ビートたけしが“世界の北野武”となる中、相方として自分の生き方を通してきた、きよし師匠 ビートたけしが“世界の北野武”となる中、相方として自分の生き方を通してきた、きよし師匠

あの国民的バラエティ番組のスピリットを引き継ぎ“友達の輪”を!とスタートした『語っていいとも!』

前回、芸人の玉袋筋太郎さんからご紹介いただいた第16回ゲストは大先輩で師匠と仰ぐビートきよしさん。

漫才ブームの80年代にツービートで一世風靡、ビー トたけしの相方として独特の存在感を発揮し、いまだリスペクトされるその人物はやはり只者ではなかった? 先週は、女を口説いて食べさせてもらった時代、驚きの?モテ自慢などを伺ったがーー。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)

―そういえば、ツービートの絶頂期も給料制だった時、振り込みじゃないから現金を手渡しでもらって。札束が財布入りきらないで、ズボンのポケット入れたまま使ってなくなっちゃったという話が(笑)。

きよし そうなんですよ。ひと晩で100万とか使ってたもんね。あっという間に金なくなるじゃないですか。1ヵ月で2千万なくなっちゃったこともあったよ(笑)。全部遊びに使っちゃって。

―2千万! 遊んで使って、そしたらまたなんか入ってきて…?

きよし 遊びたいから仕事もやるんだね、おそらく。自分の好き勝手なことやりたいから仕事やんなきゃいけないかなって感覚でさ。けど、遊ぶ金ぐらいでいいやって。だから事務所にも、仕事もっと取ってよなんて言わないもん(笑)。

―それで回っていく人生っていうのが、やはり師匠らしさなのかと(笑)。

きよし いや、俺はね、東京出てきて、なんか知らんけど、こうやって今までボウフラみたいなもんだよね。ほんで、遊んで生きてこられたんだよ。ボウフラなんじゃないかな、フラフラフラフラしてさ。

―ははは、ちなみに玉袋さんは、自分は便所のカマドウマみたいなもんだって言ってました(笑)。

きよし で、俺はカミさんに怒られたりするんだけどさ。遊んでばかりいてとか麻雀ばっかりやってとか。早く帰ってきなさいよって言われるんだけど。

―ある意味、理想じゃないですか。それでも愛想を尽かされず…。

きよし いや、だから女性を教育しなきゃダメなんだって! 俺はこういう男なんだから、それでもよければってね。で、なんで今のカミさんとも一緒になったかなんですよ。そん時、俺まだ東京住んでてね。世話になってた人が横浜で、店に働いてるコを口説きに行くわけだよ。で、俺を連れて行くの。

そのパブが関内のすぐそこで、カミさんが今でも店やってるんだけど。もう30~40年ぐらいかな。で、横浜遊びに来て疲れちゃってね。もう帰るの嫌になっちゃうじゃん? そしたらカミさんが送ってくれたの。俺がさ、東京に女と住んでんだよって言っても送ってくれて。芸人の女房にするの、こういうのがいいかなと思って一緒になったんですよ。

「女いるのすぐバレちゃうんだ」

―イイ話になってますね。ではその頃から奥さんは店をやられてて、いまだにずっと。

きよし で、今また新しくみなとみらいに『エムエムタイ』ってタイ料理屋をやってるんで。また働き者なんだよね。な~んか知らんけど、カミさんは働いてばっかり。俺、遊んでばっかり(笑)。

―でも、店商売で長いこといろんな人間を見てるのもあって、懐が深いというか、許容する度量もデカいのでは?

きよし でもね、カミさんの兄貴も女たらしだけど、またいい男なのよ。関内では有名なんだ。兄貴がそうだから、俺が遊んでてもあんまり動じないんじゃない? 男ってそんなもんなんだろうなってさ。

やっぱりカミさんっていうのはすごいですよ。子供をふたり育ててさ、俺なんか、何も面倒見たことないし。で、自分が働いて、家庭をやってきたわけでしょ。だから文句言わないの。家庭がぐちゃぐちゃだと、こんなんしてられないもんね。

―すっかり奥さんへの感謝のような懺悔(ざんげ)のような(笑)。

きよし そのカミさんの兄貴も言うんだもん。女遊びしてもいいから家には帰れって(苦笑)。俺、8年ぐらい他の女と住んでたことあるけど、うちのカミさんに女いるのすぐバレちゃうんだから。どこ住んでるかまでわかってたからね。

