東白川村だけでなく、全国各地で目撃情報が寄せられている。北は秋田・岩手、南は鹿児島まで、そのエリアは非常に広域に及ぶ。好物はスルメや日本酒。また、昔は火葬場の近くでよく目撃されていたことから、人間の髪の毛を燃やしたにおいに寄ってくるなど、さまざまな説が存在している東白川村だけでなく、全国各地で目撃情報が寄せられている。北は秋田・岩手、南は鹿児島まで、そのエリアは非常に広域に及ぶ。好物はスルメや日本酒。また、昔は火葬場の近くでよく目撃されていたことから、人間の髪の毛を燃やしたにおいに寄ってくるなど、さまざまな説が存在している

ツチノコの目撃情報が日本一多いといわれている岐阜県加茂郡東白川村にて、"UMA界のフジロック"「つちのこフェスタ」が4年ぶりに復活した!! そこで創刊以来、全国各地でツチノコを追いかけ続けてきた週プレも東白川村へ! その様子をお届けします!

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■「黒っぽい三日月形」「30~50㎝くらい」

〝UMA界のフジロック〟こと「第31回つちのこフェスタ」が4年ぶりに開催される岐阜県東白川村に向かう前に、まずは情報収集! 東白川村出身でツチノコを題材とした映画製作もしている今井友樹監督に話を聞いた。

――監督! 東白川村にツチノコがいるというのはガチですか!?

「自分は10年間、ツチノコの目撃者に取材してきました。正直、初めは眉唾でしたけど、さまざまな証言を聞くうちに、今はいるかもしれないという気持ちになっています。どの人の証言もとてもリアリティがあるんですよね。

それだけじゃなくて、取材を進めていくうちに自分も東白川に住んでいた幼少期に、ツチノコらしきものを見ていた記憶が思い出されてきたんです」

――え、監督も東白川村でツチノコを見たことがあったんですか!?

「はい。東白川村ってツチノコの目撃証言が日本一多い〝ツチノコ村〟と呼ばれているんです。僕の親戚や知り合いにも目撃者は大勢いますよ。実際に、村の役場にはここ30年で数十件もの証言が集まっているらしいですね」

東白川村、ツチノコのにおいがプンプンしてきたぞ。これは突撃あるのみ!

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東白川村の人口が2000人ほどなのに対し、開催日には2000人以上の参加者が会場に押し寄せた!東白川村の人口が2000人ほどなのに対し、開催日には2000人以上の参加者が会場に押し寄せた!

5月3日、JR岐阜駅から車で山道を走ること1時間半、東白川村のつちのこフェスタ会場付近に到着。すると、そこには見渡す限りの大自然が広がっていた。これはツチノコの目撃情報が日本一多い村というのも納得のロケーションだ。

一方で、こんな山奥に人が集まるの?という心配もあったのだが、いざフタを開けてみると、サッカーコート3、4面ほどの広さの会場が人で埋め尽くされている。

早速、数人に聞き込みを行なうと......。

「村の峠道を車で走っていたとき、カーブを曲がった先に、黒っぽい三日月形の生物が現れたんです。だいたい30~50㎝くらいで、ジャンプして草むらに入っていきました......。あれはツチノコ以外、説明がつきません」(東白川村在住のYさん・30代女性)

いきなり目撃証言が出た!週プレは創刊以来、ツチノコを追い求め、全国各地を調査し続けてきた。ここ数年は、すっかりご無沙汰していたが、久しぶりに新情報を入手できてしまった。

■捜索開始から5分で「あったぞー!」

これだけの人数でかかれば、ツチノコもきっと見つかるはず。そんな期待を胸に、いざ捜索開始!

