらよくないですもん。

なぜそう思うかというと、自分の地元が震災にあったとき、その震災を題材にした映画に出させてもらったのですが、『ご自身の思いも込められたんですか?』と聞かれることがあって。

──それって俳優という職業に失礼ですよね。

高良 僕が震災に対して思う気持ちと役で演じることはまったく別ですから。個人的な気持ちを役にも持たせるなんてことはしたくない。

──否定したからって震災への想いがないということではないし、それと俳優の高良健吾は違うと。

高良 でも、現実として個人的な気持ちが出ちゃう部分は確かにある、というのが難しいところで。

──でも、それがいいんじゃないんですか? 出したくないのに出ちゃうみたいな。高良さん自身も作品も、輝きを増す気がします。

★この続き、後編は7月24日(水)配信予定です

●高良健吾(こうら・けんご)
1987年生まれ、熊本県出身。2005年にドラマ『ごくせん』で俳優デビュー。幅広い役柄を演じ分け、数々の賞を受賞している

■『アンダー・ユア・ベッド』7月19日(金)テアトル新宿ほか全国順次ロードショー
配給:KADOKAWA

【★『角田陽一郎のMoving Movies』は毎週水曜日配信!★】