“元ヤン”(ヘタレ)を公言するアイドル、「スチームガールズ」の小柳朋恵

2015年、「週プレNEWS」が選ぶ“大注目する期待のアイドル”連続インタビュー、7回目となりました!

第1回目に登場した天木じゅんちゃん(アーマーガールズ)と同じ事務所となる「スチームガールズ」から、ひときわ異彩を放つ小柳朋恵ちゃんが登場です! 「元ヤン」を公言する、新しいタイプのアイドルに特攻だ~!

 * * *

―はい。そんなわけでございまして、「2015年の注目アイドル」にピックアップさせていただきました。

小柳 「なんで?」っていうのが率直な意見です! なんで、私なんですか? どこを注目していただけたのかなって。…ヤンキーですか? 私が元ヤンだからですか? だとしたら、元ヤンでよかったなぁって思ってます。

―いや、なんというか…かなり面白い人だと聞いていましたので。

小柳 そんな。このメンツ(他の選出されたアイドルの名前を見て)で呼んでいただけるなんて…ありがとうございます!

―で、はじめましての人も多いと思いますので、小柳さんはどんな人なのかを紹介したいんですけども。

小柳 私は、ヘタレヤンキーですね。本当にヘタレで。

―ヘタレって、どんな感じなんですか?

小柳 すぐ泣きますし、ヤンキー時代も悪いことできなかったんで、タバコとかお酒とか飲んでる先輩とかから、できるだけ距離をとって遠くで見てました。あと、ケンカも怖かったのでしませんでした。

小学校時代は、ものすごくカワイかった

―そんなヘタレで、なんでヤンキーなんですか…?

小柳 私、小学校時代は、ものすごくカワイかったんですよ。信じられないくらいに!

―は、はい。

小柳 で、しかも普段着がパーティードレスで、お姫さまみたいだったんですよ。

―ごめんなさい。ちょっと意味がわかんないんですけど?

小柳 女子からすごく支持されてましたね。もう、私と帰るために7~8人の女子がジャンケンみたいな。一緒に帰りたいから。で、勝ったコと一緒に帰ってました。

―す、すいません、パーティードレスで小学校に通ってたんですか?

小柳 そうなんですよ。ウチの母親が「娘をフランス人形にしたい」って思っていたらしくて。水商売をやってた母親が、客に金を出させて買ったんです。テロテロの生地の。夏でもパーティードレス。髪型は縦ロールでした。

―……お母様は、ちょっと変わった人なんですか?

小柳 ですね。しかも客に「ウチの娘に服を買ってあげたい」っていうワケじゃないんですよ。娘とは言わないんです。自分がピアノの先生をしてる設定で、さらに自分の妹にピアノを教えてるってことにしてたんですよ。「ピアノの発表会用の服を妹に買ってあげたいんだけど…」みたいな感じで。だいぶ歳の差あるんですよ、妹っていっても!

―小柳さんが10歳だったとして、お母様は当時おいくつで?

小柳 たしか36歳くらいです。見た目も若かったんですけど、無理ありますよね。

―……そのお客さんは「妹にも会わせてよ」とか言わないんですか?

小柳 私、長崎なんですけど…なんか、福岡の遊園地に知らないおじさん…たぶん、客だと思うんですけど、と一緒に行った覚えがありますね。私と母親と3人で。もちろん、その客が買ってくれたドレスを着て。まぁ、母親はもちろんバツイチ子持ちっていうのは隠してますよ。おそらく25歳とかいってたはずです。

中学校生活はヘタレヤンキー一直線

―なんか、キモの座ったお母さん、というか…。

小柳 でも、そんな小学校生活を過ごしてたんですけど、やっぱりドレスを着ることはイヤで。「他のコが着てる服と素材が違う!」って。でも、当時はそれしか着るものがなかったので仕方なかったんですけど…。Tシャツとかもなかったんで。でもまぁ、姉もいるんですけど、姉は普通の服を着てました。

―どういうことですか??

小柳 姉には一切、期待してなかったみたいで。私にだけ異常な愛情を注いでいたんですよ。まぁ、私の方が全然可愛かったからだと思うんですけど。

そんな感じで、私は中学になった瞬間、反発でグレたんですよ。髪の毛を金髪にして眉毛なくて、裏地に竜の刺繍が入ったセーラー服と、パンツが見えるくらいのミニスカートにルーズソックスっていう格好。

―イメチェン! お母様は、どんな反応でしたか?(ゴクリ)

小柳 本当にショックを受けてました。勉強もできて優等生だったから。すごいガッカリして。で、どうするのかと思ったら、次は弟に期待しだしたんですよ。ものすごく可愛がりつつ勉強を頑張らせて。「お医者さんになんなさい!」って。

―結果、弟さんはどうなりました?

小柳 地元のコンビニでバイトしてます。

―……うまくいかないもんですね。

小柳 そんな感じで、中学校生活はヘタレヤンキー一直線でした。学校にあんまり行かなかったから、それまですごく成績よかったのに通知表は「1」ですらなくて。全部の教科にサッって斜線を引かれてて。「大きな1」みたいになってたし、中2の時は友達のお母さんにくっついてたストーカーにつきまとわれたりしてました。

―すいません! なんですか、そのストーカー話?