早速、「つちのこ本気捜索隊」と書かれた看板付近に人だかりを発見。どうやら、これから別会場に移動して、ツチノコ捜索を行なうらしい。めちゃくちゃガチっぽいので同行することに。

つちのこ学会理事長の花園ゆ~ま氏。つちのこフェスタには、農具を改良し作製したオリジナルの捕獲棒を携えて参加していたつちのこ学会理事長の花園ゆ~ま氏。つちのこフェスタには、農具を改良し作製したオリジナルの捕獲棒を携えて参加していた

花園氏が持参した狩猟用のわな。設置には狩猟免許が必要だが、ツチノコ捕獲のためだけに取得。ちなみに、今回は野良猫が捕まっていたため、速やかに解放したという花園氏が持参した狩猟用のわな。設置には狩猟免許が必要だが、ツチノコ捕獲のためだけに取得。ちなみに、今回は野良猫が捕まっていたため、速やかに解放したという

総勢77名、バス3台の大所帯でメイン会場から移動をすること5分。捜索会場に到着すると、そこにはボーイスカウト風の格好をしたおっちゃん、そう、本気捜索隊の隊長だ。

その隊長から簡単なガイダンスを受けて、捕獲棒と呼ばれる、先端が二股になった木の棒を受け取る。ツチノコを見つけたら捕獲棒で胴を押さえろ、とのことだ。そうして、いよいよ捜索が始まった。

すると、開始から5分もたたずして、「あったぞー!」という声が! まさか、ツチノコが見つかったのか!? 声の主の元へ駆けつけると、その手にはツチノコ......形のプレートが。これはいったいどういうこと?

その後、メイン会場に戻ると、そこには先ほどのツチノコ形のプレートを景品に交換してもらう参加者の姿が見えた。本気捜索隊というのは、つまるところ、捜索会場に隠されたツチノコ形のプレートを探し出し、景品と交換するという、宝探しイベントのことだったのだ。

ここで、あるひとつの疑念が頭をよぎる......。「つちのこフェスタ、別に本気でツチノコを探しているわけじゃないのでは?」と......。

メイン会場では、マスつかみや屋台村が子供たちでにぎわっており、つちのこフェスタが、素晴らしいお祭りであることは間違いない。でも、これって、よくある地元のお祭りとあんまり変わらなくないか!?

自作のツチノコ捕獲用のアイテムを持参するなどしているガチ勢もいるにはいたが、明らかに少数派。あんまり考えたくないが......もしかすると、令和の時代には〝ツチノコ村〟でさえ、もうツチノコ発見を諦めているのではないだろうか?

■最大の目的は次世代の育成

つちのこフェスタを始めるきっかけとなった「つちのこ探そう会」初期メンバーの方々つちのこフェスタを始めるきっかけとなった「つちのこ探そう会」初期メンバーの方々

週プレは今回の「つちのこフェスタ2023」を取り仕切る、東白川村地域振興課係長の辻普稔氏を直撃した! ぶっちゃけ、ツチノコ探し、もう諦めていませんか?

「いやいや、そんなことないですよ!」

それにしては、今回のつちのこフェスタって子供向けで、ガチ感が乏しいような......。

「子供向けというのは意図してやっているんです。もちろん、どんな人にも来てほしいですが」

いったい、どういった狙いがあって子供向けに?

「僕はつちのこフェスタを、ツチノコが見つかるまで、ずっと続けていきたいと思っているんです。

でも、そのためには子供たちの世代にツチノコを知ってもらわないと、いつか誰からも忘れ去られてしまうときが来ますよね?」

なるほど! 今回のつちのこフェスタは、そんなことにならないように次世代のツチノコハンターを育成することが最大の目的だったのか! それなら納得。〝ツチノコ村〟は決してツチノコの発見を諦めていなかった! 週プレは今後も、東白川村の動向を追っていくぞ。

槌の子神社での神事に参加する今井村長(写真右)槌の子神社での神事に参加する今井村長(写真右)

●今井友樹(いまい・ともき) 
1979年生まれ、岐阜県加茂郡東白川村出身。日本映画学校卒。『槌の子物語―東白川村の目撃談―』(21年)をはじめ、数多くの作品を手がけている記録映画監督