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メルセデス AMG GT63 S Eパフォーマンス 価格:3146万円 走るだけで視線を集め、踏めば排気音が本能を直撃する。果たしてこのやりすぎマシン、公道でどんな走りを披露してくれるのか
常識的な市販車の領域を、軽々と踏み越えてきたメルセデスAMGに乗った。「ハイブリッドはエコ」というこれまでの常識を真正面から粉砕した、AMG史上最強のPHEVである。その実力を確かめるべく、あえて公道というリアルワールドへ連れ出してみた。
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時速100キロ到達2.8秒。この数字だけを見れば、もはや問答無用のスーパーカーである。パワーユニットは4リットルV8ツインターボにモーターを組み合わせたPHEV。最高出力816馬力、最大トルクは1420Nm。ハイブリッド=エコという固定観念を粉砕するスペックである。
馬力も十分に常軌を逸しているが、それ以上に目を引くのがトルク。4桁へ突入という、まさに何食わぬ顔で一線を踏み越えてきた格好である。
しかもこのクルマ、無双状態を続けるF1で鍛え上げた技術などを惜しげもなく投入している。ちなみに日本仕様は左ハンドルのみというギンギン設定で、価格はセレブすぎる3146万円。
もはや「高級車」という言葉では追いつかない。メルセデスAMGが本気を出しすぎた結果、世に放たれてしまった化け物カーと呼ぶほうがしっくりくる。
だが、本当に気になるのはスペックでも価格でもない。メルセデスのスポーツブランドAMGが総力を結集して磨き上げた怪物は、果たして公道でちゃんと走るのか。問題は、その一点である。何しろAMGというブランドの成り立ち自体、だいぶ普通ではないからだ。
ボディサイズは全長4730mm×全幅1985mm×全高1355mm。数値以上に、近づくだけで誰もがわかる「ヤバいオーラ」を放っている
とある自動車誌のベテランスタッフは、こう語る。
「AMGのスタートは〝はみ出し者の大逆襲〟なんです。もともとメルセデスのレース部門にいた技術者たちが、会社のレース活動撤退に納得できず、古い製粉所で勝手に開発を始めたのが原点ですから」
つまりスタート地点からして〝完全無欠の非公式〟。勝手に速いクルマを造り始めた、ちとヤバい人たちなのである。だが1971年、〝赤豚〟と呼ばれた巨大なメルセデスのセダンがレースで次々とスポーツカーをねじ伏せると、世界の空気は一変した。
「そこから一気にAMGの名が知れ渡りました。現在F1で圧倒的な存在感を放っていますが、本質は当時から変わっていません。〝レースの技術を、そのまま市販車にぶち込む〟。だから今でもエンジンは一基ずつ職人の手組み。効率化全盛の時代に、ここまで非効率を誇らしげにやり切る。まさにやりすぎにも程があるのがAMGの本質です」
11.9インチの縦型モニターに12.3インチのデジタルメーター、ナッパレザー仕立ての電動14ウェイシート。ド派手なインテリア
そのやりすぎ思想を、一切オブラートに包まず市販車として成立させたのが、このメルセデスAMG GT63 S Eパフォーマンスだという。
実際に走らせると、その異常さはすぐにわかる。ごく普通に走り出したはずなのに、速度感覚が早々におかしくなる。さっきまで遠くにあった信号が、気づけば視界いっぱいに迫っている。
高速道路での合流加速は、血の気が引くデンジャラスさ。時速100キロ到達2.8秒という数字が、決してカタログスペックの飾りではないことを思い知らせてくる。気づけば、思わず「うおっ、スゴっ」とつぶやいていた。
AMGアクティブライドコントロールサスペンションは、この巨体を驚くほどフラットに、そして涼しい顔で走らせる。加えて低速では拍子抜けするほど小回りが利き、高速では問答無用の安定感を誇る。
4.0リットル V8ツインターボ+モーターで、816馬力・1420Nmという、もはや市販車の一線を越えた出力を生むシステム
そして週プレ自動車班が一番感動したのは、コンフォートモード。816馬力の化け物カーに乗って、「結局、コンフォートが最高に気持ちいい」という結論に着地してしまった。スポーツ+やレースモードは、その本領を発揮できる場所がどう考えてもサーキットだからだ。公道では免許の点数がすぐに吹き飛ぶ。
一方でEV走行距離は約13㎞(WLTCモード)。早朝や深夜の走行も静かで安心だ。さらに恐ろしいのは、このクルマが妙に生活力まで高いこと。可倒式のリアシートを選べば、ゴルフバッグも積めてしまう。普通にゴルフへ行けるのである。もう意味がわからない。
結局、このクルマは単に速いクルマではない。歴史的知見、F1由来の技術、4桁トルクなどをギガ盛りにした結果、日常とスーパーカーの境界線を、かなり雑に破壊してしまった存在なのである。
価格は3000万円超。ところがイタリアの高級スーパーカーたちと並べて考えると、不思議なことに「意外と現実的な選択肢なのでは?」と思えてくる。おかしいのはクルマではなく、こちらの感覚なのかもしれない。まさに、人間の公道感覚をサクッとブチ壊す〝魔性のクルマ〟なのである。




