「Siri Ai」で見えたiPhoneが超絶値上げする近未来

取材・文/直井裕太

「Siri AI」の登場でiPhoneをはじめとするApple製品に及ぼす影響は?「Siri AI」の登場でiPhoneをはじめとするApple製品に及ぼす影響は?

6月9日に開催されたAppleの開発者向けイベント「WWDC26」で発表されたのが、年内に登場予定の大幅アップデート版Siri。「Siri AI」として刷新された注目機能はどう進化したのか? そして、今後iPhoneをはじめとするApple製品に与える影響などを解説します!

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【GeminiベースのSiri AIの実力は?】

6月9日、Appleの開発者イベント「WWDC26」で、音声アシスタントとして長らくiPhoneユーザーに親しまれてきたSiriの大規模アップデート版となる「Siri AI」が登場。気になる新機能の実力とこれまでの歴史、そしてiPhoneをはじめとするApple製品に及ぼす影響を、ITジャーナリストの法林岳之さんに解説してもらいます!

――「Siri AI」はどのような機能なのでしょうか?

法林 音声アシスタントであるSiriと、AppleのAI機能である「Apple Intelligence」を統合した新機能になります。メールの要約や返信、カメラで被写体を認識するといったことを音声操作で行なうことができます。料理の画像を認識させて、そのカロリー計算結果をiPhoneに表示することも可能です。

――Appleの公開した映像をチェックすると......これは既視感強めの内容かも!?

法林 Siri AIにはGoogleのAI「Gemini」シリーズの技術が採用されています。

――つまり、Siri AIの〝中の人〟はGeminiということですか?

法林 GeminiベースのAIを採用しつつ、細かい部分をAppleがカスタマイズしたのが、Siri AIです。Appleは検索やメール履歴などユーザーのプライバシーを保護するため、これらに関するデータを外部に出さずオンデバイス(端末上)で処理させることを重要視しています。こういったプライバシー保護の部分で独自のカスタマイズが施されています。

これらの新機能は年内中にベータ版が配信され、その後対応するApple製品の新OSに実装される予定です。取りあえず、今回の発表でやっとiPhoneもAndroidスマホとAIで戦う準備が整ったと言えます。Siri AIは本体操作に加え、「Hey Siri」との呼びかけでも起動ができます。

――そーいえば、最近「Hey Siri」と言ってなかったです。近年は、iPhoneユーザーのSiri離れ的なこともあったり?

法林 Siriは2012年から日本語に対応し、当初は多くのユーザーに活用されていました。しかし、アマゾンやGoogleからも音声アシスタント搭載端末が登場。これらは他社製品の操作も可能で価格も安く、普及しました。何より、Siriはあまり賢くありませんでした。

Siriが「Siri AI」にリニューアル!Siriが「Siri AI」にリニューアル!

iPhoneシリーズでは、従来の「Hey Siri」との呼びかけだけでなく、Dynamic Islandを下にスワイプすることでもSiri AIを起動できるiPhoneシリーズでは、従来の「Hey Siri」との呼びかけだけでなく、Dynamic Islandを下にスワイプすることでもSiri AIを起動できる

Siri AIはiPhoneの画面上の画像やテキストなどを認識しつつ、バックグラウンドのアプリとも連携。ユーザーの文体をSiri AIが学習し、それっぽく文章を生成して返信まで行なってくれるSiri AIはiPhoneの画面上の画像やテキストなどを認識しつつ、バックグラウンドのアプリとも連携。ユーザーの文体をSiri AIが学習し、それっぽく文章を生成して返信まで行なってくれる

Siri AIの音声をユーザーがカスタムすることも可能だSiri AIの音声をユーザーがカスタムすることも可能だ

――確かに! 日本語の認識能力はアマゾンやGoogleのほうが優秀ですね。

法林 Appleは英語やフランス語、近年では中国語など話者の多い言語を優先して開発するため、日本語は後回しなのです。そのためSiri AIも日本語対応の時期は未定となっています。そして、日本語に対応したとしても、端末に関する根本的な問題があります。

――どんな問題でしょうか?

法林 Siri AIはプライバシーを保護するため、オンデバイスもしくはユーザーの承認を得た上で専用のクラウドでAIの処理を行ないます。オンデバイスでSiri AIを活用するにはそれなりのスペックが必要となり、iPhoneだと2023年発売の15 Proと翌年の16シリーズ以降、Apple Watchも23年発売のSeries 9以降のみ対応となっています。

――それ以前のモデルは、どのような性能面の理由で対応できないのでしょうか?

法林 各種アプリの処理速度に影響するRAMの搭載容量が不足しています。AppleはiPhoneシリーズのRAM容量を公開していませんが、6~8GBと推測されています。

現在、スマホメーカー各社ではAIを快適に動かすために8GB以上が標準化しており、最新iPhoneクラスの価格帯のフラッグシップと呼ばれるAndroid端末は12GBのRAM容量が標準化し、さらに16GBも登場しています。これは、5月に発表されたGoogleの新AI機能「Gemini Intelligence」を快適に動作させるためでもあります。

――RAM容量が少なくて、自社のサービスを快適に動かせないなんて、Apple信者さんが許しませんよ! 次期iPhoneからはRAM増量が確定なのでは?

法林 現在のメモリー高騰で、RAMは最も価格的な影響を受けている製品のひとつです。中国の大手スマホメーカーでさえ値上げは当然として、RAMを確保することすらままならない状況。それを増量するとなるとiPhoneシリーズも値上げは避けられません。

――円安とセットで悲しいお知らせ! ところで、近年ユーザー離れが進むSiriが、スマホユーザーに与えた最大の功績とは?

法林 今やスマホでのAIの利用で一般的に行なわれている「スマホに向かってしゃべりかける」というアクションはSiri発と言えます。Siri AIが登場して、再びユーザーが「Hey Siri」としゃべりかけることで、スマホのAIを使ってこなかったユーザーの入り口になるのではと考えています。

その一方、GoogleのAIサブスクである「Google AI Plus」が、これまでの月額1200円から725円に値下げを発表しました。業界的にはAppleが入り口をつくって、ユーザーはGoogleに課金するという構図になってきました。これはAppleがAI開発で出遅れたツケが回ってきたということなんでしょうね。

――Siri AIだけでなく今後はスマホAIの価格競争にも注目です!

  • 直井裕太

    直井裕太

    なおい・ゆうた

    ライター。尊敬する文化人は杉作J太郎。目標とするファウンダーは近藤社長。LINEより微信。生活費の支払いは人民元という国境を越えるヒモおじさん。ガチ中華はブームじゃなくって、主食です。

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