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『週プレ』復活シリーズ、JC『キン肉マン』58巻をおぎぬまXがレビュー!!
第57巻から続くキン肉マン対ネメシスの死闘!
正義と悪魔の超人連合軍(ドリームリーグ)と完璧(パーフェクト)超人の抗争を締めくくる決戦は、ついに後半戦へと突入します。1巻丸ごとキン肉マンとネメシスの激闘を観戦できる第58巻の魅力を深掘りしていきましょう!
レビュー投稿者名 おぎぬまX
★★★★★ 星5つ中の5
まず冒頭は、前巻のラストの通り、ネメシスがキン肉マンに「ペルフェクシオンバスター」(変形のキン肉バスター)を仕掛けたシーンから始まります。
『キン肉マン』の代名詞とも呼べる必殺技「キン肉バスター」は、本人を含めこれまで数多くの超人が改良を重ねてきましたが、今回も相手の両腕をクラッチしてより脱出困難となった、えげつないニューバスターが誕生しましたね...!
さすがのキン肉マンも初見で対策できるわけもなく、そのままマットに落下。白目をむいて、完全にダウン状態に。
ダウンカウントが響いてもピクリとも動かないキン肉マン。まさかこのまま決着か?...と焦りましたが、何を思ったのかネメシスがダウンカウント7の途中でキン肉マンの頭をつかみ、無理やり立たせました。皆が唖然とする中、ネメシスは「ダウンカウントでの敗北など許すものか」「決着は死以外ありえない」と主張しながら、キン肉マンの意識が戻るまでビンタの嵐を見舞います...!
白目のキン肉マンを強引に起こすネメシス。キン肉マンのマスクのトサカ部分がつかめることにもビックリ...!
キン肉マンは、尊敬する祖父の弟であるネメシスの主張がウソや詭弁(きべん)ではないことを確信し、畏れ慄(おのの)きます。いや...本当にここのネメシスの迫力が凄いんですよ! 思えば、彼よりも立場的には格上とされる完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)たちは、下界の超人を「下等」と見下しながらも、心の奥底では相手を認めたがっていたり、自分たちの在り方に疑問を抱いていたりする者がいました。
しかしながら、このネメシスは「キン肉族を滅ぼす」という絶対的な殺意で満ちています。ネメシスは、キン肉マンに対して自分を乗り越えてほしいというような「試練」を課しているのではなく、本気でキン肉族の現大王を殺そうとしているのです。
そんな骨肉の争いの最中、意外な人物がリングに姿を現しました。キン肉マンの父・キン肉真弓です。その隣には委員長ことハラボテも控えております。実はこのふたりは幼い頃に、ネメシスになる前のキン肉サダハルと会っており、その後の人生に影響を与えるような教えを受けていたと明かします。
真弓と委員長の登場で試合は一時中断。彼らの口から語られる、キン肉サダハルの衝撃の過去とは...!!
ここでささやかな回想シーンが挟まれます。幼少時代の真弓が偶然、迷い込んだ地下牢で出会ったサダハルは、幽閉された身ながらも非常に穏やかな表情をしていました。
真弓は父・タツノリから、サダハルという優しい叔父がいることを聞かされていましたが、なぜそのような人物が地下牢に幽閉されなくてはならないのか理解できません。そんな真弓に、サダハルは今のキン肉王家の危うさについてやさしく語りかけます。兄のタツノリが大好きだからこそ、兄のために幽閉されている、と。
タツノリとサダハルは、生まれる時代さえ違えば、どちらも後世に語り継がれるような名君となったでしょう。ですが、〝人格〟と〝戦闘能力〟という異なるベクトルで才を持つ兄弟が同じ時代に存在してしまうと、どちらかを王にするかで派閥が生まれ、やがて争いに発展します。サダハルはそれを懸念して、自ら幽閉されることを選びました。
すべてはキン肉族の未来のため...たとえ自分が誰の記憶からも忘れ去られたとしても本望。その一心で、長年暗い地下牢に閉じこもっていたサダハルでしたが、彼はなぜ、のちにキン肉族を見限ることになったのでしょうか? その理由は、この直後の第183話で語られます。
温和な表情を浮かべていたサダハルとはもはや別人、怨嗟(おんさ)の鬼と化したネメシス...!
