リトル・カトマンズ探索の裏テーマはモモの食べ比べ!リトル・カトマンズ探索の裏テーマはモモの食べ比べ!

みなさん、ナマステ(ネパール語でこんにちは)。前回に続き、新大久保で急速に進化するネパールタウン「リトル・カトマンズ」を探索します。裏テーマはモモ(ネパール風餃子)の食べ比べ!

■超ディープな怪しい隠れ家! ガチンコネパール料理店

さて、ネパール料理屋さん2軒目の訪問は、マンションの2階にあるちょっと怪しい隠れ家的お店「ソルティカージャガル」さんです。一見、海外の日用品や食品を扱う小さな商店なのですが、奥には隠れた(?)テーブル席があるという。

そんなディープさと本場の味が玄人ウケする、ガチンコネパール料理店です。この手の店にはワクワクが止まらない!

マンションの2階にある日用品店の奥に隠れた飲食店マンションの2階にある日用品店の奥に隠れた飲食店

手前にある美容室を通り過ぎ、軒先に日用品が売られている店内に入ると、小さなスペースにはネパール食材がギッシリと並んでいる。

「果たして、この奥に本当に食べるところがあるのだろうか...?」

ネパール人のパパ店員さんに、ちょっとドキドキしながら店の奥を指差すと、すんなり席に案内してくれた。

店内には日用品や食品が売られている店内には日用品や食品が売られている

店の奥の隠れたスペースにはテーブル席が3つ店の奥の隠れたスペースにはテーブル席が3つ

奥のスペースにはテーブル席が3つほどあり、壁にはネパールの風景写真やチベット仏教で用いられる五色の祈祷旗「タルチョ」が飾られている。タルチョの青は空、白は風、赤は火、緑は水、黄色は大地を表しており、それぞれには経文が書かれている。

ちなみに、風で揺れるたび、お経を唱えるのと同じ効果をもたらすそうですが、それって効率的ですね!

腰をかけつつまずはメニューを確認すると、日本語も添えられていてちょっと安心。ふと壁に貼ってある「新メニュ」を見ると、目に入ったのは「キ◯タマの炒め」の文字。

「......え!?」

思わず二度見です。

新メニュ。キ◯タマの炒め。1000円。新メニュ。キ◯タマの炒め。1000円。

「こ、これ!」

と指差すと、パパは笑いながら

「アハハ、ラスカニ! ヤギラスカニ!」

どうやら山羊のキ◯タマということらしい。

マニアックな店の奥ではこんなおったまげメニューも普通に存在する。旅人のプライド的にここはいっておきたかったけれど、まずはラッシーを頼んで心を落ち着かせた。

そして読者のみなさま、期待に答えられず申し訳ありません。迷いに迷って......、私はとりあえず今回の目的である「モモ食べ比べ」のために水牛(バフ)のモモを頼みました(結局ヤギのそれは白子のようなもので、日本でも石垣島や沖縄では食べられているらしい。意外と一般的......?)。

そして私はキ◯タマ炒めの代わりにせめて何かチャレンジしようと、メニューにある「グンドゥルックのスープ」というものを指差してみた。何かと尋ねると、パパは商店の方からビニールに入ったカラカラに乾燥した葉っぱを私に見せてくれた。見た目は食べ物というよりも、もはやタバコの葉っぱのような感じ......。

調理前の「グンドゥルック」を見せてくれました調理前の「グンドゥルック」を見せてくれました

これまた謎の食材でしたが、少なくとも「キ◯タマ炒め」よりは食べやすそうなので注文すると、出てきたのは水分を吸ってかなりの量に膨らんだ先ほどの葉のスープ。食べきれるか心配でしたが、何はともあれ口をつけると、

「おお、酸っぱい。発酵食品の乳酸のような酸味がウマイ。そして時々、茎みたいなところが硬いけど、噛めば噛むほど味が出る......!」

「グンドゥルック」のスープ。なかなか滋養がありそうな見た目です「グンドゥルック」のスープ。なかなか滋養がありそうな見た目です

「グンドゥルック」とは、青菜を乾燥させて発酵させた、ネパールの高菜や野沢菜のようなもの。酸味の中に時々苦さも感じたけれど、「良薬口に苦し」という感じで体に良さそう。根強いファンもいるようで、新大久保のネパール食材店ではもちろん、通販サイトなどでも入手可能な食材です。

そこに、待ってました! モモ登場! もはやモモに安心感すら感じますが、中身のお肉は水牛です。香り立つ湯気からはワイルドな獣感! チベット式(餃子型)のそれを口に運ぶと、現地で食べたあの味と同じ......!

チベット式(餃子型)の水牛のモモ、登場!チベット式(餃子型)の水牛のモモ、登場!

「うぉー!!!! これこれこれこれ! ネパールで食べたのはこの味よ!」

懐かしい味に旅を思い出し、嬉しい気持ちになりました。目の前にはネパールの第二都市ポカラで見たヒマラヤ山脈、アンナプルナ連峰の景色が広がった(目の前にポスターがあったからですが)。

ネパールの旅でバスの車窓から見たアンナプルナ連峰ネパールの旅でバスの車窓から見たアンナプルナ連峰

さすがの水牛パンチ。ゴロゴロと少し硬めのお肉が皮の中からこぼれ落ちる。黄色い油のスープが滴るのを指差して、クミンが入っているのかしらと聞いてみると、キッチンから出てきたシェフらしき男性が、

「NOクミン。タマネギ、ニンニク、ショウガ、ターメリック、タマリンド......」

と教えてくれた。なるほどカレーっぽい味はターメリックだったのか。甘酸っぱさはクミンかと思ったけど、タマリンドだったのね。秘伝のレシピ(?)ゲットです。

この店のオープンは2014年。実は前回訪れた「ネパール居酒屋モモ」に次いで、この街で2番目にできたネパール料理店ですが、日本に染まることなくローカル色全開のスタイルが潔い。本場の味を求める人や、よりディープなリトル・カトマンズを体験したい人には迷わずオススメしたいお店です。

優しいパパとシェフの方、ダンネバード(ありがとう)!  異国情緒漂う雰囲気にちょっとドキドキしながら、小さな旅のような経験ができました。次回来た時はラスカニも食べてみますかに......。

★ディープな「リトル・カトマンズ」体験をYouTubeでも!

●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。
Twitter【marysha98】
Instagram【marysha9898】
YouTube『旅人まりーしゃの世界飯 Traveler Marysha』

★『旅人マリーシャの世界一周紀行』は隔週木曜日更新! ★