ラジオコラムニストのやきそばかおる氏(左)、芸人のヒコロヒー氏が必聴番組を厳選! ラジオコラムニストのやきそばかおる氏(左)、芸人のヒコロヒー氏が必聴番組を厳選!

コロナ禍で、動画全盛期に着々とリスナーが増加しているというラジオ。radikoの普及で、個性の強い地方番組にも脚光が当たっているように、その人気復活の立役者は芸人だけではない。こうした、全国的にはあまり知られていないが、地域密着でキラリと輝く各地のおもしろパーソナリティをラジオマニアがご紹介します!

前回の與古田忠(よこだ・ただし/『ラジオBar 南国の夜』マスター)氏に続き、今回はラジオコラムニストのやきそばかおる氏、芸人のヒコロヒー氏が必聴番組を厳選!

■年700番組を紹介するラジオソムリエ・やきそばかおる「地方ラジオにこそ逸材はたくさん」

昨年6月には名古屋の「RadioNEO」が、11月には新潟の「FM PORT」が閉局になるなど、地方のラジオ局は厳しい状態にありますが、ローカルにこそ面白い逸材が眠っていると思うんです。

2016年から始まった『おもかげ横丁 スナックいがわ』なんて岩手の奥州市でキャバクラ風スナックを営む姉妹の番組ですからね。地域情報を話しつつも、基本はふたりがダラダラ話しているだけ。

ゲストはガソリンスタンドの社長とか地元の一般人。ホントにスナックの会話を再現しているだけなんですが、それでも番組を聴いたファンが県外からお店に来るらしいです。

福岡で放送されている『月下虫音(げっかちゅうね)』パーソナリティの大田こぞうさんも東京にはいない逸材ですね。今年10年目を迎える番組で、大田さんは音楽にめちゃくちゃ詳しくて、彼女の選曲が好評で多くの音楽ファンに聴かれている番組なんですけど、虫にもめちゃくちゃ詳しいんです。

虫トークも多くて、年に一度は昆虫学者をゲストに呼ぶほど。リスナーが珍しい虫を見つけて番組に送ると、本人が調べてくれる。音楽と生き物をコラボさせた異彩の番組です。

ラジコのエリアフリーが始まって以降、マニアは地方で面白い番組があるんじゃないかと探してます。新番組が始まるとみんなすごく聴くんです。宝探しでもあるんですけど、青田買いですよね。みんな古参リスナーになりたい。特に最初は反応が少なかったり、番組の内容も固まっていなかったりするから、そこで一緒に番組を作ってる感覚になれて楽しいんですよね。

ここ最近始まったラジオで最もマニアを震撼させたのは沖縄の『ROK技術倶楽部』です。パーソナリティはラジオ沖縄の若手技術スタッフ3人のみ。ラジオ電波塔の話をしたり、放送局に届く「受信報告書」を紹介したり、これほどマニアックな番組はないでしょう。

社内で3人が技術の話をしていたところ、社長が「おまえら面白いな、番組やってみるか」と始まったそうです。リスナーも同業者が多くて、もう技術者交流会のような状態(笑)。専門的な会話であまりわからないんですが、僕も含めて一般のファンは面白い雰囲気を楽しんで聴いています。

実は岩手のIBCでも昨年10月から『おしゃべり技術くん』という同じような番組が始まったんです。企画はこちらが先でたまたま『ROK技術倶楽部』が先に始まったそう。そんな不思議な巡り合わせからか、いまでは2番組で交流が生まれて盛り上がってます。こんなマニアックな番組ができちゃうのもローカルラジオのよさです。

ローカル局は実験的な番組ができるのが強みですが、一方で大阪のキー局で放送されている『よなよな...』では、画期的なコーナー企画が大ヒットしました。それが水曜に行なわれている「おてドキ☆Xクロストーク」です。

