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近年、着ぐるみ姿の訪日外国人観光客が公道カートで都内を疾走する光景は、「東京名物」のひとつとなっている
電動キックボード、公道カート、モペット、そして自転車。今、東京都内の車道では"多種混在"の域を超え、小型モビリティが入り乱れる無秩序な状況が常態化している。ドライバーからは悲鳴の声が相次いでいる。車道でいったい何が起きているのか!?
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危ないにも程がある。
電動キックボード、モペット、公道カート、自転車......。今、東京都内の車道は"多種混在"というレベルを超え、無秩序状態が日常化している。
背景にあるのは、規制緩和とインバウンド政策の同時進行。しかし、そのしわ寄せを受けている四輪ドライバーからは、「危険すぎる」「もはや無法地帯だ」と悲鳴が噴出している。
友人らと都内をドライブしていた近隣県在住の30代男性は、困惑交じりにこう話す。
「複数台で車道をふさぐように走る訪日外国人のゴーカート集団に加え、たばこをくわえたまま蛇行運転をする電動キックボードやナンバーのないモペット、さらにはノーヘルで車道中央を高速走行するスポーツ自転車までいて、とても普通に走れる状況ではありませんでした。もし事故になれば、クルマ側の責任が重く問われる可能性もあるだけに、常にヒヤヒヤしながら運転するしかなかった。正直、もうクルマで都内に来る気にはなれませんね」
実際、着ぐるみ姿の訪日外国人観光客が公道カートで都内を疾走する光景は、もはや"観光名物"と化している。しかし、その裏側で進んでいるのは交通ルールの形骸化だ。
自動車誌関係者はこう明かす。
「片手運転や信号待ち中の撮影など危険行為が横行し、2023年には警視庁へ100件を超える苦情が寄せられています。インバウンドという追い風の代償として、交通マナーの崩壊が進んでいる状況です。訪日外国人の急増に伴い、外国人が関係する事故も増加傾向にあり、警視庁も公道カートや電動キックボードの法的位置づけ、運転ルールを外国人向けに周知せざるを得ない状況になっています」
自動車ジャーナリストの桃田健史氏も、苦笑しながらこう語る。
「まさにカオスです。渋谷、新宿、銀座、浅草が"路上エンタメ空間"のようになっている。こうしたハチャメチャ感が、訪日外国人観光客にとって"異国感"や"非現実感"を強く刺激している面もあるのでしょう。もちろん、道路交通法や道路運送車両法に照らせば合法です。しかし、本来大切なのはモラル。都心もまた地域社会であり、"地域社会の中で人がどう振る舞うべきか"が問われている社会現象なのではないでしょうか」
ノーヘルのまま都内の車道を走行する電動キックボード利用者。クルマなどと接触した場合、重大事故につながる危険性は極めて高い
もうひとつの"ユルすぎる移動手段"として存在感を増しているのが、電動キックボード。16歳以上であれば運転免許は不要で、ヘルメット着用も努力義務にとどまる。この極端に低いハードルが、安全面のリスクをさらに拡大させている。
「警察庁のデータを見れば、この問題の異常さは一目瞭然です。電動キックボード関連事故に占める飲酒事故の割合は11.1%に達し、自転車の約16倍、一般原付の約19倍という突出した水準になっています」
しかも、飲酒事故の67.4%が深夜0時から午前5時までの時間帯に集中しているという。この数字が示すものは何か。
「要するに、"終電後の足"としてレンタルされ、そのまま飲酒状態で利用されている実態が浮き彫りになっているわけです。加えて、車両の識別が難しいケースも少なくなく、管理や取り締まりが十分に追いついていないのが現状ではないでしょうか」
もはや"便利な移動手段"というより、困ったことに酔っ払いをそのまま公道へ解き放つ無秩序装置と化している面すらあるのだ。
「無法地帯化」する東京都内の車道に、ドライバーからは不満と不安の声が渦巻く。国はこの現状にどう向き合うのか
さらに四輪ドライバーを悩ませているのが、今年4月1日に導入された自転車の「青切符」制度だ。16歳以上を対象に交通違反へ反則金を科す新制度だが、現場からは戸惑いの声が上がっている。
都内を仕事でよく走るという、土建業を営む40代男性はこう吐き捨てる。
「自転車が車道を走るのは構わない。でも、事故になれば結局はクルマ側の責任が重く問われるでしょう。だったら、せめて自分の身を守る装備くらいは、きちんとしてほしいですよね」
問題視されているのはヘルメットの着用だ。電動キックボードも自転車も、依然として"努力義務"にとどまっている。今回の取材では、こうした不安の声が四輪ドライバー側から数多く聞かれた。
車中泊で日本一周を経験した漫画家の小田原ドラゴン氏は、ヘルメット問題についてこんな皮肉を飛ばす。
「電動キックボードを見ていると、結局は"おしゃれな自分がおしゃれな街を颯爽と走りたい"って感覚があるんでしょうね。だったら、髪がペタンコになったりグシャグシャになったりするヘルメットを義務化すればいい。そうすれば、もう誰も乗らなくなる。あるいは、ヘルメット自体を徹底的にダサくするとか。たとえば甲冑武者の兜みたいな形にして......あ、でもそれだと訪日外国人が喜んじゃうか」
では、なぜヘルメットは努力義務のままなのか。制度に改善余地はないのか。桃田氏はこう解説する。
「努力義務に実効性がないことを証明してしまった事例だと思います。自己責任で片付けていい問題でもありません。事故を起こした際、自分自身が負うリスクについて理解を促すための、より強力な周知活動は必須でしょうね」
では、この混在状態のなかで、都内を走る四輪ドライバーに事故を回避する有効な手段はあるのか。
「実質的な方策はありません。技術的には、車載カメラやレーダーなどのセンサーで周囲を検知し、ドライバーに注意を促す程度にとどまっています。歩行者を含むすべての移動体の位置情報や加速度から衝突を予測し、警報を発する社会実験も行なわれていますが、社会全体を過度に管理することには、民主主義社会として難しい課題が残ります」
結局、四輪ドライバーは細心の注意を払い続けるしかないのか。
「大切なのは、社会に参加しているすべての人が交通ルールを守るという意識を共有することではないでしょうか」
曖昧なルールと甘い運用が、混乱の温床となっていることは明白だ。国は、この"無法地帯化"した車道をいつまで放置するつもりなのか。