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小田原ドラゴン(おだわら・どらごん) 1970年生まれ、兵庫県出身。『僕はスノーボードに行きたいのか?』でヤンマガ月間新人漫画賞奨励賞を受賞。『コギャル寿司』で第47回文藝春秋漫画賞受賞。代表作に『おやすみなさい。』『チェリーナイツ』『ぼくと三本足のちょんぴー』『今夜は車内でおやすみなさい。』など
2024年9月、集英社「週プレNEWS」で連載が始まった小田原ドラゴンの新作漫画『堀田エボリューション』。フィクション作品としては実に9年ぶりとなる待望の新作です。では、この奇才・小田原ドラゴンは、どのような歩みを経て『堀田エボリューション』にたどり着いたのか――。その創作の舞台裏をじっくり紐解いていきます。
連載第39回は、同業の漫画家と飲んだ話です。
* * *
数年前、車中泊をしながら日本一周をしていた頃の話です。確か茨城県の大洗でフェリーの時間を待っているときだったと思います。
当時の僕は、Xに「今、このあたりの公園にいます」みたいなことをよく書いていました。すると近くにいる読者の方が、ふらっと会いに来てくれたりするんですよね。この日もそんな流れだったんですが、現れたのがなんと、近くの別荘に滞在していた漫画家の湊よりこさんでした。
その後も湊さんと何度かお会いする機会はあったものの、意外と腰を据えて話すことはなくて。湊さんは、SNSで僕の作品について「砂金を拾うような感じがする」と評してくれ、とてもありがたいなあと思っていたんです。
湊よりこ先生との貴重なツーショット
そして今回、ひょんなことから一緒に飲む機会に恵まれました。
湊さんといえば、高校2年生で集英社の『別冊マーガレット』でデビューを飾った大ベテラン。代表作『セフレの品格-プライド-』(双葉社)は紙と電子を合わせてシリーズ累計580万部を突破。実写映画化もされて大きな話題を呼びました。
僕は、自分が実際に見聞きしたことや経験したことしか漫画にできないタイプなんですが、湊さんはいったいどうやって『セフレの品格-プライド-』のような人気作品を生み出しているのか。タイトルからしてスゴいので、単刀直入に聞いてみました。
「女風とか行ったりしてるんですか?」
すると湊さんは、きょとんとした顔をしてから苦笑い。
「行かないですよ」
7月2日発売『セフレの品格-プライド-』第44巻(©湊よりこ/双葉社)
そう言うと、お酒を飲みながらこんな話をしてくれました。
「たとえば女友達と食事しているとするでしょ。その中のひとりが、ふと地声で『あー、セックスしたい』って漏らす。そういう何気ないひと言って妙に頭の中に残るんです。で、健康ランドの泡風呂なんかでぼうっとしていると、それが自分の中でどんどんファンタジーに変わっていくんですよね」
へえ~、と思いました。そもそも僕は、漫画家の飲み友達みたいな人がほとんどいないので、同業者とじっくり話せる機会そのものが貴重なんです。
『堀田エボリューション』(©小田原ドラゴン/集英社)第2巻絶賛発売中
しかも湊さんは交友関係が広いので、僕の知らない漫画業界の裏話なんかもいろいろ聞かせてもらいまして。やっぱり同業者と会うと刺激を受けますね。
またこういう機会があればいいのですが、実は今、僕は北海道にいます。北海道でもいろいろあったので、その話はまた次回ということで。