―やっぱり上手(うわて)なんですかね。それこそ掌(てのひら)の上で転がされて、どうせ最後は戻ってくるんでしょ、みたいな。

きよし そうなんだよ。いつ帰ってくるのって言ってさ、やっぱり最後にはカミさんなんですって。なんだかんだ言ったって女房は強いですよ。帰る所はそこしかないんだもん。

―やっぱり奥さんの器も大きんでしょうけど。それほど師匠のどこに惚れたのか、お聞きしたいぐらいです(笑)。

きよし いや、惚れてはいないけど…。結婚しなくていいよって言ったのよ、カミさんは。だけど、子供できちゃった以上、責任とんなきゃいけないよね。

―でも愛想尽きたとか堪忍袋の緒が切れたとか、縁が切れる夫婦はいくらでもいますが…。

きよし カミさんO型だから、O型の女性っていうのはすごい尽くすんだけど、ダメだと思ったら手の平ポッと返すじゃない? それが返んないでいるってことは、もう最初から子供みたいな感覚で俺を扱ってるのかもしれないね。

「漫才のコンビって仲が悪いんだよ」

奥さんといい、たけし師匠といい相方に活かされたというか、お互いに恵まれたんでしょうか。

きよし そうね。でも夫婦っていうのはさ、肉体関係あっても別れる奴いっぱいいるわけでしょ。コンビっていうのはなんの関係もない、仕事で繋がってるだけなわけじゃない。そんな時に俺が俺がって言ったら余計分裂しちゃうんだよ。だからどっちかが妥協していかなきゃダメなんです。

やっぱり、野球だってバッテリー組んでさ、キャッチャーがサイン出すわけじゃない? いろいろバッターの研究してね、こう投げろって。で、勝てばピッチャーが勝利投手なわけだよ。キャッチャーなんか何も出てこなくたってさ、でもそういう役目を背負っちゃったらしょうがない。それで一生生きてきたんだから、もういいのそれで。

―師匠の座右の銘で、まさに“生きてるだけで丸儲け”的な達観にも通じるような。

きよし うん、そうだと思うよ。だって解散してもいいんだもん、相方からすれば。俺と仕事やって負担になるんだったら、ひとりでやったほうがいいわけじゃない。気を遣って負担かけるんだったら自分でやって売れててくれたほうがいいわけよ。

まぁ時代が変わってたら、俺のほうが上だったかもしらんけどさ(笑)。こういう時代に相方の頭の良さでハマってるんだから。それにケンカ売ったって、こっちが負けるだけだもん。だからケンカうたないで、やっぱり楽しく生きたほうがいいでしょ。

―それこそ仲違いしてとか、いろんな芸人コンビがいるわけですが…。

きよし 大体、漫才のコンビって仲が悪いんだよ。相手の悪口言ったりさ、そんなのばっかりでしょ。そういうのなりたくないじゃないですか。相方と同じことやっていこうとしても勝てるわけないしね、どう考えても。自分の個性でずっとやっていくしかない。俺は俺の道行くしかないんだもん。

―でもいまだに仕事でも事務所の所属でも、たけし師匠が手を差し伸べて、いろいろやってくれるのは愛情なんですかね。下積みから喜怒哀楽を共にされて…。

きよし う~ん、どうなんだろうね。いや、でも過去のことはね、そんなに思っていない…そういうことじゃないと思うんだな。要するに、今となって他の芸人とか、よっぱど仲の良い芸人だったらあれだけど、そういう違う奴と遊ぶんだったら、俺と遊ぶほうがいいのかなって思うくらいでさ。

―一緒にゴルフやって遊んだり、ほっとするんですかね。気を許せるというか。

きよし うん、そこはね。かもしれないね。

「相方とコンビ組んで酒飲まなくなった」

―ちなみにどんな会話をされるんですか。バカ話とか、他愛もないやりとりを?

きよし いや、そうでもないんだよね。結構、今度こういう番組やろうかとかさ。そういう話もするよ。

―時事話とかも? それこそ、今時のTVはつまんなくなってよとか。

きよし いや~。そういうのはないかな。そりゃ自分では思ってると思うよ。うちの相方のことだから今の若手を見て、思うことはいっぱいあると思うんだよね。だって俺が思うんだから、思わないわけがない。でも、あえて言わないんじゃないですか。あんまり批判的なことは言わないもんね。

―なるほど。プライベートでは、やはり寡黙(かもく)というか仕事の表舞台で見せるのとは真逆な感じで。

きよし そうそう。だから、番組になった時と普段とコロっと変わるよ。TVと同じように言ってると疲れるじゃない。ゴルフやる時は普通に楽しんでやってます。

―というわけで、そろそろお時間ですが。芸人仲間ではあまりつるまないというお話で、飲み仲間も特にいたりは…?

