デビュー45周年の岩崎良美がライブ盤を発売! WBCで人気再燃の色褪せない名曲「タッチ」の魅力を語る「年齢を重ねても、いつまでもオリジナルの『タッチ』を届けたい」

取材・文/とり 撮影/栗山秀作


昨年末、東京・ヤマハホールで開催された岩崎良美の45周年ライブを収録したメモリアルなライブ盤『Grâce à vous(グラサヴ)~岩崎良美 45周年記念 LIVE~』が絶賛発売中だ。代表曲「タッチ」はもちろん、「I THINK SO」「涼風」などデビュー初期の楽曲から近年の楽曲までを幅広く披露。フランス語で「あなたへ感謝を」を意味するタイトルの通り、長く支え続けているファンへの思いが伝わる一枚となっている。

今回、この45周年ライブを振り返ると共に、「2026 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」のNetflix大会応援ソングとして稲葉浩志がカバーし今まさに話題となっている不朽の名曲「タッチ」の魅力について語ってもらった。

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――『Grâce à vous(グラサヴ)~岩崎良美 45周年記念 LIVE~』が4月1日に発売されました。デビュー初期の楽曲から、女子ラグビー応援ソングとして2016年に発表された「My Life」、20年以上もナレーターを務められているTVアニメ版「おさるのジョージ」の主題歌まで、岩崎さんの歌手活動を彩る幅広い選曲ですね。

岩崎 45周年ライブなので、いくつかメドレーにするなどして、とにかくたくさん歌いました。ありがたいことに歌いたい楽曲がたくさんあるので、ライブの選曲はいつも大変なのですよ。今回はバンドを引っ張ってくれたギタリストの椿本(匡賜)さんと一緒に、繋ぎを意識しながら選んでいきました。

――随所に挿入された空港アナウンスをイメージしたSEも印象的です。ライブ盤は音源だけで映像はないですが、臨場感のある演出が伝わってきます。

岩崎 ライブ全体のテーマを「旅」としているんです。以前にも「旅」をテーマにライブを行なったことがあって、今回流したSEはそのときに作ったもの。あまりにお気に入りだったので、また使わせていただきました。私、空港で聞くアナウンスや飛行機が離陸する音が大好きなんですよ。今から旅が始まるんだって、ワクワク感で胸がいっぱいになる。私のライブに来てくださった方にも、是非その感覚を味わっていただきたいなと、このような演出になりました。


――岩崎さんは10代の頃からフランスに憧れ、40代から本格的にフランス語を習い始め、近年はシャンソンを歌われるなど、大のフランス好きなのだとか。今も時間があればパリに飛んで行ってしまうそうですが、「旅」をテーマにされたり、空港がお好きだったりするのは、その影響もあるのでしょうか。

岩崎 パリに行くときはもちろんワクワクしますが、それで「旅」をテーマにしているわけではないです。私の言う「旅」は人生そのもの。日々のささやかな瞬間はすべて旅の通過点だと思うんです。ライブのMCでもよく言ってます。「人生、旅だから」って。人生という旅の思い出のひとつとして、一緒にライブを楽しみましょうって気持ちが、常にあるんですよね。

――まさに飛行機が出発するアナウンスから始まり、到着のアナウンスでライブが終了するので、岩崎さんが歌っている間、本当に空の上を旅しているような気分になりました。終盤には、アニメ『タッチ』の第2期エンディングテーマ曲である「青春」に続き、代表曲「タッチ」を歌う流れがあり、とても盛り上がっている印象を受けました。やはり、ライブのセットリストに「タッチ」は外せないですか?

岩崎 そうですね。皆さんの中で"岩崎良美といえば「タッチ」"というイメージが強くあると思うので、ライブでは必ず歌うようにしています。アニメ『タッチ』関連の曲だと「青春」もよく歌っていますね。過去には、ほぼフランス語の歌だけでライブを構成して、あえて「タッチ」を歌わない時期もあったんですけどね。

――まさに今、世間では「WBC」のNetflix大会応援ソングとして稲葉浩志さんがカバーした「タッチ」が話題です。

岩崎 こうしてまた多くの方に「タッチ」を聴いていただけるのは、とてもありがたいことです。知り合いを通じて、稲葉さんがカバーされることを聞いて、私もすぐに聞かせていただいたのですが、本当に素晴らしかったです。キーもテンポも原曲とほとんど変わらないのに、男性で、あれほどの高音を歌い切れるなんて。アレンジもカッコよく、WBCの映像ともマッチしていて感激しました。試合も夢中になって最後まで見届けました。

――過去にも様々なアーティストがカバーしているばかりか、カラオケでは常に上位にランクイン。アイドルの方がオーディションで歌ったなんて話も聞きます。歌い継がれ、愛され続ける理由を、岩崎さんはどう考えますか?

