
青木タカオ
あおき・たかお
青木タカオの記事一覧
モーターサイクルジャーナリスト。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み[第4版]』(秀和システム)など。『ウィズハーレー』(内外出版社)編集長。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』を運営。
普通免許でハーレーに乗れるのが三輪モデルのトライク。実は2026年モデルで足まわりを大刷新した新型トライクは、ベテランライダーもうなる完成度に到達したという。マジか!? つーわけで、その実力をモーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏がガツンと公道試乗!
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青木 ハーレーダビッドソンといえば、多くのライダーの憧れですが、一部のモデルを除けば大型二輪免許が必要です。ところが普通自動車免許で乗れるハーレーがある!
――それは?
青木 後輪をふたつ備えたトライクです。「大型バイクに乗りたいけれど免許がない」「足着きや立ちゴケが不安」という人はもちろん、「クルマ感覚でハーレーを楽しみたい」という人にも支持されているんです。
――普通自動車免許で乗れるのが最大の魅力ですか?
青木 でも、いちばん伝えたいのはそこじゃないんです。トライクの魅力は二輪とも四輪とも違う、独特の操作感があって、一度乗るとその世界にドハマりします。
――青木さんはずいぶん長く取材してきたそうですね?
青木 日本初導入時にトライグライドウルトラでフロリダ半島を約2000km走りました。最初は戸惑いましたね。車体は傾かないのにハンドルを切って曲がる。でも走れば走るほど面白くなって、以来毎年試乗しています。
――今回、2026年モデルを粘着取材したそうで?
青木 はい。CVOストリートグライド3リミテッド、ストリートグライド3リミテッド、ロードグライド3に試乗しました。さらに従来型との比較試乗も敢行!
ハーレーダビッドソン CVOストリートグライド3リミテッド 価格:800万5800円~ 「走る芸術」CVOはハーレーの最高峰。「シトラスヒート」仕様は902万2200円という驚愕のプライス
1977ccのVツインが生み出す圧巻の鼓動。貫禄たっぷりのリアビューはド迫力
――で、率直な感想は?
青木 これまでで最も完成度が高いと感じました。最大の進化は足まわりです。従来型は荒れた路面だと左右に揺さぶられやすかったのですが、新型は後輪まわりを刷新。軽量化などもあり、走りは激変!
――体感できるほど違う?
青木 ええ。後輪サスペンションの可動域も58mmから127mmへ拡大されていて、段差を越えた瞬間に違いがわかります。試乗会では片輪ずつ段差に乗せるコースも走りましたが、従来型より揺れが大幅に減っていましたね。
――エンジンは?
青木 1977ccまたは1923ccのVツインエンジンを搭載しています。アクセルを開けた瞬間の力強さは圧巻で、ハーレーらしい鼓動感をしっかり味わえます。そして何より面白いのがコーナリングです。横G(カーブで体が横へ押される力)を感じながら曲がっていく感覚はレーシングカートのよう。二輪とも四輪とも違う、トライクだけの面白さがあるんですね。
ハーレーダビッドソン ストリートグライド3リミテッド 価格:573万9800円~ 新型グランドツアーパックやシートヒーターを標準装備。1923cc Vツインが余裕のあるロングツーリングを実現する
――装備面の進化は?
青木 バック操作ですね。従来はボタン操作でしたが、新型はアクセル操作で後退できます。大きな車体だけに、この違いは効いています。
――見た目だけじゃなく、ちゃんと実用的なんですね。
青木 そうですね。さらにオーリンズ製ステアリングダンパー(ハンドルのブレを抑える装置)や強力なブレーキシステムなど、トライク専用装備も充実しています。ブレーキは前後連動式で、安定感の高い走りを支えてくれます。
――まさに入魂のモデル?
青木 試乗会ではハーレーダビッドソンジャパンの玉木一史代表にも話をお聞きしましたが、「バイク免許がなくても乗れることで、ブランドの裾野をさらに広げていきたい」とのこと。
ハーレーダビッドソン ロードグライド3 価格:553万5200円~ シャークノーズフェアリングを採用し、充実装備と軽快なスタイリングを両立。3車種の中で最もスポーティな一台
――完成度をまとめると?
青木 2026年モデルは、これまで以上に走りの完成度が飛躍的に向上しました。初代から乗り続けてきた立場から見ても、まさに別モノと言っていいでしょう。
――とはいえ、お値段もなかなかの異次元プライスです。
青木 もちろん500万円台~800万円超と簡単に手が届く価格ではありません。ただ、その価格帯に見合う快適性や存在感を備えた一台です。
――維持するのが大変では?
青木 購入時に車庫証明は不要ですし、高速道路料金や任意保険もバイクと同じ扱いです。見た目ほど特別な乗り物ではないんですよ。
――最後に聞きます。新型トライク、結局どんな人に乗ってほしいですか?
青木 大型二輪免許がない人にとって魅力的なのはもちろんですが、むしろ体験してほしいのはベテランライダーですね。長くバイクに乗ってきた人ほど、「こんな乗り物があったのか」と驚くと思います。二輪とも四輪とも違う、トライクだけの世界がある。
――ちなみに法的にはヘルメット不要なんですよね?
青木 法的な着用義務はありません。ただ、メーカーもヘルメットの着用を推奨していますし、専門家の立場から見ても、安全面を考えれば着用したほうがいいでしょう。