シンガー・ソングライターの近藤夏子さんとアナウンサーの北村真平さんがやっているんですが、近藤さんはもう5年以上恋愛をしていない。だから恋愛相談が来ても答えられない。それならリスナー同士で相談・解決させてしまおうではないかというコーナーです。

「思春期の子供にどう接していいかわからない」という、45歳のおじさんの悩みに18歳の大学生が答えた回は素晴らしかったです。その人のことは知らないけど、自分と近い境遇だから、なんとなくわかる。だからその人の代わりに親身になって答える。この企画の神髄を見た気がしましたね。

著名人のラジオでも注目の番組はあります。若いふたりの番組が気になっていて、ひとつ目は乃木坂46の山崎怜奈さんがパーソナリティの『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』。

昼の帯番組なのでいろんなジャンルのゲストが来るんですが、すべてうまくこなしています。23歳なのにっていうのは失礼ですかね。それなりの経験をしているひとりの立派なパーソナリティ。本当にラジオが好きらしく、地方も含めて多くの番組を聴いています。いろいろな人が評価していますが、それでも理想が高いのか「もっとうまくなりたい」と番組でも発言していて超絶努力家です。

そしてふたつ目が『髙橋ひかる Highway Runway』。芸人ラジオにハマってラジオ好きになった女優・髙橋ひかるさんの初冠ラジオです。トークの内容は髙橋さんの好きなものをひたすら語るというもの。

ゲームや音楽などジャンルはさまざまなんですが、好きなことを話していると、とにかく早口になって、立ち上がってしまうくらい興奮してるんですよ。素のキャラが見えて好感が持てます。朝聴いていると、バァーッと目が覚めるので、一日のスタートにぴったりです(笑)。

【やきそばかおるオススメ番組】
■『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』
TOKYO FM(月曜~木曜 13:00~)出演者 山崎怜奈
昨年10月にスタートしたばかりですが、大物ゲストが来たり、裏番組のラジオで生放送しているナイツと共演したり、話題です

■『よなよな...』
ABCラジオ(月曜~木曜 22:00~)出演者 近藤夏子、北村真平ほか
曜日ごとにパーソナリティが代わりますが、水曜の近藤&北村ペアはリスナーと距離が近く、小学生から80代まで幅広い層で人気

■『月下虫音』
LOVE FM(月曜~木曜 21:30~、日曜 21:00~)出演者 大田こぞう
"昆虫DJ"の異名を持つ大田さんが、リスナーを音楽で癒やす番組。『ちびまる子ちゃん』のような声で話す博多弁にハマりました

■『平成ラヂオバラエティ ごぜん様さま』
RCCラジオ(月曜~金曜 9:00~)出演者 横山雄二、渕上沙紀、中根夕希ほか
広島県内だけで20万人に聴取されている「お化け番組」です。メインパーソナリティの横山さんは14年度ギャラクシー賞を受賞

■『桑原征平 粋も甘いも』
ABCラジオ(水曜・木曜 12:00~)出演者 桑原征平、小川恵理子、永田まり
元関西テレビの大ベテランアナウンサー・桑原さんが当時を振り返るコーナーは番組当初から大人気。臨場感たっぷりで講談のよう

■『おもかげ横丁 スナックいがわ』
エフエム岩手(木曜 21:30~)出演者 井川琴乃、井川綾乃
パーソナリティのふたりは本物のスナックのママで美人姉妹。自分たちの店で収録して、夜のトークを繰り広げます

■『ROK技術倶楽部』
ラジオ沖縄(日曜 24:00~)出演者 ラジオ沖縄 技術局 技術管理部員
ラジオ沖縄の若手技術者がラジオ放送の裏側を語る番組。あまりに専門的すぎて韓国や台湾のラジオ技術者も注目するほど!