小柳 当時、家出して、友達の家に泊まらせてもらってたんですよ。で、留守番してたら、ピンポーンって、おじさんが訪ねてきたんです。その友達のお母さんについてたストーカーだったんですけど。

それから家出はやめました…

―えええー! 最近のストーカーって、チャイム押して訪ねてくるんですか? 堂々としてますね。

小柳 ですね。で、そのおじさん、私に恋をしたらしくて。そのまま鞍替えしてきたんですよ。それから何回かストーキングされて…最終的には「キミが好きだ。水着を着て、一緒におフロ入ってくれたら20万円払う!」って言われて。

―なんと、アグレッシブなストーカー…!

小柳 しかも、その水着、イオンとかで売ってる“ヒモ”だったんですよ。

―それを「水着」と言い張る強さ、っていうかアブないですから!

小柳 そんなの「無理」って言うじゃないですか。そしたら「30万円!」って値上がりしてきて。最終的には「頼むからこのヒモを着てくれ!」って。「この人、もうヒモって言っちゃってんじゃん」って思いながら110番したんです。

まぁ、その人、そのまま警察に連れて行かれたんですけどね。ヒモを握りしめながら(笑)。そのことがショックすぎて、さすがにそれから家出はやめました。家出怖い。

―…個性的すぎる中学時代を過ごしましたね…。そこから、よくアイドルになろうと。

小柳 ですよね。そもそもアイドルとか、「ぶりっこして、キモいオタクにニコニコして」って、一番嫌いな人種でした。あんまり視界に入ってきてほしくないなって。

―ひどい言いようですね! なのに、なんでそこからアイドルに?

ヤバい! ここ、なんか違う!

小柳 中学入ってすぐに、普通の友達がアリスプロジェクト(現所属事務所)のオーディションを見て、「一緒に受けよう」って言ってきたんですよ。全然興味なかったんですけど、一緒にメールに写メ付けて送って。そしたら合格通知がきたんです。

―おぉ! まだ当時は可愛かったから!

小柳 はい(笑)。まぁ私はそのままヤンキーになっちゃったんで放置するじゃないですか。で、中3になって、みんなが進路を決めている時に「私、何もやりたいことないな」って焦りだして。

そういえば、なんかプロダクションの合格通知がきたことあった!って思い出してメールを出したら「じゃあ、おいで」ってなったんですよ。で、中学の卒業式の3日後に、2万円とキャリーケースに3日分の着替えを詰め込んで上京しました。

―ヤンキー漫画の展開が、いきなりアイドル編が始まりましたよ! お母さんはなんて言ってたんですか?

小柳 その頃は、ほら、弟に愛情を注いでたんで「いいんじゃない」って。

―ドライ! …で、アイドルの世界に入って。

小柳 赤髪で、敬語を一切使えない状態でした。正直、アイドルとかキモいって思ってたんですけど、アリスプロジェクトの一番上のユニットが、アリス十番っていうグループなんです。そこが、全然アイドルっぽくなかったんですよ。ジェイソンマスクかぶって、ヘッドバンキングして、ダイブとかしてて。「ヤバい! ここ、なんか違う!」って。

そこで「やるからにはユニットのセンター取りたいよな」とか思って。歌もダンスも初めてだったんで、とりあえず超努力しました。人生初。で、頑張ってたら、研究生だったのにファンの人気で1位になれたんです。

自分の前に人が踊ってるのは許せない

―すごい! ヤンキー魂で、アイドルの階段をダッシュ!

小柳 ヘタレヤンキーですけどね(笑)。しかも、ファンの人も実際に触れ合ったらキモいと思わなかったし、ありがたいなって。それからユニットに入れるようになって、今は「スチームガールズ」ってとこに入ってます。

まぁ、今は「アリス十番」と「スチームガールズ」と、天木じゅんちゃんとかが所属してる「アーマーガールズ」を全部ひっくるめた仮面女子っていうグループでも活動してますけど。

―そんな仮面女子が、インディーズでありながら『元気種☆』でオリコンウィークリー1位を獲得したわけですよ。で、今の小柳さんの立ち位置は、どこらへん?

小柳 一時は「スチームガールズ」のセンターだったんです。でも今は、体調が悪くてお休みしていて。センターは黒瀬サラちゃんってコがやってます。仮面女子でいうと、立花あんなちゃんってコがセンターですね。

―じゃあ、体調が本調子になったら、「スチームガールズ」も仮面女子でもセンター目指すわけですね。

小柳 ですね。基本、自分の前に人が踊ってるのは許せないんで。一番前にいたい気持ちはありますね。とりあえず、2015年の目標はまずは「スチームガールズ」のセンターを取り戻すことです。

―いや~、なんというか、すんごい衝撃的な話ばかりでしたが…ヘタレヤンキー魂で頑張ってください!

小柳 頑張ります! ヘタレですけど(笑)。

(取材・文/篠本634[short cut] 撮影/武田敏将)

■小柳朋恵(こやなぎ・ともえ)1996年4月26日(18歳)長崎県出身。「スチームガールズ」および「仮面女子」メンバー。「元ヤン」&「貧乏」というキャラで頑張ってます。2015年1月にリリースしたCD『元気種☆』ではインディーズ女性アーティスト史上初となるオリコンウィークリーチャート1位を記録。そして、今年の11月23日には、なんと…さいたまスーパーアリーナで仮面女子ワンマンライブを決行! 「たくさん人を呼ばなきゃいけないので、皆さん来てください!」とのことです。

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