
坂本慎太郎
さかもと・しんたろう
坂本慎太郎の記事一覧
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
公式X【@bucomi】
1878年創業の老舗で、洋服箱からスタートし、フィルム包装、紙袋へ展開。1万4000社以上のパッケージを手がけた実績を持つ
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
ナフサ不足は春先のピーク時よりは改善したものの、高騰が続いている。長期化すると見込まれているなら、業界の構造が変わるはずだ。チャンスに変えられそうな企業は?
助手 この前、デパ地下で手土産の焼き菓子を買ったんです。紙箱に入ってて、店名入りの紙袋で渡すとそれだけで心を込めて選んだ感じが出ますよね。有料化でレジ袋を使う機会は減ったけど、こういう紙袋や紙箱は残るよなあと。中東情勢でナフサ不足なんて話もあるし、プラ包装から紙包装に代える動きって進みそうじゃないですか?
坂本 確かにそれはありえるね。ビニール袋やフィルム包装は、元をたどるとナフサなどの原油由来製品です。中東情勢が不安定になると、価格や調達への不安が出やすい。企業が「プラ包装に頼りすぎるのは怖い」「紙に代えられるところは代えよう」となる可能性はあります。
助手 じゃあ紙容器とか紙包装の会社を教えてください!
坂本 ザ・パックはどうかな。手提げ紙袋で知られるメーカーですが、食品や菓子の紙箱、テイクアウト容器、配送用の段ボール箱まで製造しています。紙の包装資材を幅広く扱っていて、プラ包装からの置き換え需要をまとめて取れるのが強い。
助手 おお、良さそうですね。
坂本 ただ「紙包装への回帰」という思いつきで飛びつくのはダメです。大事なのは、紙包装がプラ包装をどこまで置き換えられるか。そして置き換えに必要な商品群や開発力を持っているかです。
助手 どういうことですか?
坂本 紙容器がプラ容器の役割を全部代替できるとは限らないんですよ。プラスチックには水に強い、透明、軽い、密封しやすいなどの強みがある。だから食品包装などでプラ包装が必要な場面は残ります。全面回帰ではなく、「紙で代替できる包装が広がる」という話なんです。
助手 ザ・パックの製品では何が伸びそうなんですか?
坂本 今伸びているのは、紙器や段ボール箱だね。前期は紙袋が前年比0.5%減だった一方、紙器は4%増、段ボール箱は13.2%増でした。
助手 紙器って紙の箱のこと?
坂本 そう。菓子箱、食品箱、ギフト箱、テイクアウト容器とか。お土産菓子なら中身を守り、華やかに見せる必要がある。外食や中食では汁漏れしにくいのが必須条件で、その上、売り場で積みやすく目立つことが求められます。紙なのに水分を含む食品に使えたり、冷凍保存からレンジ加熱まで対応できたりする商品も必要になる。ザ・パックはプラトレーの代替になる容器なども開発しており、商品力の強さが紙器の伸びにつながっているんです。
助手 紙容器って難しいんですね。
坂本 そのとおり。紙器は「箱ならなんでもいい」わけじゃない。中身を守れるか、売り場で良く見えるか、店員さんが詰めやすいか。この条件が合わないと使いづらい。だから専用開発されることもあるほどで、一度採用されれば注文が続くんです。
助手 それなら紙器だけでも、じわじわ業績に効いてきそうですね。
坂本 ネット通販の伸びも追い風です。個人向けネット通販市場は2024年に約26兆円、前年から約5%伸びています。市場拡大で段ボール箱や紙製配送袋の需要増も期待できる。同社はこうした流れを取り込み、30年度に売り上げを約2割、営業利益を約4割伸ばす計画です。
助手 なら投資できそうですね!
坂本 ええ。長期的に成長は見込めるし、配当は原則的に維持・増配を目指す方針だから安心感はある。今から少しずつ買っていくのもアリだと思う。
今週の実験結果
業績はなだらかながら右肩上がりだし、累進配当で還元も手厚い。長期投資に向いてます!