岩崎 楽曲自体の力だと思います。当時から「呼吸を止めて」という歌い出しがすごく好きなのですが、イントロのギターで胸がざわざわして、そのままグッと引き込まれる歌詞だと思っていて。そんな歌詞の世界観や歌いたくなるメロディーが、時代を超えて長く愛されるいちばんの魅力だと感じます。あと、アニメソングとしての力も大きいですよね。きっと「タッチ」を聞くことで、あだち(充)先生が描く『タッチ』という作品自体への思いが込み上げてくる方もいらっしゃると思うんです。

――「タッチ」をリリースされた当時は、あまり音楽番組で歌われなかったそうですね。

岩崎 ちょうどドラマ『スクール☆ウォーズ』の撮影が始まったんですよ。それに音楽番組『ザ・ベストテン』ではベストテンに入らなくて(最高14位)、ランキング外の曲を紹介するスポットライトのコーナーでしか歌っていないんですよね。「タッチ」を歌ってください、というオファー自体はその後も頻繁にいただきましたが、俳優業や舞台に夢中になってお断りしていた時期もありました。そう思うと、40年近く前の楽曲にもかかわらず、いまだに歌番組で披露させていただけてありがたいですね。そういう楽曲をいただけたことも含めて、幸せだなと思います。

2026年4月11日タワーレコード新宿で行われた、発売記念インストアイベントでは「タッチ」「青春」ほか代表曲を披露。会場には20代のファンもかけつけた(撮影/山上徳幸)2026年4月11日タワーレコード新宿で行われた、発売記念インストアイベントでは「タッチ」「青春」ほか代表曲を披露。会場には20代のファンもかけつけた(撮影/山上徳幸)
――長く歌い続ける中で「タッチ」という楽曲に対する思いに変化はありますか?

岩崎 今はなるべくオリジナルに近いアレンジで歌うことを心がけていますね。フランス語や英語で歌ったり、ディスコバージョンとしてハウスっぽく歌ったり。色々とアレンジを試した結果、やっぱりオリジナルのギターのフレーズを欠いてはいけないという結論に至りました。2007年に発表した「タッチ(21st century ver.)」や、avex traxから「おさるのジョージ」と両A面シングルとして発売された「タッチ(2024)」は、かなり当時の音に近づけているので、オリジナルと間違える方もいらっしゃると思いますよ。

――発売から40年が経った今もオリジナルに近いアレンジで名曲が聴けるのは、とても貴重ですし、長く聴いてきたファンの皆さんもうれしいと思います。WBCの余波で、またさらに「タッチ」が盛り上がるといいですよね。

岩崎 最近、甲子園の応援曲で「タッチ」を聞く機会が減った気がしていて。ピンクレディーさんの「サウスポー」や山本リンダさんの「狙いうち」はよく耳にするですけどね。今年の夏は「タッチ」がたくさんかかるといいな(笑)。

――長く歌い続けるという意味では、岩崎さんの歌声の変わらなさも素晴らしいと思います。努力の賜物なのだと思いますが、ずっとフレッシュで透き通った歌声をされていますよね。

岩崎 そう言っていただけてありがたいですが、どうしても年齢に合わせた歌い方にはなってしまっていますよ。こっそりキーを下げているところもありますし、なかなか当時のようには歌えないです。それでも当時の勢いを期待されているのは感じますし、できる限り応えていきたいとは思っています。そういう意味では、これからさらに年齢を重ねていくにつれて、どこまで歌えるかは、私の中で大きな課題と言えますね。プレッシャーも感じます。聴いてくださる方、そして歌っている私自身が楽しい気持ちになれることが何よりだと思うので、今後も頑張らなくちゃと思います。


――これからも楽しみにしています。ちなみに海外の音楽ファンの間では、シティポップブームの影響もあり、意外な楽曲が人気だそうですね。

岩崎 そうなのです。『Save me・・・お願い』とか、アルバム楽曲がよく聞かれていると知って驚きました。サブスクで世界の音楽に気軽にアクセスできる環境になったからこそだと思うので、長く歌い続けてきて良かったなと思います。先日、出演させていただいたBS11『鶴瓶のええ歌やなぁ』という番組では、「タッチ」のほかに、2枚目のシングル曲「涼風」、4枚目のシングル曲「I THINK SO」も歌わせていただけて、ありがたかったです。他にも良い曲をたくさん歌っているので、この機会に聞いてみてください。今後も精力的に活動していきますのでご注目ください。


岩崎良美(いわさき・よしみ) 
1961年6月15日生まれ 東京都出身 
○1980年にシングル「赤と黒」で歌手デビュー。同年末の第31回NHK紅白歌合戦に、姉・岩崎宏美と同時にソロで初出場を果たしたことが話題に。1985年、「タッチ」で日本レコード大賞金賞を受賞した。2006年から現在まで、NHK Eテレで放送中のアニメ『おさるのジョージ』でナレーションを務めるとともに主題歌を担当している。6月13日、ブルース・アレイ・ジャパンでフランス語の楽曲を中心としたライブを開催予定。
公式Instagram【@yoshimi_iwasaki_official】


『Grâce à vous(グラサヴ)~岩崎良美45周年記念LIVE~』岩崎良美
価格:3500(税込)

「岩崎良美 ライブ 2026 Le joli triangle vol.5 ル ジョリ トリオングル(洒落た三角形) 」
2026年6月13日、目黒BLUES ALLEY JAPANにて、昼・夜の二公演開催予定!
https://bluesalley.co.jp/index.html

Aura 38 RECORDSより発売中

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