
山本萩子
やまもと・しゅうこ
山本萩子の記事一覧
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。2019年から5年間、『ワースポ×MLB』(NHK BS)のキャスターを務めた。愛猫の名前はバレンティン。
今、メジャーリーグでランニングホームランが相次いでるのをご存知でしょうか。
今日のカージナルス対パイレーツ戦で、パイレーツのブランドン・ロウ選手がレフトポール際へのフェンス直撃打を放ち、ボールが転々としている間にホームイン。なんとメジャー全体では、今月4本目となるランニングホームランが飛び出しました。
5月9日(現地時間。以下同)には、ロイヤルズのボビー・ウィット・ジュニア選手が、「14.13秒」でダイヤモンド一周という驚異的な快速で2点先制ランニングホームランを記録。さらに同月14日のジャイアンツ対ドジャース戦ではイ・ジョンフ選手が達成し、そして19日のナショナルズ対メッツ戦ではジェームズ・ウッド選手が、左中間フェンス直撃の打球が大きく跳ね返っているうちに満塁ランニングホームランを記録しました。
ちなみに大谷翔平選手も、16日にライト戦への打球を放って自ら生還するシーンがありましたが、記録はスリーベース+送球エラー。惜しくも「幻のランニングホームラン」となりました。
そもそもランニングホームランは、条件が厳しい。バッターの足の速さはもちろん、守備側のエラーと判定されないのも条件のひとつなので、なかなかお目にかかれません。
特に満塁ランニングホームランは、メジャーの長い歴史の中でウッド選手が8人目という超レア記録で、今世紀に限れば4本目だそう。そして、そのうち3本がナショナルズ・パークで生まれているのも面白いところです。
さて、今や"ランニングホームランの聖地"となったナショナルズ・パークですが、なぜこの球場で記録されやすいのでしょうか。そもそも「ランニングホームランが出やすい球場はどこ?」という疑問を解決するための公式な統計データが存在しません。おそらく、ランニングホームラン自体があまりにもレアすぎて、球場別に集計するほどの数が積み上がらないのでしょう(どなたかデータをご存知の方がいたらご教示ください)。
ただ、メジャーは球場によって形状が大きく異なり、不規則なボールの跳ね返りが起こりやすい球場もあります。今世紀のランニング満塁ホームランがナショナルズ・パークで3本も生まれているのは、それぞれの打球の転がり方を見る限り単なる「偶然」に過ぎないのかもしれませんが、球場の特性が影響することも今後あるかもしれません。
それにしても暑くなるの早過ぎませんか?観戦時はお気をつけください。
みなさんの記憶に残るランニングホームランといえば、イチローさんが2007年のMLBオールスターゲームで記録した歴史的な一本ではないでしょうか。ジャイアンツの本拠地AT&Tパーク(現在のオラクル・パーク)の右中間フェンスに打球が直撃し、予測不能な方向にボールが跳ね返っているうちに、イチローさんは快足を飛ばしてダイヤモンドを一周。日本人選手初のオールスターMVPに輝いたあの試合は、今でも色褪せません。
私自身は、現地で目撃した忘れられないランニングホームランがあります。それは2018年6月14日、メットライフドームで行なわれた交流戦の西武対ヤクルトでのことでした。
1回表、先頭打者の青木宣親選手がセンターへ放った打球を、名手・秋山翔吾選手(当時・西武)が見失い、ボールが転々とする間に青木さんが一気にダイヤモンドを一周したのです。友人と初めて訪れたメットライフドームで、球場に着いた瞬間にいきなりのランニングホームラン。当時は芝の外野席だったのでビールを手に持ったまま、ただただお祭り騒ぎ。あの瞬間の球場の熱気は、今でも鮮明に覚えています。
惜しくもスタンドに届かなかった打球が、ランナーの激走によって一気にエキサイティングなシーンへと代わる瞬間、そしてホームインの瞬間の興奮。何物にも代えがたい十数秒がランニングホームランの醍醐味なのです。
ちなみにスコアブックには、通常の本塁打と同じように記入したあと、「RH」と追記するパターンが多いようです。ここはテストに出ますから、みなさんぜひ覚えておいてください。
長く野球を観ていると、さまざまな瞬間を現地で目撃してきたことに気づかされます。このランニングホームランはもちろん、ヤクルトのリーグ優勝の瞬間も、ワールドシリーズの延長18回も。どの瞬間も鮮明で、本当に忘れたくない。これからも「あの時、球場にいたんだよ」を増やし続けていきたいです。