相次ぐコンサル「過剰請求」問題。国・自治体はなぜ外注する?

民間企業同士では、発注単価を上げられない代わりに労務時間を水増しするような暗黙のやりとりは、実は一種の「あるある」になっている民間企業同士では、発注単価を上げられない代わりに労務時間を水増しするような暗黙のやりとりは、実は一種の「あるある」になっている
あらゆるメディアから日々、洪水のように流れてくる経済関連ニュース。その背景にはどんな狙い、どんな事情があるのか? 『週刊プレイボーイ』で連載中の「経済ニュースのバックヤード」では、調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏が解説。得意のデータ収集・分析をもとに経済の今を解き明かす。今回は「コンサルへの外注」について。

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「単価は上げられないんですよ。時間で調整お願いします!」

私の関わる会社でのこと。仕入先企業から外注工事の見積書をもらったが、提示された労務費は、自社規定の上限を超えており払えない。ただ仕入先からは「その上限は現実に即しておらず、そんなに低い労務単価で引き受ける会社はない」と言われていた。

担当者は板挟みで、やむなく、仕入先に働いた時間を水増しさせた。支払金額は単価×時間だから、社内決裁を得るため、単価を上げられない代わりに時間で「調整」してもらったのだ。

その後、経緯を知らない後任が「仕入先が働いていない時間の労務費を請求している」と指摘すると、仕入先は激怒し大騒ぎになった。日本中で見られる光景だ。

ところで、このところ国や地方自治体からの委託を受けた企業の過剰請求が話題になっている。

総務省は4月、デロイト トーマツ テレワークセンターを指名停止措置とした。過去に国の事業を約30億円で受託したものの、働いた人数や時間を水増しし、約3100万円を過大に請求していたためだ。

ジェイアール東日本企画も実態と異なる不適切な作業時間を計上したとする複数例が確認できる。他社でも、許可を得ずに業務を再委託したといった事案がある。

昨今、民間業者が行政から指名停止を受ける不正では、人件費過大請求・補助金不正がもっとも多い。主に会計検査院が調べることで発見される。税金がムダに受注者に使われたわけで、国民は怒るだろう。

話は変わるようだが、企業に対する税務調査では、基本的に税務署職員がたった2日間で誤処理を見抜く。

わずか半日ほどのレクチャーで当該企業のビジネス内容を完全に理解できているわけではない。そのような状況で発見される「誤った会計処理」の多くは、事業者自身が把握していなかったものではなく、「あ、ばれちゃった」という不正だ。

この話と同列にならべると、発注した官公庁の頭がよく優秀な職員が、受託事業者の不正に気づいていなかったのかどうか。私は事情を察して同情する。検査院から指摘されるまで「不正請求なんて想像もしなかった、ガクブル((( ;゚Д゚)))」なんて官僚はいない(と信じる)。

また、無許可での再委託の件。もし自分たちが決めた業者が他の業者に再委託したとして、そこから上がってきた成果物の優劣に気づかなかったのだとしたら、どこを選んでも同じだったのでは?

2つ提案がある。

まず、行政は働き方改革で外部コンサルに頼らねばならないのが実情だ。仕事のスタイルを変えず時間だけ減らしたから当然だ。

せめて会議で座っているだけの事務方を解放したらどうか。付加価値に寄与しない公務員を望む国民はいない。普通に考えて、外部に頼らないと成立しない行政はおかしい。

次に、それでもコンサルに委託する場合。

最近は受注業務を他業者に再委託するケースが話題だが、現実問題、多くの業者は仕事を外に回す以前にChatGPT等の生成AIを使っている。事実上、AI企業に再委託しているようなものだ。

この流れは不可逆だ。情報セキュリティを守ることを大前提として、もう他業者への再委託は認めよう。AI同士が「単価が安いから時間を水増ししとくよ」と裏取引を始めなきゃいいが。

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  • 坂口孝則

    坂口孝則

    Takanori SAKAGUCHI

    調達・購買コンサルタント。電機メーカー、自動車メーカー勤務を経て、製造業を中心としたコンサルティングを行なう。あらゆる分野で顕在化する「買い負け」という新たな経済問題を現場目線で描いた最新刊『買い負ける日本』(幻冬舎新書)が発売中!

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