高橋ヨシキ
たかはし・よしき
高橋ヨシキの記事一覧
デザイナー、映画ライター、サタニスト。長編初監督作品『激怒 RAGEAHOLIC』のBlu-ray&DVDが発売中。
YouTubeチャンネル『BLACKHOLE』『高橋ヨシキのクレイジー・カルチャーTV』 Twitter【@InfoYoshiki】 メルマガ『高橋ヨシキのクレイジー・カルチャー・ガイド』
©Mr.Nelson, Did You Kill People? Film Partners ©Allen Nelson/KODANSHAベトナム戦争が終わって既に51年が経つ。第二次世界大戦からは81年。
工業技術による大量虐殺が初めて現実のものとなった第一次大戦からは108年もの時間が過ぎている。
一方、現在もウクライナやガザ、スーダン、ミャンマーなど世界各地で惨憺たる戦争や内戦が進行中であり、それがニュースとして消費されている。
「消費されている」と書いたのは文字通りの意味で、ニュースだけでなく、映画、コミック、文学、ゲームなど、ありとあらゆる表現手段を通じて我々は戦争を「消費」することに「慣れきって」しまっている。
自身が若くして従軍したベトナム戦争での体験談を語り続けた元・米海兵隊員アレン・ネルソンさんの半生を追う本作の焦点はいくつかあるが、とくに目を惹くのはごく普通の若者がいかに容易に地獄の戦場に「適応」してしまうか、というところである。
だがその「適応力」=「慣れる力」は決して「タフさ」ではあり得ない。
であればこそネルソンさんら多くの兵士が帰国後生涯を通じて重いPTSDに苦しめられることになったわけだ。
そして我々もまた「消費」から生じる「慣れ」の感覚から脱するために、酸鼻極める戦場の体験談に耳を傾け続ける必要がある。
STORY:貧困や差別から抜け出すため18歳で入隊したアフリカ系アメリカ人のネルソン。ベトナムという苛烈な戦地で学んだのは、いかに多くの人を殺せるか。その対価は、ごくわずかな賃金とPTSD(戦争後遺症)だけだった
監督・脚本:塚本晋也
出演:ロドニー・ヒックスほか
上映時間:116分
全国公開中