ウーバーイーツ配達中に起きた自転車同士の事故のリアル【チャリンコ爆走配達日誌】

文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明

ウーバーイーツ配達中に事故を起こしたらどうなるのか。リアルな体験談ですウーバーイーツ配達中に事故を起こしたらどうなるのか。リアルな体験談です

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第156回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

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先月、自転車でウーバーイーツの配達をしている最中、交差点で他の自転車と衝突する交通事故を起こし、私も相手の方も救急車で搬送され、病院へと向かいました。

相手との話し合いがまだ完了しておらず、現在進行形という状況。そのため、今後どのような形になるかはわかりませんが、今回は事故後に行なったことやウーバーイーツの対応などを「私からの視点」で書こうと思います。

100%加入の自賠責をはじめ、ほとんどの人が任意保険に加入している自動車やバイクに関する事故と違い、双方が保険に加入していない可能性もある自転車同士の事故の場合、どのように話を進めたらいいのか。

私がここまでやってきたことがベストかどうかはわかりませんが「事故を起こすと、こんなことをしなければならない」とか「ウーバーからはこんな連絡がくる」など、知っておくと役に立つこともあるかもしれないので、読んでいただけたら幸いです。

店に商品を受け取りに向かっている途中、交差点を右折しようとしたところ、右から左へと走っていた自転車に気づかず、事故を起こしてしまいました。事故直後、路上へ投げ出される形となったのですが、幸い動くことができたので、相手への声かけをしました。また、周囲にいた方が119番に連絡して救急車を呼んでくださいました。

私は110番に事故を起こした旨を連絡。警察を待つ間に配達員用アプリから配達をキャンセルしました。ふと、おでこに手を当てるとソフトボール大に腫れていることに気づき、救急車を呼んだ方に確認をすると「相手の方の分しか連絡していない」とのことだったので、119番に連絡して自分の救急車を呼びました。

10分ほどで警察が到着。状況説明や身分証の提示をするうちに1台目の救急車が到着。相手の方が搬送されていきました。その後、警察の方に「病院で診断書をもらってください」といった指示を受けているうちに自分が乗る救急車も到着し、救急病院へと搬送されました。搬送中、使っていたドコモバイクシェアに事故を起こして自転車が返却できないことと、自転車保険を使いたい旨を取り急ぎ伝えました。

私は頭と足を強く打ち付けたので、病院でレントゲンやMRI、内臓のエコー検査を行いました。診察後、診断書を出していただくようお願いをして、病院の会計に。配達中の事故は健康保険の対象外のため診療費は実費の10万円ほどかかりました。

配達中は最低限のお金しか持ち歩かず、クレジットカードも持ち歩かないので、病院の方に今は支払いができない旨を伝え、指定の書面にサインをして支払日を後日にしていただく手続きを取り、病院を出ました。

頭にも異常がなく歩くこともできたので、その後警察へ向かい、事情説明の続きや現場検証などの今後の予定を確認。相手の連絡先をいただき、その場で電話。その後、ドコモバイクシェアに事故の細かい状況を電話で伝え、その日は終わりました。

ウーバーイーツには配達中に事故を起こした場合、相手に補償をしたり、見舞金をいただける保険制度があります。ただし、制度を利用すると一定期間アカウントが停止されるという処分もあります。その期間がどのくらいかわからなかったので、事故に関してはドコモバイクシェアの保険を使うことにしました。

事故翌日、ドコモバイクシェアの自転車保険の担当者から連絡がありました。加入している保険は示談交渉の特約がなく、交渉は自分で進めることになりました。担当者からは「治療や通院の際にかかった費用の領収書を必ず保管しておくよう、相手の方に伝えてください」「示談がまとまったら保険会社からのお金を支払うという流れもお伝えください」などのアドバイスがありました。ただ、お相手の方は私自らが交渉するということに不安を覚えたのではと思われます。事故から1週間後、私のアカウントが停止されました。

その直後、ウーバーイーツの事故担当の方より「第三者様より渡辺様と接触事故に遭われたと報告がありました」と電話がありました。そこで状況を報告。「相手への補償はドコモバイクシェアの自転車保険を使う方向で話を進めています」と伝え、話は終わりました。

事故後の配達員の対応に関して「必ず運営に報告しなければならない」ルールはなく、ウーバーイーツに報告して保険を活用するのも、報告せず自分が加入している保険を使って対応するのも配達員の自由。ただし警察への報告など法律は守ってください、というのがウーバーイーツのルール。

ですから、第三者からの通報を受けて運営側がどのような対応を取るのか、と電話を切った後は不安でしたが、私の対応に問題はなかったようで、アカウントは翌日に復活していました。

そして、ウーバーイーツの保険会社2社から連絡があり、相手方への補償を行なう保険会社の担当者には「ドコモバイクシェアの保険を使います」と、私への見舞金を担当する会社には「話し合いがまとまってから保険を使うかどうか検討します」と、それぞれ伝えました。

その後、警察による現場検証や相手の方から診断書をいただくなどして、現在に至ります。

後日、私が執行委員長を担当する組合の事故相談を担当する、交通事故の対応に詳しいメンバーに今回の事故について話したところ、自転車事故で知っておいた方がいいポイントをまとめてくれました。

【自転車保険は必須】
現在、全国34都府県で自転車の保険加入が義務化されています。自転車同士だけではなく、自転車と歩行者の事故でも多額の補償が発生するケースがあるので、保険の加入は必須と言えます。自動車保険やクレジットカードに付帯する保険もあり、入っているつもりはなくても実は加入していたケースもあるのでご確認を。

【自転車同士の事故の場合、警察への連絡は義務】
相手が軽いケガでも自転車同士の事故の場合、警察への連絡は義務となります。報告がない場合、刑事罰の対象になる上、保険も使えません。歩行者との事故の場合も連絡を行なわないと保険は適用されません。

【双方が保険に入っていないと話し合いが難航】
今回の私のように示談交渉を自分で行なう場合でも、保険会社が入っていれば、担当者に相談をしながら話を進めることができます。一方、保険に入っていない場合は、法律や事故の知識がまったくない者同士の直接話し合いとなり、難航します。

【自転車配達員が事故に遭ったら数万円の支払いは覚悟】
ウーバーイーツ配達中の事故は労働中の事故なので健康保険が適用されません。なので、救急車で搬送された病院で診療後に支払う金額が今回の私のように10万円かかることも「普通にある」とのこと。自動車やバイクの事故の場合、この代金は自賠責で支払われますが、自賠責のない自転車の事故の場合は自己負担となります。事故を起こした場合は数万円の出費を覚悟しましょう。

【配達員はウーバーイーツの保険を活用しよう】
以前は保険を使うとアカウントが長期間停止されるケースも見られたようですが、最近はこちら側によほど問題がない限り、停止期間は2、3日がほとんど。保障も充実しているので、私のようにアカウント停止を恐れてウーバーイーツの保険を使うのをためらうことはありません。

事故を起こした私が言うのはおこがましいのですが、事故を限りなく減らす努力は必要ですが、100%なくすのは不可能なもの。常に事故は起こるものだと考えて、現在の保険の加入状況や保障内容の確認、事故を起こしてしまった場合の行動のシミュレーションなど、普段から考えておくのが重要だと感じさせられる今回の事故でした。

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  • 渡辺雅史

    渡辺雅史

    わたなべ・まさし

    フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。

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