
渡辺雅史
わたなべ・まさし
渡辺雅史の記事一覧
フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。
ウーバーイーツの注文のついでに「あれ買ってきてよ!」。よくあることなのですが......
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第157回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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ウーバーイーツでは配達員と注文者が配達前後の一定の期間、チャットや電話で直接連絡できる機能があります。また、最近ではスーパーやコンビニの商品を配達する機会も増えています。
そんなことから「受け渡しの時に追加分の代金は払うので、注文し忘れたものや、ウーバーイーツで取り扱っていないものを買ってきて欲しい」とチャットや電話で指示する人が出始めました。
ウーバーイーツで配達する商品は店での販売価格より単価が高く設定されています。また、商品を運ぶ量によって配達料も異なります。つまり「ついでに買ってきてよ」という行為は、配達料や商品販売価格の「ちょろまかし」になります。というわけで、運営から「これらの行為は規約違反に当たるため、注文者から指示があってもお断りしてください」といった内容のメールが先日、ウーバーイーツ配達員用アプリに届きました。
これ以外にも配達員が注文者からの指示に対応できないケースはいくつかあります。今回はそんな「指示お断り案件」を紹介します。
以前多かったのは「注文した商品が足りなかったので持ってきて」というケース。
私が配達を始めた8年前はウーバーイーツというシステムが世間に認識されていない時期。当時、食べ物の配達はそば屋の出前やピザ屋のデリバリーなど、店のスタッフによるものが中心。そのため、商品が足りなかった場合は、運んでいる人に伝えて、足りないものを持って来させることが常識的な対応でした。
一方、ウーバーイーツは運ぶことだけに特化した外注業者で店のスタッフではありません。そのため、商品が足りなかった場合でも「取りに行って」という指示をお断りすることがけっこうありました。
断る際「ネット通販で購入した商品の数が足りない場合、配送業者ではなくショップにクレームを入れますよね。それと同じでウーバーイーツは配送業者なので、商品が足りないといった問題は店にお願いします」と説明していたのですが理解されず、配達後によく低評価をつけられていました。
ウーバーイーツが全国に普及した最近では、このようなお断り案件はほぼなくなりましたが、たまーーーに「商品が足りない!」とチャットで伝えてくる方はいます。当時と同様「店に問い合わせてください」と返信をしますが、低評価をつけられることはなくなりました。
今でも多いのが、自宅や会社、もしくは旅行先など、配達先が何ヵ所かある方からの依頼で起こる「配達先の設定を間違えた」というケース。
私の場合は、間違えて指定した配達先と実際の配達先が500m程度であれば指示された場所に届けますが、それ以上の場合はお断りしています。なぜなら、ウーバーイーツの運営は配達員の現在位置をGPSで把握しており、離れた場所で「配達完了」の操作を行なうと「配達場所が異なります」という警告が来るからです。警告が蓄積するとアカウントが停止される可能性があります。
過去には、お気に入りの店の料理を食べたいけど、自宅からは距離がありすぎて配達範囲外のため、配達範囲ギリギリの住所を配達先に設定して、配達員が店を出た段階で「配達先をこちらに変更してください」と配達先から5km以上離れた場所を指示する確信犯的な注文をする方もお断りしました。
この場合、注文者から配達先変更の指示があったらすぐにサポートセンターに連絡。最初に指示された場所まで行って、そこに注文者がいるかどうかを確認。いなければ配達を完了して商品をこちらで処分するという、初めてこのパターンに遭遇した際にサポートセンターから指示された方法で配達を行なっています。
つい先日も、注文者から「配達先の住所を間違えてしまいすみません! 先輩のクレジットカードで支払った注文なので、届けていただけないでしょうか」と泣き出しそうな感じの声で電話があったのですが、指示された配達先が銀座で、本当の配達先は7kmほど離れた新宿。2件同時配達の途中で、リュックの中には新宿とは反対方向の勝どき方面へ運ぶ商品も入っていたので「無理です」とお断りしました。
私はキャッシュレス事前決済の依頼しか配達しないのでお断りしていますが、現金払いの依頼を受けているバイク配達員の中には「サポートセンターは対応に時間がかかるし、バイクならそんなに時間はかからない」と考えて指示された配達先に行ってしまう方もいるとのこと。
サポートセンターとのチャットは、どんなに詳しい内容を送信しても、しばらくの間は定型文が返ってくるだけのラリーが続き、ストレスが溜まります。なので、遠くても運んだほうが手っ取り早いという気持ちはわかりますが......。
最近あったのが「袋たくさんもらってきてよ」というケース。
スーパーの買い物代行、ピック・パック・ペイ(PPP)は、店で商品を直接購入するより高く設定されていることもあってか、運ぶ際のレジ袋は無料に設定されているようです(配達員は店で購入する際、袋代込みの料金をレジで支払うシステムとなっていますが)。そんな制度の隙間を狙ったような「袋たくさんもらってきてよ」という指示。
ですが、配達員は運営に購入した商品のレシートの写真を送信しなければなりません。そこに「レジ袋10枚」という不自然な記載があるとアカウント停止となる可能性があります。
なので、この指示が届いた際、私は「購入した商品のレシートをスマホの撮影して運営に送信しなければならないので無理です」と断りました。
配達員が請け負っているのは、指示された区間の指定された商品の配達。それ以外のことは業務外となり、状況によってはアカウント停止の要因となります。なので無責任な感じはしますが、配達中に商品をこぼしてしまったというような、私が起因の配達のトラブル以外は極力関わらないようにしています。