第183話「悲しき肉のカーテン!!の巻」では、サブタイトルにもある通り、キン肉族伝統の防御法・肉のカーテンにまつわる凄惨な歴史が語られます。前シリーズからお馴染みのこの技が初登場したのは、なんと第9巻、第21回超人オリンピック決勝のウォーズマン戦です。この時点で真弓から、肉のカーテンの由来も語られています。
囚われの身となったタツノリの偉大な伝説! 3日間、肉のカーテンで己の身を守り続けたという...!(JC9巻より)
あの時、真弓がスグルに語ったのは庶民に伝えるために脚色した、いわばおとぎ話のようなもので、実際にはキン肉族の闇ともいえるおぞましい事実が隠されていたのです。
栄華を誇っていたキン肉族には内外に敵が多く、一族の歪(ゆが)みを正そうとした大王・タツノリは常に刺客に狙われていました。回想シーンでも、タツノリが食事をしている最中に、天井裏から暗殺者が襲撃してくる瞬間が描かれるのですが...い、いくらなんでも暗殺方法がダイナミックすぎませんか!? なぜか何ひとつ凶器とか持たずに手ぶらですし、絶対に暗殺向いてないですよ、この超人!! タツノリはタツノリで、まるで食卓に迷いこんだ小バエを叩き潰すような軽い感じで、備え付きのヤリで暗殺者をブスリ...。かつてのキン肉族がいかに修羅の時代だったか実感できるシーンです。
天井をぶち破って襲いかかる刺客に対し、備えつけのヤリで応戦するタツノリ! このあと、平然と食事が再開されるのだろうか
そして事件は、タツノリの大王就任20年目の祝賀パーティーで起きます。華々しい祝いの席に敵勢力が襲撃し、タツノリが暴漢たちに囚われてしまったのです。真弓は幼ながら、当時の側近たちの対応に違和感を覚えており、今にして思えばあれはクーデターに近いものだったと推測しました。タツノリは増援のないまま、暴漢たちからの拷問を3日3晩、肉のカーテンで凌ぎ、なんとか生還を果たします。
ですが、この事件がネメシスの憎悪の根源となります。タツノリが囚われの身になっているのにも拘らず、三日間も救援部隊が派遣されなかった原因は、あわよくばタツノリが亡き者になることを望んでいたキン肉族の重鎮たちによる策略だったからです。その光景を天界から覗いていたサダハルは絶望します。これまでキン肉族の繁栄のために尽くしてきた兄の一番の敵は、キン肉族そのものだったからです。
ネメシスはキン肉族の闇を語り終えると、キン肉マンと真弓を完璧超人軍に誘います。どんな聖人君子が国を治めても、やがて凡夫が利権をむさぼる。ならば、腐りきった一族など捨て、超人閻魔の管理する世界でその力を役立てろ、と囁(ささや)きます。しかし、ネメシスの提案にキン肉マンは「断る!」と一蹴しました。
ネメシスの生い立ちに同情しながらも、「結局は人を信じることを諦めただけだ」と言ってのけるキン肉マンが最高にカッコイイ...! 彼は、今なお過去の恨みに囚われ続けるサダハルではなく、一族と民を信じ続けたタツノリの想いを汲むことにしたのです。こうして両者は決裂、試合再開です!
試合前はあれほど怯え、ヘタレていたキン肉マンの見事な啖呵(たんか)! 不安そうに見つめていたミートも思わず涙ぐむ
序盤ではクラシカルな闘いをしていましたが、ここからは打って変わって激しい攻防が繰り広げられます。壮絶な殴り合いの末、ネメシスが大技「ネメシスドライバー」をしかけますが、キン肉マンは「火事場の大逆転」で体勢を反転させて「キン肉ドライバー」で返します。一度は敗れかけたキン肉マンが、とうとうネメシスに痛恨の一撃を与えることに成功しました! ここで、ニクいのが試合を観戦している悪魔将軍の一言。過去の名勝負を思い出し、胸が熱くなります。 ![]()
キン肉ドライバーは「黄金のマスク編」でバッファローマンが悪魔将軍を抑えている間に開発した必殺技だけに、ちょっと気まずいご様子...。サンシャインのニヤリ顔もイイ
大ダメージを負ってダウンするネメシス。すると今度は真弓が、キン肉族に戻ってきてくれないかとネメシスを誘致します。キン肉マン、ハラボテも説得に加わり、怨嗟の鬼と化したネメシスの心がわずかに揺らぎかけましたが...ここで完璧超人軍の助っ人が登場!試合を陰で見守っていたピークア・ブーとネプチューンマンが、孤軍奮闘のネメシスにエールを送ります。
ふたりのエールを受けてか、ネメシスは完璧超人の再興を高らかに宣言しました。キン肉マン陣営から見れば、陥落寸前の対戦相手が立ち上がり、再び闘志を漲(たぎ)らせる絶望的な展開でしょう。ですが...読者からすれば、これほど熱い展開はありません!
