「相席屋」激減の一方で「オリエンタルラウンジ」がウケている理由とは? 海外展開の伸びしろも...!?

取材・文/かくしごと

平日でも入場列を作っているオリエンタルラウンジ平日でも入場列を作っているオリエンタルラウンジ
コロナ禍が直撃し、気づいたらマッチングアプリに客をごっそり奪われてしまった相席居酒屋業態。そんな中、異端の戦略で成長を続けるニューカマーがいた!【オワコンの逆襲 Part2 相席居酒屋】

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【EDMが流れるラグジュアリー空間】

東京・JR恵比寿駅東口を出ると、ピンクのネオンに彩られたクラブのような建物が目に飛び込んでくる。ここは2023年にオープンした相席居酒屋「オリエンタルラウンジ 恵比寿店」だ。

相席居酒屋といえば、10年代半ば頃に一世を風靡(ふうび)した「相席屋」を思い浮かべる人も多いだろう。一時期は全国に80店舗以上を展開したが、コロナの蔓延とマッチングアプリの台頭が重なり、現在はたった6店舗。相席屋の姉妹店「FIX LOUNGE」に至っては、全店舗が閉業してしまったようだ。

一方、オリエンタルラウンジ(以下、オリラジ)は地道に店舗を増やし続けており、恵比寿店に至っては月間売り上げ1億円を突破。22年からは右肩上がりに業績を伸ばし続けているという。

いったいオリラジの何がイマドキの男女を引きつけているのか。その実態を探るべく、記者(30代後半・男性)が友人を連れて体験してみた。

水曜20時。平日にもかかわらず、店の前には多くの男女が並んでいた。記者もその列に加わると、『SOLOTTE!(ソロツテ)』というアプリをインストールするように店員から促される。このアプリで入店時間の記録や相席相手のチェンジ、フードやドリンクの注文などを行なうようだ。

オリエンタルラウンジ公式アプリ『SOLOTTE!』の掲示板。ひとりで行きたい場合はここで同行者を募集するオリエンタルラウンジ公式アプリ『SOLOTTE!』の掲示板。ひとりで行きたい場合はここで同行者を募集する
ちなみにオリラジはひとりでの入店は原則NG。連れていける人がいない場合は、このアプリの掲示板から同行者を募集しなければならない。

記者の前には5人ほどの男性が並んでいたが、約10分で入店できた。EDMが爆音で流れる薄暗い階段を恐る恐る下りていくと、きらびやかでラグジュアリーな空間が迎えてくれる。昔行った相席屋はチェーン居酒屋のような雰囲気だったので、オリラジのほうが圧倒的に女子ウケは良さそうだ。

相席屋と同様、男性は時間ごとにチャージ料金が発生する一方、女性は無料。クリームパスタやフルーツ系のカクテルなど、フードやドリンクもオシャレなものが多い。

女子トイレにはコテやアイロンが完備されているそうで、女性は初回サービスでちょっとしたスキンケア用品ももらえるという。とにかく女性客には至れり尽くせりである。

そんな行き届いたサービスのおかげか、店内は大盛況。

この日は女性が85人、男性が57人来店しており、どこを見渡しても20代中盤くらいの若い男女ばかり。体育会系の爽やかイケメンや、きらびやかな港区系美女が店内を闊歩(かっぽ)している。平凡な見た目の記者はだいぶ萎縮してしまった。

そうこうしているうちにスタッフから案内を受けて、1組目の女性たちとの相席タイムがスタート。お相手は高校時代の同級生という、32歳の2人組だ。企業の受付と看護師という組み合わせで、ふたりとも超かわいい!

しかし、アラフォーのおじさんがガッツくのも気持ち悪いと思い、ゆったり話していたら、自己紹介と軽い雑談程度ですぐに席を移動させられてしまった。どうやら、男性は30分で強制的に別の女性卓へ行かなくてはならないらしい。別れ際にLINEグループをつくれたのが唯一の収穫だった(ただしそこから発展することはなかった)。

オリエンタルラウンジで出会った女性とのLINE。4人のグループをつくってもらったが、誰も返信してくれず、そのままやりとりは終わったオリエンタルラウンジで出会った女性とのLINE。4人のグループをつくってもらったが、誰も返信してくれず、そのままやりとりは終わった
2組目は、整形顔のコと、おとなしくて無愛想なコのペア。ふたりの関係性は「飲み友」ということ以外何も教えてくれなかったので、もしかしたらアプリの掲示板で出会ったのかもしれない。

職業は整形顔のコが不動産関係のバリキャリで、おとなしいコのほうがライブ配信者だという。記者はおとなしいコと向かい合う形になり、話がまったく盛り上がらず気まずかったが、途中で「私たちデニムシャツでおそろいだね」と笑ってくれたのがかわいかった。だが、ふたりともLINEは教えたくないようだったので、諦めて退席。そのまま店を後にした。

会計は1時間の滞在で、男ふたりで1万1700円。安くはないが、マッチングアプリの女性と食事に行ったらもっとお金がかかるので、合計4人の女性と出会えたと思えばコスパは悪くないだろう。

【「相席屋」が店舗数を減らしたわけ】

なぜオリラジはここまでの成功を収めることができたのか。パーソナライズ婚活サービス「ヒトオシ」を運営する伊藤早紀(さき)氏は次のように語る。 

「相席居酒屋の始祖『相席屋』は、真剣な出会いの場という側面をアピールしていました。しかしコロナを経て、本気の恋活や婚活ならマッチングアプリのほうが効率的だとユーザーが気づいてしまった。

一方のオリラジは、無理に恋愛や結婚にフォーカスせず、はやりのナイトスポットとして売り出すことでマッチングアプリと競合しないようにしたんです。

たとえいい出会いがなくても、オシャレな空間やシェフが作るおいしい料理を堪能して、『その場にいるだけで楽しい』という体験を提供することができている。人気エンタメ施設のような地位を確立しています」

では、本気の出会いを求める人には不向きなのか。

「出会えなくはないですが、次につながるかというと微妙かも。オリラジは〝イケてるスポット〟というイメージが定着しているので、集まる男女のレベルは高いですが、いわゆるメシモク(ごはん目的)の女性も多い。

とはいえ、アプリと違って短時間で何人もの女性と会うことができるので、経験を積む場としてはよいと思います」

今後もオリラジは伸びていきそう?

「最近、オリラジの店前にある、男女の滞在人数が表示されるディスプレーが海外でバズって、外国人観光客がけっこう来ています。海外展開の伸びしろはまだまだありそうですね。

また、SNSを使ったPR戦略が弱かったのですが、そこが得意なマッチングアプリの『Dine(ダイン)』をM&Aしたので、相乗効果も見込めそうです。

オリラジは全国各地に店舗を拡大しており、地方では珍しいナイトスポットとなっています。競合となる施設がほぼない状態なので、しばらくは1強が続きそうですね」

マッチングアプリに圧倒されていた相席居酒屋業界に、彗星(すいせい)のごとく現れたオリラジ。新たな若者の出会いの場として、定着するか?

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