居酒屋第4世代が激増! 激安の酒、串を提供するZ世代向けチェーンが出店を加速中!

取材・文/逢ヶ瀬十吾、瑠璃光丸凪(A4studio) 写真/共同通信社 時事通信社

【店舗数1位】新時代(運営会社:ファッズ) 《売上高》280億円《営業利益》―《時価総額》未上場《店舗数》166店 2010年に創業。第4世代居酒屋のパイオニア的存在。店舗数166店舗、売上高は280億円でトップを独走。幅広い客層を取り込み、「大衆居酒屋」としての地位を確立しつつある【店舗数1位】新時代(運営会社:ファッズ) 《売上高》280億円《営業利益》―《時価総額》未上場《店舗数》166店 2010年に創業。第4世代居酒屋のパイオニア的存在。店舗数166店舗、売上高は280億円でトップを独走。幅広い客層を取り込み、「大衆居酒屋」としての地位を確立しつつある
ブチ抜けた格安路線をとり、コロナ禍で居抜き物件に出店して店舗数を急増させた居酒屋チェーンの一群を「居酒屋第4世代」と呼ぶ。物価高をフル無視して激しく争う業界の未来を占うべく、各店舗に足を運んだ!【ニッポン経済 令和の業界再編 三国志 Part1.居酒屋第4世代】

*社名、店名表記はホームページに準拠。データは5月7日時点で、店舗数は国内のみで、海外店は含まない。売上高、営業利益、時価総額は運営会社のものを、店舗数はグループ全体ではなく、当該ブランド単体のものを記した。売上高を公表していない企業もあるため、店舗数で順位をつけた。価格はすべて税込みで、店舗によって価格が異なる場合もある

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【鶏皮串55円の新時代が一歩リード】

土曜日の午後8時頃、最初に訪れたのは「新時代」上野店。

上野は最近若者の街として挙げられることもあるだけに、店内の客層も20代前半くらいの若者が9割近く。入店する際に出入り口付近で会計を済ませた20代半ばくらいの女性2人組と擦れ違ったが、「ここ大学生の店だもんね~」という会話が聞こえた。

酒類のメニューは165~319円のものが多く、特に安いのはハイボール165円、生ビール209円。

さらにフードの看板メニューである鶏皮串の「伝串(でんぐし)」は、1本55円という安さ! 独自開発したというオリジナルスパイスが利いていて、なかなかクセになる味わいだった。

新時代の看板メニュー「伝串」。鶏皮を揚げた串で、表面はカリッとした食感。なんと1本55円!新時代の看板メニュー「伝串」。鶏皮を揚げた串で、表面はカリッとした食感。なんと1本55円!
続いて花金の午後7時半に訪れたのが、「居酒屋それゆけ!鶏ヤロー!」渋谷道玄坂店。

店内は2人以上の友人同士で訪れる客が多めで、案内された2階席は50席近くあったが、筆者と年齢が近い20代後半とみられる客は一切おらず、9割近くが20歳前後と思われる若者たち。

筆者の隣の卓に着席していた女性2人組に、別卓にいた同年代の男性2人が声をかけ、いつの間にか相席状態になっていた。若者たちだけの空間だからこそ、"出会いの場"としても発展しやすいのかも。

そんな光景を横目に、55円のレモンサワーと看板フードメニューの「スパイシー串」(109円)、「和田ちゃん唐揚げ」(219円)を注文。唐揚げは予想以上の大きさで大満足だった。

【店舗数2位】とりいちず(運営会社:FS.shake) 《売上高》123億2100万円《営業利益》―《時価総額》未上場《店舗数》100店 水炊き鍋と鶏皮串をウリにし、生搾りレモンサワーを88円で提供。運営会社はシーシャやもんじゃ焼きなど、居酒屋以外の飲食業態を多数経営し、とりいちずを主軸としながら安定的に成長【店舗数2位】とりいちず(運営会社:FS.shake) 《売上高》123億2100万円《営業利益》―《時価総額》未上場《店舗数》100店 水炊き鍋と鶏皮串をウリにし、生搾りレモンサワーを88円で提供。運営会社はシーシャやもんじゃ焼きなど、居酒屋以外の飲食業態を多数経営し、とりいちずを主軸としながら安定的に成長生搾りレモンサワー(88円)と、看板メニューの「名物 秘伝かわ串」(1本109円)。奥はお通しのえびせん生搾りレモンサワー(88円)と、看板メニューの「名物 秘伝かわ串」(1本109円)。奥はお通しのえびせん
「とりいちず」は祝日の午後6時頃、有楽町にある店舗を訪問。