■『髙橋ひかる Highway Runway』
JFN系(放送局により放送日時は異なる)出演者 髙橋ひかる
昨年からバラエティ番組でひっぱりだこの髙橋さん。深夜ラジオや筋肉などその偏愛っぷりが爆発。タイトルは高速道路好きから命名

●やきそばかおる
小学生でラジオにハマり、ハガキ職人を経て、ラジオコラムニストへ。大阪・MBSラジオの『福島のぶひろの、金曜でいいんじゃない?』(毎週金曜 15:30~)など、多くのメディアで年間700本のラジオを紹介


■アイドルから活力を得るラジオマニア・ヒコロヒー(芸人)「芸人でないラジオが時に私を助ける」

私は芸人だし、芸人のラジオは好きなんです。でも仕事やプライベートで落ち込んでいるときに、芸人のラジオは聴きたくない。特に同世代の芸人の番組はいやです。ジェラシーなんですかね? 拒絶反応が出ます(笑)。でも、そういうときに芸人以外のラジオなら大丈夫なので、かなり助けられています。

『安住紳一郎の日曜天国』はあんなに温厚そうな安住さんのシニカルさが垣間見えて面白い。ぶっきらぼうな態度をとったり、アシスタントの中澤有美子さんを冷たくあしらう場面があったり、テレビとは違う安住さんが魅力的です。

『ニンジニアネットワーク 和田ラヂヲの、聴くラヂヲ2』はお笑い番組としてすごく好きです。投稿されているメールも和田さん本人の返しも笑えるんですよ。古い喫茶店に行くと常連のおっさんが、低いテンションでめっちゃ面白い話をしていたりするじゃないですか。

それを盗み聞きしている感じ。ボソッとつぶやくひと言が、シニカルで笑えてくるんですよね。和田さんといえば、シュールなマンガで知られていますけど、ラジオでも同じような雰囲気で楽しめます。

あと一番面白いなと思うのが、愛媛で放送されている『電撃!杉作J太郎のドッキリないと5』。まずすごいところが、その情報量。マニアックな知識からくだらない話まで、とにかく話が尽きない。それでいてクオリティが安定しているんですよ。芸人の私でも日によって波があるのに、それが毎日変わらず、いつ聴いても求めてるものをくれる。

あとはひたすらバーッとしゃべっていて聴いている間はめっちゃ笑えるのに、終わった後に何をしゃべっていたのか何ひとつ覚えていないんです。それでもなんか聴いたなって思い出すだけで、気分がよくなる独特な感覚は貴重ですよね。そんなゆるい温度感は世界中に届けと思っています。

それから特に元気が欲しいときに聴きたいのが、『日清オイリオ presents 榊原郁恵のハッピーダイアリー』。榊原さんのハガキを読むスピードがめちゃくちゃ遅い! ものすごく丁寧で朗読劇のように感情を込めて読んでくれます。

それにとにかく明るい。あの明るい声色で「寒いけど頑張りましょう!」とか言われたら、あっ、私も頑張ろうって思います。根っからのアイドルの方なんですよね。

私自身、もともと松浦亜弥さんのファンで、ラジオを聴くきっかけも『松浦亜弥Let's do it!!』(2001~05年、ニッポン放送)だったんですよ。ずっとカセットに録音していていまでも実家に残しているくらい好きで。だから榊原さんのアイドル感には感激しますよね。

アイドル番組でいうと「IZ*ONE」で活躍している宮脇咲良ちゃんの『今夜、咲良の木の下で』もすごい! この番組は弱っているときに染みてきます。宮脇さんはすごく気が強くて、この間の放送でも「もうひとつ上に行きたい。現状に満足したことない」と言ってて、なぜトップアイドルとして君臨しているのかが垣間見える。

あれほど若くてきれいなコから野心が聞けるなんて、なかなかないじゃないですか。それも下品じゃないから、なおさら尊いんですよ。テレビで見せているアイドルの姿とは全然違う。自分に活を入れるじゃないですけど、宮脇咲良の野心は定期的に自分にも入れたくなりますね。

いろいろトークの面白い番組を紹介してきましたけど、ラジオにおいて音楽はすごく大事な存在。この企画を考えたときに、音楽の面白い番組が好きだと再認識したので、それも紹介しておきます。

