日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『プーチンの愛国教室』をレビュー!

日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。ウクライナ侵攻後からのロシアの愛国教育の全貌を暴いたドキュメンタリー。
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『プーチンの愛国教室』

評点:★3点(5点満点)©2025 made in copenhagen Aps, Pink Productions s.r.o.©2025 made in copenhagen Aps, Pink Productions s.r.o.

故郷を愛する気持ちが「愛国」で塗りつぶされるとき

どこに生まれようと、人にとって故郷は特別な意味を持つ。

本作の舞台は銅鉱山と製錬所が町の主産業で、「世界一汚染された町」の異名を持つウラル地方の小さな町カラバシュ。

だが地元の小中学校で行事の撮影を担当する教員パヴェル・タランキンにとって、そこは愛してやまない故郷であり、「建物の壁についた染みさえ愛おしい」。

しかし民主主義を信じ、子供たちとの交流を愛する彼の生活は2022年2月に起きた、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけにじわじわと変わっていく。

教育の現場で愛国プロパガンダが次々と義務化され、生徒や学校関係者の家族、まだ幼さが残る卒業したばかりの若者たちも徴兵されて戦場へ送り込まれる。

一方、ソ連時代に大粛清を実行した秘密警察関係者らへの信奉を隠そうともしない歴史教師は「最も愛された先生」賞を授与されて高級マンションを与えられる。

ごく普通の人々の日常が「上からの命令」でみるみるうちに軍国主義で塗りつぶされていくさまを本作はじっくりと描き出す。

浮かび上がるのは「愛国」という概念の欺瞞である。

誰もがおびえ、口をつぐむようになったことで完成する「愛国精神」など願い下げとしか言いようがないのだが。

STORY:ロシアの田舎町で生徒を撮影していた教師パヴェル。ウクライナ侵攻に伴い学校へ過酷な愛国教育が導入され日常が一変。葛藤する教師や戦時教育に染まる生徒、戦地へ送られる卒業生の姿を彼はカメラに記録する

監督:デヴィッド・ボレンスタイン、パヴェル・タランキン
上映時間:90分

全国公開中

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