きよし 俺、酒飲まないじゃないですか。だから、そういう場で飲むのはいいんだけど、べろんべろんになるのは大嫌いなんだ。もうね、女の酔っぱらいも大っ嫌いだもん。女がベロベロなんてさ。

昔、付き合った女がそうなって、家まで送ってタクシーから降ろしたら、道にベターってなっちゃって。立てないんだもん。もう重くて抱けないしね、運ぶにも運べないし、寝転がっちゃってるでしょ。誰かが見てさ、ビートきよしが女になんかしたんじゃないかとか思われるのも嫌じゃない? しょうがないから警察に電話して、おまわりさんに来てもらって運んでもらったよ(苦笑)。

もう、本当に俺はそういうの大嫌いだから。みっともないよね。飲んでも、ちゃんとしっかりしてりゃいいけどさ。でも、うちの親父も大酒飲みで、家系が全部大酒飲みなんだよ。で、俺は相方とコンビ組んで酒飲まなくなったの。

―飲めなかったわけではなく、周りのそういうの見て嫌悪が?

きよし そう。売れてない時にいろいろ頼んで仕事とってきたの、仕事場来たらベロベロなってるとかさ(笑)。クレームついて謝り行ったってギャラもらえないんだもん。これ、ふたりとも酒飲んだらえらいこっちゃって。ほいで、酒飲めなくなっちゃった。

次回のお友達は、あのパワフルな…!

―どちらかがそこで冷静になっとかないと、と。それもコンビ間のバランスなんですかね。これで師匠もお酒飲んでたら、それこそ身を持ち崩してたかも?(笑)

きよし うん…いや、それは一緒だね。酒か、違う遊びかでさ。結果的に酒飲まないから金残るかって言ったらそうじゃないんだよ。…ただね、僕思ったのが、昔よく銀座連れてかれたんだよ。で、酒も飲めないのに一緒に行こうって言われて、3軒ぐらいハシゴするんだけど、ふたりで30万とかですよ、最低。

ほいでその後、女のコ連れて六本木行って、また金使ってね。終いには体壊してみんな入院だもん。だから、バカかなと思うよね。1日100万円以上使ってさ、朝起きたら何も残んないわけでしょ。それで、おしっこしたら終わりだよ。それでもああいうとこ飲みに行くんだから不思議だよね~。

―それこそムダ銭ですか?

きよし ムダ銭。それだけ金が回ってたんだろうけど。そんな金あるんだったら、なんかやればいいのになって思うんだよな。

―(笑)。というわけで、お友達を…。

きよし 松崎しげるさんなんかいいんじゃない? よく知ってるから。同じ年なんだよ。ゴルフとか結構会うんだよね。いろんな所で。

―相性が合う感じですか? 松崎さんもあんまりこだわらなさそうというか。

きよし そう、気さく。すごい気さく。性格も何も正統派だよね。ほんと、同じ年で元気だからさ。やっぱりね、あのパワーはすごい! 歌っても、あれだけ声出るんだもん、いまだに。だから団塊の世代って強いよね。今の若者には負けない! いつまでもやっぱり若い気持ちでさ。

―では、松崎さんの若さとパワーを目の当たりにできればと思います(笑)。ありがとうございました!

第16回は2月14日(日)配信予定! ゲストは歌手の松崎しげるさんです。

●ビートきよし 1949年12月31日生まれ、山形県出身。72年にビートたけしと漫才コンビツービートを結成。80年代、漫才ブームに乗り一世風靡。早口の毒舌でまく したてるたけしに対する「よしなさい!」というツッコミは流行語になった。その後、『オレたちひょうきん族』『スーパーJOCKEY』などTV番組で も活躍。漫才ブームが終焉を迎えると共に、コンビでの出演は減ったが、解散したことは一度もなく、現在でもたまにツービートとして舞台で漫才をする。現在は舞台、ラジオなどでも活躍。12年に東邦出版から発売された『相方 ビートたけしとの幸福』が好評発売中

(撮影/塔下智士)