まずは『山下達郎の楽天カード サンデー・ソングブック』。もともと山下達郎さんが好きでたまに聴いていたんですけど、毎週聴くようになったのは東日本大震災がきっかけでした。

悲観的な情報がテレビで流れるなかで、山下さんが「アーティストを長いことやってるので、こんなときでも皆さんに聴いていただける曲があると自負してます」と言ってずっといろんな曲を流していたんです。その言葉がすごくすてきでしたね。選曲もオルタナティブだったり、シティポップだったりとバラエティ豊か。私の知らない名曲も多いのでオススメです。

そしてもうひとつが、葉加瀬太郎さんの『ANA WORLD AIR CURRENT』。いい音楽番組がないか探していて、たまたま見つけました。葉加瀬さんのことはあまり知らなかったんですが、クラシック以外にも最近のはやりの歌や洋楽も知っていらっしゃって驚きました。

それにクラシックでも最後まで聴いてみたらよかったという曲が多いんです。動画と違ってラジオって早送りができないからこそ、いい音楽に出会えるんだなと感じました。

【ヒコロヒーオススメ番組】
■『日清オイリオ presents 榊原郁恵のハッピーダイアリー』
ニッポン放送(月曜~金曜 10:12頃~)出演者 榊原郁恵
『あなたとハッピー!』内で放送される5分番組なんですけど、ハガキの読み方が丁寧。私もハガキを送りたくなりました

■『電撃! 杉作J太郎のドッキリないと5』
南海放送(火曜~金曜 19:00~、土曜21:00~)出演者 杉作J 太郎、ひなた狼ほか
17年から続く生ワイド番組。杉作さんの膨大な知識から膨らみすぎるトーク。1分間の情報量が桁違いで驚きです

■『今夜、咲良の木の下で』
bayfm(水曜 24:00~)出演者 宮脇咲良
HKT48在籍時代にスタート。宮脇さんのプロとしての姿勢や虎視眈々とした感じがいい。人としてすごい興味が湧きますね

■『ANA WORLD AIR CURRENT』
J-WAVE(土曜 19:00~)出演者 葉加瀬太郎
21年目の長寿番組で旅をテーマにゲストとトークするほか、自身の曲も紹介。番組をきっかけに葉加瀬さんの曲を知りました

■『ニンジニアネットワーク和田ラヂヲの、聴くラヂヲ2』
FM愛媛(土曜 21:00~)出演者 和田ラヂヲ
マンガ家さんがパーソナリティを務める珍しい番組です。芸人のようなチャキチャキ感がなくてとても聴きやすい

■『安住紳一郎の日曜天国』
TBSラジオ(日曜 10:00~)出演者 安住紳一郎、中澤有美子
05年から続くトークバラエティ。安住さんのブラックな一面が光る一方で、恥ずかしいエピソードに焦るギャップも見せます

■『山下達郎の楽天カードサンデー・ソングブック』
TOKYO FM(日曜 14:00~)出演者 山下達郎
1992年から続く名番組。選曲もさることながら、トークも山下さんらしい飾らない感じで、さっぱりしていて面白いです

■『山田五郎と中川翔子の『リミックスZ』
TOKYO FM(日曜 25:30~)出演者 山田五郎、中川翔子
ふたりの知的好奇心を満たすというコンセプトで、さまざまな専門家に話を聞く番組。難しい話でもふたりの明るさで楽しく聴けます

●ヒコロヒー
1989年生まれ。普段はピン芸人で活動する一方、みなみかわとの即席コンビ「ヒコロヒーとみなみかわ」でも活動。ラジオアプリ『GERA』にて『ストロベリーワンピース』を毎週木曜20:00~配信中!

★次回は、山崎怜奈(乃木坂46)&梅田庸介(『ラジオ番組表』編集長)&みやーんZZ(ラジオ書き起こし職人)がオススメのラジオ番組を紹介します。