
山本萩子
やまもと・しゅうこ
山本萩子の記事一覧
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。2019年から5年間、『ワースポ×MLB』(NHK BS)のキャスターを務めた。愛猫の名前はバレンティン。
5月28日、ヤクルト対西武戦の始球式で神宮球場のマウンドに立ちました。
ありがたいことに多くのニュースサイトなどで取り上げていただきました。始球式や「イガちゃんねるDAY with uFit」の当日のイベントの模様はYouTubeチャンネル『イガちゃんねる 〜五十嵐亮太の人生は旅だ〜』で後日アップ予定ですので、ここでは個人的なことをお話ししたいと思います。
現在、始球式から一夜明けた翌朝の5時です。アドレナリンが出すぎて、眠いのに寝られないまま外がすっかり明るくなってしまいました。それくらい一生忘れない光景でした。
あらためて当日を振り返ります。8時半頃に起床すると、雨予報だったお天気はなんとか曇りマークになってひと安心。前夜はわりと寝られたものの、1時間半おきに目が覚めたのは緊張しているからでしょう。
普段はストレスなどが睡眠に影響することはないのですが、どうやら脳も身体もしっかり自覚があったようです。朝食はしっかり食べようと思っていたのですが、あまり食べられず。以前、ある投手の方に取材をした際、「試合前は緊張してあまり食べられない」と話していたのを思い出します。もちろんプロと一緒のはずはないのですが、ほんの少しだけ気持ちがわかった気がしました。
自宅を出る時に、エレベーター内の鏡に向かってピッチングフォームを確認。警備の方が防犯カメラを見たら、どう思ったことでしょう。10時過ぎに事務所に到着し、着替えとメイクを済ませたら球場に移動して、五十嵐亮太さんや撮影スタッフたちと合流しました。
「今日は長丁場だから座りな」と声をかけられたものの、そわそわが止まらない私に「こっちが緊張しそう!」とみなさんが笑っています。やがて選手たちの練習が始まり、何人かの選手にお話を伺いました。こちらも後日動画が上がると思いますが、「山本さんにも、グラウンドでの緊張をしっかり味わってもらわないと!」と激励を受け、いい意味で気分が引き締まりました。
16時。球場の外に移動し、五十嵐さんと特別グッズの物販販売へ。限られた時間の中で、たくさんのファンの方と直接顔を合わせることができましたし、人生で一番「頑張ってください」という言葉をいただいた1時間でした。おかげさまで力がみなぎりました。みなさん、本当にありがとうございます。
始球式直前。緊張のあまりずっとしゃべっている山本と、それに対してツッコミを入れる五十嵐さん。
17時になり球場に戻ると、緊張は最高潮に。若干心配そうにこちらを見ていた五十嵐さんから「キャッチボールしよう」と提案が。まだお客さんも少なかったので、グラウンドでキャッチボールをしました。練習では届いたものの、本番ではきちんと投げられるのかと不安になります。
控室に戻ると、自分のフォームが正しいのか急に不安になって、過去の練習動画を見返すことに。「肘が下がっているかも」と分析していると、「今!? 今からフォームの確認?」と五十嵐さんは驚いていました。
その日、五十嵐さんに言われて気づいたことがあります。どうやら私は「緊張するとめちゃくちゃしゃべるタイプ」のようです。思えば生放送の前とかもよくしゃべっていました。人生で一番の緊張をしながら、新たな発見ができたのは収穫でした。そして、「緊張するのは当たり前。せっかく神宮のマウンドに立つのだから、この瞬間を味わわないといけない」と考えることにしました。
そして迎えたファーストピッチセレモニー。マウンドに向かいながら、客席をぐるっと見渡しました。
「ああ、こんな景色なんだ」
芝が美しく、客席のお客さんの姿が、思ったよりもしっかり見えます。あの瞬間の景色は今も目に焼きついています。
マウンドに上がるとさらに視野が開けます。投手と同じ景色を私も見ている。見慣れた光景の中に自分がいるのが、ただただ不思議な感覚でした。マウンドに立つ自分をどこか遠くから見ているような感じがしたのは、これまで客席から数え切れないほど見つめてきた場所だからなのかもしれません。
投球直前、キャッチャー役の五十嵐さんがいつもの笑顔で、「ふう」と深呼吸をするのが見えました。それを見て、私も同じように深呼吸をします。この一連の動作のおかげで落ち着くことができました。やっぱり五十嵐さんはすごい。
ピッチングの結果は、左のアウトローに。というか、五十嵐さんのナイスキャッチのおかげでノーバウンドで終えることができました(こちらも後日動画でお楽しみください)。
そして、観客のみなさんからの温かい拍手が聞こえてきました。間違いなく、人生で一番幸せな数分間でした。ヤクルトファンの両親も見に来ていましたが、胸を張って「親孝行」できたなと思います。
グラウンドを後にする際、一塁ベンチの前でスワローズの選手や首脳陣の皆さんから「ナイスピッチ!」の声と拍手をいただいてしまい嬉しいやら恥ずかしいやら。ヤクルトが好きで本当によかった。
その後の囲み取材では緊張の糸が切れたのか、涙をこぼしてしまったのですが......日々この緊張感の中で、最高のパフォーマンスを見せてくれる選手たちへのリスペクトが何倍にも膨らみました。プロ野球選手って本当にすごい。そしてこの場所が、少年たちが憧れる夢の舞台であり続けてほしいと思いました。あらためて、素敵な機会をいただいたことに感謝いたします。
動画でもアップ予定です。裏側や選手や監督のインタビューも含め、『イガちゃんねる 〜五十嵐亮太の人生は旅だ〜』のチャンネル登録をしてお待ちください!