1月25日より映画『十二人の死にたい子どもたち』が全国の劇場で公開された。

この映画は、それぞれの理由により「死にたい」という願望を持った少年・少女たち12人が廃病院に集まり、集団での安楽死を実行しようとするが、そこにすでに死体となった13人目が現れたことで恐怖と狂気に満ちた展開へと進んでいくサスペンス作品。

今回、その12人のひとりで、ゴスロリ少女・ミツエ役を演じるのが、今大注目の新人女優・古川琴音だ。まだデビュー1年目も関わらず、次々と映画や広告、そして舞台に抜擢され、飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進している。

そんな、古川琴音の魅力に迫るべく、映画の話はもちろん、デビューから今までについて話を聞いた。

――今回、古川さんが演じられたのは、ビジュアル系のバンドマンを崇拝するゴスロリ少女という、かなり個性的なキャラクターですが、演じる上で取り組まれたことはありますか?

古川 ゴスロリという文化自体が私とは遠いところにあったので、そういう文化を勉強しました。ビジュアル系バンドの曲を聞いてみたり、実際にライブへ足を運んでみてヘドバン(ヘッドバンギング)をしてみたり。あとは、ライブがどんな盛り上がりをしているかを観察したりもしましたね。

――ヘドバン、体験されたんですね(笑)

古川 はい、ちょっとやってみました。なんか自分を捧げている感じがするし、まわりとの一体感もあって、崇拝するってこんな感じなんだなって。

古川琴音が演じるゴスロリ少女のミツエ(左)。Ⓒ2019「十二人の死にたい子どもたち」製作委員会 古川琴音が演じるゴスロリ少女のミツエ(左)。Ⓒ2019「十二人の死にたい子どもたち」製作委員会

――他に撮影で苦労された点はありますか?

古川 リョウコに「死なないで!」って訴えるシーンが一番大変でした。台本をもらったときから、このシーンが重要だと、意気込んでいたので。本番前も緊張しましたし、現場の空気も自然と私を追い詰めてくれるようになっていた気がします。

――今作の監督は、『TRICK』や『ケイゾク』など、ヒット作を多数送り出した堤幸彦氏。演出方法などで、他の監督の方との違いは何かありましたか?

古川 演劇的だなと思うときもありました。さっきお話したリョウコに詰め寄るシーンも、はじめはふたり隣の席に座っているんですけど、あえて真正面に動いてぶつかるという構図を演出されたり。そういった、感情の見せ方がすごいなって思いました。

――そんな映画『十二人の死にたい子どもたち』ですが、古川さんから見た魅力は?

古川 私、一度も死にたいと思ったことはないし、たぶん口にしたこともないんです。だから、この物語のあらすじを見たときは、すごい怖い物語のように感じていました。

でも、実際に映画を観ると、もちろん登場人物はそれぞれ『死にたい』と思っているんですけど、どんな状況でも生きてほしいっていうメッセージもあるのかなって思っています。

――今作も含めて、古川さんは、デビュー1年目にして、次々に役が決まるなど躍進が止まりません。もうすぐ1年が経とうとしている今、活動を振り返ってみていかがですか?

古川 すべてが初めてのことばかりだったので、一瞬で過ぎていきました。頭の整理もつかないまま、やって、やって、やってという感じだったので。

――そもそも、女優を目指した理由は?

古川 もともと小さい時からバレエをやっていて、人前に立つのが好きだったんですよ。そのバレエの延長線上で、演技を始めようと思って中学、高校で演劇部に入りました。そこからずっと演劇を続けてきたので、1回はプロの世界にチャレンジして、ダメだったら、あきらめようって感じでした。

――どうして、22歳というタイミングでチャレンジしようと思ったのでしょうか?

古川 就職を考えるタイミングだったからだと思います。大学生活も終わるし、じゃあ自分が将来何をしていきたいかって考えたときに、無理かもしれないけど、役者をやってみたいなって思っていて。それで、事務所のオーディションを受けました。

――見事合格されたわけですが、受かると思ってました?

古川 今の事務所が第一志望だったので、受かるとは夢にも思ってませんでした。私が、日本人の女優で1番好きなのが、満島ひかりさん(現在はフリーで活動中)で。その人とお芝居をするのにどうしたらいいかっていうのを考えたときに、「同じ事務所に入ればいいんだ!」と思って受けたら、奇跡的に拾っていただけて(笑) 。

――そうして、女優の道へと進んだわけですが、いろいろな作品を経験していくうちに、演技に対する姿勢は変わりました?

古川 そうですね。いろんな舞台や映画を観て、役者さんの取り組み方を勉強するようになりました。特に最近、感動したのが、少し前に公開された『博士と彼女のセオリー』という映画です。ホーキング博士の伝記的な映画なんですが、博士を演じるエディ・レッドメインさんの役の作り方がすごくて。物まねではなくて自分の筋肉がどう衰えたらそういう形になるのかとか、体からアプローチしているんです。そういう細部までこだわりぬいて役作りをした上で、演技されているのがすごいな、と。

なので、最近は『リリーのすべて』や『レ・ミゼラブル』など、エディさんが出演した作品を観ることが多いですね。とても尊敬し、憧れているので、自分もいつかそういう風に役作りができたらなって思ってます。



――本当にお好きなのが伝わってきます。では、今後自分が演じてみたい役は?

古川 ロックミュージシャンの役をやってみたいです。たくさんピアスをつけていたりとか、普通の人とは全然違う振り切れた人の役。あとは歌とかにも挑戦したいし、ミュージカルもいつかやってみたいですね。

――2月には、松尾スズキ、松たか子、瑛太など、そうそうたる顔ぶれがそろう音楽劇『世界は一人』への出演も控えていますが、そこに向けて何か取り組んでいることはありますか?

古川 舞台で立ち姿がきれいに見えて、存在感がちゃんとでるように体幹を鍛えています。

あと、これは前からなんですが、発声練習ですね。前に住んでいた家では、普通に発声していたら、声がうるさいって苦情が入ったので、今はカラオケに行くようにしました(笑)

――気合が入りすぎましたね(笑)。ありがとうございました、最後になりますが、2年目の目標をお教えください。

古川 1年間いろいろな作品に挑戦させていただきましたが、あっという間に駆け抜けたという感じだったので、2年目はもうちょっと地に足をつけて、ひとつひとつの役をもっと丁寧に演じたいと思います。


●古川琴音(ふるかわ・ことね)
1996年10月25日生まれ 神奈川県出身 身長161cm
特技=ダンス(バレエ、ヒップホップ 他)、ジブリッシュ
○2018年2月デビュー。デビューから一年を経たずして、数々の映画や広告に抜擢される。主な出演作に映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』、映画『チワワちゃん』など。また、岩井秀人が作・演出を手がける舞台「世界は一人」(2月24日~3月17日 東京芸術劇場 プレイハウス)にも出演が決まっている。

●映画『十二人の死にたい子どもたち』は本日より公開中。詳細は公式HPにて。