「ヨーロッパ合宿のおかげで目に見えて成長した点があります」と語るXQQ氏

FPS(一人称視点のシューティング)ゲーム『VALORANT(ヴァロラント)』の年間世界王者を決める大会が8月31日より開催される。

日本から出場するチーム「ZETA DIVISION(ゼータ ディビジョン/以下、ZETA)」は、今年の各国際大会で強豪国を驚かす結果を残してきたが、その実力を今大会でも見せることができるのか!?

ZETA DIVISIONの名物コーチ・XQQ(エックスキュー)氏に大会の展望を聞いた。

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――XQQさんは大会ではスーツで参加していますよね。どのチームもユニフォームやラフな格好が多いなか、目立つせいか「eスポーツのコーチらしくない風貌だ」などと実況者からイジられることもあります。

XQQ 知っています(笑)。ただ、「コーチはこうあるべき」との考えでスーツを選んでいるので、それが変な方向に刺さっているのはちょっと複雑ですが......配信を見ている人が楽しめるなら、まあいいかって感じです。

――そもそもVAROLANTにおいて、コーチはどのような役割を担っているのでしょうか。

XQQ 試合中は1分間のタイムアウトでチームに改善点や判断を伝える役割ですね。試合中の選手は目の前の画面とボイスチャットから聞こえる味方の声以外に情報がなく、試合全体の状況の把握が難しいんです。だから、チーム全員の画面を見ながら相手の動きも冷静に判断できる役割としてコーチが存在します。

――コーチはチームのムードを盛り上げる声かけも?

XQQ そうですね。試合前には選手がハイになれるようなムードづくりを心がけていますし、彼らが落ち込んでいたら試合中にも声をかけることはあります。ただ、そのときは僕も興奮しているので、どんなことを叫んでいるか細かくは覚えていません(笑)。

試合には黒スーツで臨むのがXQQコーチ(右)の信条だ

――ZETAは8月からポーランドでブートキャンプ(合宿)を行ない、現地チームと練習を重ねてきました。この合宿にはどのような狙いが?

XQQ ヨーロッパは昔からシューティングゲームの人気があって、選手個々の基礎レベルも本当に高い地域。アジアより厳しい環境で練習することでチームのレベルアップを図っています。ヨーロッパのチームは甘え(たプレイが)が少ないんです。

日本でなら個人の技術で解決できるような連携ミスも、こちらは中堅クラスであっても徹底してケアしてくる印象です。

――合宿の手応えは?

XQQ 目に見えて成長している点もあり、効果を実感しています。今年は細かいミスで落とすラウンドが多かったのですが、かなり改善されました。戦術がチームの長所と自負しているので、そこに磨かれた基礎が加わっているところを見てほしいですね。

――今回、短期加入したXdll選手はいかがですか? 16歳という若さです。

XQQ のみ込みが抜群に良く、チームの膨大な決め事を覚えてうまくサポートしてくれています。予選ブロックを突破すれば練習期間も取れますし、試合で成長する余地もありますから、彼の活躍にも期待したいですね。

●XQQ(エックスキュー)
1996年生まれ。プロゲーマーを経て、2018年から当時まだ重要視されていなかった専任コーチとしての活動をスタートした日本におけるパイオニア的存在。確かな研究量に基づいたコーチングで数々のチームを好成績へと導いている

●ZETA DIVISION(ゼータ ディビジョン)
さまざまなゲームの大会で実績を残すプロチームや人気配信者が多数在籍する「ゲーミングライフスタイルブランド」。今大会に出場するのはそのVALORANT部門。経験豊富なベテランプレイヤーと勢いのある若手選手が融合した柔軟なプレイスタイルで世界に挑む

■『VALORANT』ってどんなゲーム?
米Riot社が開発・運営する世界的人気のPC向けFPS(一人称視点のシューティングゲーム)。基本プレイ無料。5対5のチーム戦で勝敗を競う。操作キャラクター「エージェント」たちは、味方の回復や相手の進行の阻害など試合を有利に運ぶ特殊能力を所有しており、操作精度の高さだけでなく、チーム連携による戦術も求められる、競技性の高いゲームだ
大会の模様は以下のチャンネルにて配信!
Twitch:【valorant_jpn】 YouTube:【VALORANT // JAPAN】公式チャンネル

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