世界的な抹茶ブーム。投資するなら茶葉じゃなくて粉末?【坂本慎太郎の街歩き投資ラボ】

構成/西田哲郎 撮影/榊 智朗


 
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!

今週の研究対象 
抹茶味の食品(仙波糖化工業)

近年、抹茶が世界中で人気を集めており、輸出額は過去最高となった。さて、抹茶"味"のお菓子って、どうやって作ってるんだろう? 実は抹茶味を生み出す粉末を製造する上場企業がありまして......。

助手 先日、渋谷のドン・キホーテに寄ったんですけど、抹茶味のお菓子が山積みでした。外国人観光客がわれ先にと手に取っていて、抹茶ってもう"日本土産の定番味"なんだなぁと。ここまではやってるなら、抹茶とかお茶関連の会社に投資してみたいんですけど。

坂本 目のつけどころはいいね。ただ、茶葉だけを扱う会社は、需要増の恩恵と同時に茶葉高騰の影響も真正面から受ける。お茶の栽培量は急に増やせないから、国産茶葉はすでに不足気味で高騰しています。とはいえあまりに売り値を上げると今度は販売数量が落ちるかもしれない。だから視点を少しズラしたほうが面白そうかな。例えば、抹茶味の商品が増えると食品メーカー向けの粉末茶を作る仕事も増えます。そこで出番が増えるのが仙波糖化工業です。

助手 砂糖関係の会社ですか?

坂本 名前はそんな感じだけど、粉末加工が得意な食品原料メーカーですよ。カラメルの製造を祖業に、今では粉末茶や粉末醤油、フリーズドライ素材も製造しています。抹茶味のお菓子や飲料を作るとき、メーカーが欲しいのは一般消費者がイメージするような高級な茶葉ってわけじゃありません。「色がきれいに出る」とか「味が安定する」「均一に混ざる」みたいな、商品づくりに適した性質を持つ"お茶由来の原料"なんです。  

助手 確かに、抹茶チョコに茶葉がそのまま入っているわけじゃないですもんね。

坂本 そう。その点、仙波糖化なら粉末化やブレンド、フリーズドライなどの加工技術を生かして、最高級の国産抹茶でなくても、菓子や飲料向けには十分に使える規格の原料に仕上げられます。しかも味や色に関わるので、食品メーカーに一度採用されれば簡単には変えられません。

助手 なるほど。見た目は同じ抹茶味の商品でも、裏側ではかなり細かく調整されているんですね。

坂本 そういうことです。国産茶葉が高騰する中で、海外産も含めた多様な原料をどう組み合わせるか。ここに同社の技術が生きるわけです。

助手 でも、海外産の茶葉なんてそんな簡単に調達できるんですか?

坂本 確かにそこはポイントになる。仙波糖化は中国やベトナムでも事業を展開してきた分、現地に原料や加工のルートを持っています。だから、海外原料をただ安く使うのではなく、日本の食品メーカーが求める色や風味、扱いやすさに合わせて仕上げる余地がある。国産茶葉だけではコストが合いにくくなった商品でも、用途に応じて海外産原料を組み合わせられれば、価格を抑えながら抹茶味の商品を作り続けやすくなるわけです。

助手 いかにも抹茶ブームの追い風を生かせそうです。実際の業績は?

坂本 2026年3月期は売上高約194億円で営業利益9億円、今期は売上高201億円、営業利益9.5億円で増益見込みです。急激に業績が伸びるタイプのビジネスじゃないけど、粉末茶や粉末調味料、冷凍和菓子、健康食品受託など各事業をじわじわ積み上げながら伸ばしていく方針です。特に、茶葉高騰の影響を抑えながら利益を守れるかに注目だね。

助手 おぉ、じゃあ投資しても大丈夫ですよね?

坂本 ええ。粉末茶の需要が伸びている状況で価格改定をしっかり実現すれば、利益は少しずつ厚くなる。PERは11倍台で株価も高くはないし、長期投資なら申し分ないよ。

今週の実験結果
値上げがきっちりできれば利益率は高くなる。株価も割安です

★『坂本慎太郎の街歩き投資ラボ』は毎週月曜日更新!★

  • 坂本慎太郎

    坂本慎太郎

    さかもと・しんたろう

    こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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