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商品の低価格化による単価の下落、フレームやレンズの高騰による粗利益の低下などにより、厳しい局面を迎えるメガネ業界。Zoff(ゾフ)によるメガネスーパーの買収は、業界再編の号砲なのか?【ニッポン経済 令和の業界再編 三国志 Part5.メガネ】
*社名、店名表記はホームページに準拠。データは5月7日時点で、店舗数は国内のみで、海外店は含まない。売上高、営業利益、時価総額は運営会社のものを、店舗数はグループ全体ではなく、当該ブランド単体のものを記した。売上高を公表していない企業もあるため、店舗数で順位をつけた。価格はすべて税込みで、店舗によって価格が異なる場合もある
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Zoffを展開するインターメスティックは昨年10月、国内に約300店舗展開するメガネスーパーを買収。これによりZoffの売上高は500億円規模から780億円規模へと成長し、業界3位の地位を確立した。売上高が900億円規模のJINS(ジンズ)、眼鏡市場の二強体制に待ったをかけた格好だ。
眼鏡専門誌『月刊眼鏡(がんきょう)』などを発行する眼鏡(がんきょう)光学出版の小島剛(たけし)氏は三強それぞれの特徴をこう分析する。
「JINSはブルーライトカットメガネや近視の進行を抑制するメガネなど、独自商品を次々開発する商品開発力が評価されています。
一方、眼鏡市場は国産フレームを使った高品質な商品を豊富にそろえている点が強み。運営会社のメガネトップはメガネの生産地として有名な福井県の鯖江(さばえ)市に自社工場を持っていますので、品質管理や流通管理をしやすいというのも利点です」
【売上高1位】JINS(運営会社:JINS HD) 《売上高》972億1500万円《営業利益》120億9300万円《時価総額》1568億2820万円《店舗数》560店 現在駅ビルやショッピングモールなどへの出店を加速中。アパレル企業などとのコラボ商品にも力を入れる。また、睡眠環境改善や近視進行抑制といった新機能付きメガネの開発にも精力的に取り組むそして3位のZoffは、若年層に向けた広告戦略が上手だという。
「Snow Manの目黒蓮さんをイメージモデルに起用し、大幅に売り上げが伸びたことも話題となりました。また小学校などの教育現場に出向いて、子供の目の健康についての出張授業を行なうといった取り組みにも積極的です」
流通小売業界のスペシャリストである岩崎剛幸(たけゆき)氏が、三強の現在地について解説する。
「眼鏡市場はもとよりメガネ専門店ですが、JINSは服飾雑貨の製造卸が祖業、Zoffの創業者も紳士服の卸業などアパレル業界に携わっており、いずれも異業種から発展したブランドなんです」
こうした出自の違いから、ターゲット層や顧客に違いが表れている。
「眼鏡市場はメガネ専門店として積み上げてきた知識や経営力により、特に中高年以上の層からの支持が厚い、現時点では最も総合力があるブランドです。一方JINSとZoffは、ファッション性を重視したスタイリッシュな商品が多く、若年層からの支持を獲得しています」
【売上高2位】眼鏡市場(運営会社:メガネトップ) 《売上高》946億2000万円《営業利益》86億5800万円《時価総額》非上場《店舗数》1063店 2021年に全国1000店舗を達成し、規模では一歩先をいく。福井県の鯖江に自社工場を持ち、製造・流通管理まで一貫して行なえることが強み。また、国産フレームにこだわった品質重視の傾向も
そこでZoffによるメガネスーパー買収が効いてくるという。
「メガネスーパーは主に中高年層の顧客を持ち、Zoffは若年層の顧客を持っていますので、今後は互いに不足していた客層を獲得し、幅広い世代に商品を届けることができます。さらに出店エリアもお互いをカバーし合うように分散して広がっている。こうした両社の違いこそがシナジーを生み出すための重要なポイントなのです。
もっと言うと、Zoffはコンタクトレンズ分野には弱い。一方メガネスーパーは、コンタクトレンズの販売にかなり力を入れています。Zoffにとってコンタクトは、ターゲットとなる若年層にしっかりリーチする商材ですから、弱点を補完することができます」
【売上高3位】Zoff(運営会社:インターメスティック) 《売上高》501億5100万円《営業利益》59億9000万円《時価総額》620億2600万円《店舗数》317店 昨年10月にメガネスーパーを買収。最近ではサングラスなどの展開に力を入れ、人気タレントの起用などで若者からの支持を得ている。買収によって新規顧客を増やせるかがカギに
小島氏、岩崎氏共に今後もM&Aのトレンドは続いていくと予想するが、業界内の激しい戦いにおける勝者はどのブランドになるのだろう。岩崎氏はこう分析する。
「現状の流れでいくと"店舗数の覇者"となるのは、やはり1000店を超える眼鏡市場でしょう。
ただJINSは、海外出店やファッションビルなど若者ウケする立地への出店に強く、今後の成長余力の面ではナンバーワン。ZoffはM&Aによって総合力を高めており、若年層だけでなく中高年層までカバーできるようになりつつあるため、時代の変化によるニーズに柔軟に対応できるという面で、最も強力な存在になると思います。
なお、"第4極"として『OWNDAYS(オンディーズ)』や、Japan Eyewear HDが展開する『フォーナインズ』や『金子眼鏡』も注目しています。特に金子眼鏡は営業利益率が32%と、業界トップの水準。どう展開していくのか楽しみなブランドですね」
量販メガネに対するカウンター勢力が台頭し、勢力図が固まりきらないメガネ業界。最後に笑うのは?