サラリーマンの街・新橋に近いということもあり、店内は中高年の団体客も多かったが、大学生らしき若者客も多く、半々くらいの割合。入店した時間的にまだ席に余裕がある状態で、ひとり飲みをしている客や親子で来ている客も見かけた。

7時を過ぎたあたりで店内は満席状態になり、ワイワイと活気ある雰囲気に。隣卓の女子大生らしき4人組は、容量2L、高さ50~60㎝ほどある巨大シリンダーに入ったサワー(979円)を注文して盛り上がっていた。

名物の「水炊き鍋」は2人前2156円。化学調味料を使わずに、鶏ガラでじっくり炊き上げたという白濁スープに、ボリュームたっぷりの野菜や鶏肉で満足感のある一品だった。酒類は109~219円の価格帯が中心で、やはり通常の居酒屋よりも安さが際立つ。

【店舗数3位】居酒屋それゆけ!鶏ヤロー!(運営会社:鶏ヤロー) 《売上高》28億4000万円《営業利益》―《時価総額》未上場《店舗数》82店 従業員の平均年齢は22.9歳。さらに一部店舗では40歳以上の入店禁止など、とにかく若さに特化した戦略で勢いよく成長中。酒類の価格帯は三強の中で最も低価格で、若年層からの支持が厚い【店舗数3位】居酒屋それゆけ!鶏ヤロー!(運営会社:鶏ヤロー) 《売上高》28億4000万円《営業利益》―《時価総額》未上場《店舗数》82店 従業員の平均年齢は22.9歳。さらに一部店舗では40歳以上の入店禁止など、とにかく若さに特化した戦略で勢いよく成長中。酒類の価格帯は三強の中で最も低価格で、若年層からの支持が厚い名物の「スパイシー串」(1本109円)。このほか、1個219円の「和田ちゃん唐揚げ」が名物名物の「スパイシー串」(1本109円)。このほか、1個219円の「和田ちゃん唐揚げ」が名物
第4世代居酒屋はもともと若者層をターゲットに据えているということもあり、出店場所は繁華街など、若者が集まりやすい場所に限られている。こうして規模拡大に限界がある状況の中で、今後勝ち残るのはどこか? チェーンストア研究家の谷頭和希(たにがしら・かずき)氏に聞いた。

「現時点で店舗数が最も多く、若者のみならず、会社の宴会やファミリー層の需要にも対応している新時代は、今後も大衆居酒屋のひとつとして定着していく可能性が高いでしょう。

ただ、1人でも気軽に入りやすいカフェや喫茶店といった形ならまだしも、居酒屋という業態で400店舗以上を達成するのは飲食業界ではかなり難しいことですので、いずれ規模拡大に陰りが見えてくるかもしれません。

そう考えると、複数の業態を持ち、一番総合力のあるとりいちずを運営するFS.shakeが、最も大きく成長できるチャンスがある企業と言えるでしょう」

また、第4世代の中でも変わった世界観を打ち出して、差異化に成功している"第4極"もいるという。

「銭湯をコンセプトにした『大衆酒泉テルマエ』が第4世代の中でも新しい形を見いだしていると感じますね。ここは壁に取りつけられた蛇口から酒が出てきたり、料理がおけで提供されるなど、徹底した世界観が特徴で、SNS映えや体験型といったトレンドに対応しています。飲食業界で勢いがある注目のブランドと言えるでしょう」

競争こそ熾烈(しれつ)なものの、マーケットは成熟期の一歩手前。さらなる激化が巻き起こるか?

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