
渡辺雅史
わたなべ・まさし
渡辺雅史の記事一覧
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。
4桁報酬配達のトンデモエピソードを紹介します
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第152回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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東京都内でウーバーイーツ自転車配達をしている私の場合、一度の配達で得られるお金は、ほとんどが320円から600円ほど。昼や夜の注文が多い時間になると700円から900円台の依頼が舞い込みますが、1000円を超える「4桁報酬案件」の依頼はなかなかやってきません。
報酬は需要と供給のバランスで決まるので、例えば雨の日や最高気温が35度を超えるような猛暑日の日中は4桁報酬がよく出るそうですが、自分はそういうときに配達を行なわないので、目にすることがほとんどありません。
そんなわけで、配達依頼の金額の欄に4桁の数字が並んでいるのを見ると、反射的に依頼を受けてしまいます。ですが、そんな案件の中には「これだったら320円の案件を5件こなした方がいい!」と感じるものもけっこうありまして......。
そこで今回は、4桁報酬に釣られて依頼を受けたらトンデモない目にあったエピソードを紹介します。
配達員全体が少ない早朝の時間帯にあるのが、ビックリするほどの長距離案件。午前4時頃になると歌舞伎町など夜の街でも配達員の姿が少なくなります。そうなると、これまでバイク配達員に優先して出されていたであろう配達距離の長い依頼が自転車配達員にも回ってくるようになります。
これが7、8kmほどの距離なら30分から40分ほど自転車を漕げばいいのでまだいいのですが、中には15kmから20kmの最低でも1時間30分、場合によっては2時間ほどかかりそうな配達依頼も入ってきます。
「¥1,517」の数字に釣られて配達距離15.1kmの案件を受けたときは、配達先まで1時間40分ほどかかってしまい本当に大変でした。ただ、運んだものがパックごはんやカップ麺といった、料理が冷めたり麺が伸びてしまうことのない商品で良かったです。
別の日、自転車の配達でよくある2、3kmの距離のもので「¥1,585」の表示を見て依頼を受けたのは個人経営の喫茶店。商品を受け取りに店へ行くと、4人がけのテーブルに大量の袋が......。スマホで配達する商品を確認すると「20×ケーキ&ドリンクセット」。「運ぶ商品はどちらになりますか?」とたずねると、テーブルの上にびっしり置かれている商品に手を向けます。
「何人かの配達員が来られて『この量は運べない』とキャンセルされていったのですが、大丈夫でしょうか?」
どうやら、多くの配達員に依頼を断られるうちに配達報酬が引き上げられ、4桁報酬となったようです。
リュックの底の部分に隙間なくドリンクを入れ、ダンボールを乗せ、その上にケーキの箱を隙間なく並べてどうにか20セットを詰め込み、指示された目的地へ。通常2、3kmほどなら10分ちょっとで行けるのですが、20分以上かけて慎重に運び、なんとかドリンクをこぼさず届けることができました。
以前、沖縄で配達したときにあった「¥2,010」の配達は、距離が4kmと自転車配達員にやってくるものとしてはやや距離の長い案件ですが、2000円を超える高額だったので依頼を即受諾。確認すると那覇市の安謝という港のあるエリアから首里久場川町までの配達。
地元の方はピンときたと思いますが、港ということは標高がほぼ0m。そして首里久場川町の標高は160mほど。しかも最初の1kmはほぼ平坦、残り3kmで一気に登るという地形。電動アシスト自転車で配達していましたが、バッテリーの減り方が尋常ではなく「バッテリーが切れたら、この坂道は地獄だぞ」ヒヤヒヤしながら配達しました。
距離がそこまで遠くないケースでは、「¥1,253」を見て受けたカレーの配達。
受け取りに行った店のカレーは、ルーとライスをセパレートせず、一緒の容器に盛り付けられています。袋越しに見たカレーのルーはシャバシャバ系のもので、配達を始める前からライスに染みていて、置き配の際に確認したらカレーピラフのようになっていました。配達後しばらくして、配達員の評価画面を確認すると「満足度」の数値が下がっていました。BADをもらう可能性の高い商品だったので依頼を断る配達員が多く、配達報酬が上がったのでしょう。
4桁報酬案件の中には、単純に配達員が足りなくて金額が上がったような、配達する側にとっておいしい案件もあります。しかし、気候などの条件がいい時しか配達しない私のような自転車配達員にとっては、クセの強いものばかり。そんなことはわかっているのですが、300円台の数字ばかり見ている時にふと4桁の金額を見ると、ついスマホ画面の「承諾」ボタンを押してしまいます。