ネメシスの過去や主張を知るうちに心を動かされたのでしょうか。ロビンマスク、ラーメンマンを打ち破り、あれだけ恐ろしい存在だったネメシスのことを、気づけば心のどこかで応援してしまっている自分がいるのです!
ピークア・ブー、そしてネプチューンマンからのエールを受けて、豪快に笑うネメシス。新生完璧超人軍、旗揚げの時...
決着が近づいてまいりました。キン肉マンが往年の名連携「風林火山」をしかけますが、ネメシスはピークア・ブーの助言で連携の間に生じるわずかな隙をついて脱出。さらにそこからロビンマスクを沈めた必殺技「バトルシップ・シンク」でトドメを狙います。ですが、キン肉マンも火事場のクソ力を発揮し、なんとか直撃を避けました。歴史的名勝負に魅せられた観客たちは、もはや両陣営の思想など関係なく、キン肉マンとネメシスをそれぞれ応援するようになりました。
大観衆が見つめるなか、両者に残された必殺技はただひとつ。そう、マッスル・スパークです。はじめに伝家の宝刀を抜いたのは、キン肉マンでした。しかし、ネメシスは兄・タツノリの言葉を思い起こしながら、執念で互いの体勢を入れ替えることに成功。さらに、ここでネメシスは驚くべき行動に出ます。なんとマッスル・スパークを返す直前に、より難度の高い「アロガント・スパーク」に体勢を切り替えたのです!
アロガント・スパークをかけた側のネメシス。マスクやヨロイまでもが半壊状態になるほどの甚大なダメージを負う
技の掛け手が被るダメージを無視して、アロガント・スパークを決行したネメシス。キン肉マンを再び失神KOに追い込みますが、ネメシス自身も、全身にヒビが入るほどのダメージを負ってしまいました。
ネメシスは試合に王手をかけながらも、「正義超人の思想を体現したマッスル・スパークを、完璧超人の自分が放ってはならない」と思い留まり、土壇場で慣れないアロガント・スパークを放ち、自滅してしまったのです。
一方、ボロボロになりながらも立ち上がったキン肉マンに、真弓がマッスル・スパークで決着をつけるように促します。キン肉族3代に渡る因縁に決着をつけるなら、この技しかありません。キン肉マンは、もはや満身創痍のネメシスに引導を渡すため、マッスル・スパークを放つところで...次巻へ!
ついに難敵・ネメシスにマッスル・スパークを決めたキン肉マン。キン肉王家3代に渡る長かった戦いよ、さらば!
続く第59巻では、キン肉マンとネメシスの両者の闘いの決着の行方や、キン肉族にまつわる秘密などが明かされていきます...! さらについに"あのお方"も登場...!? 次回も全力で熱く語りますので、楽しみにお待ちください!
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この巻で注目したいのは、やはりキン肉真弓の少年時代でしょう。ゆでたまご先生の描く子どもって、本当に可愛いですよね! 先生は今巻の巻末にある「ゆで問答」でも「真弓や委員長の若かりし頃を描いてみたい」とおっしゃっていて、一読者としても非常に興味深いです。現役バリバリの真弓や委員長のエピソードや、彼らの時代に活躍した超人たちとの試合を...読切でもいいので、何卒お描きくださることを心待ちにしております〜!
●おぎぬまX(OGINUMA X)
1988年生まれ、東京都町田市出身。漫画家、小説家。2019年第91回赤塚賞にて同賞29年ぶりとなる最高賞「入選」を獲得。21年『ジャンプSQ.』2月号より『謎尾解美の爆裂推理!!』を連載。小説家としての顔も持ち、『地下芸人』(集英社)が好評発売中。『キン肉マン』に関しては超人募集への応募超人が採用(JC67巻収録第263話)された経験も持つ筋金入りのファン。『笑うネメシス―貴方だけの復讐―』(原作担当)全4巻が発売中。そして、ミステリ小説シリーズ『キン肉マン 四次元殺法殺人事件』、『キン肉マン 悪魔超人熱海旅行殺人事件』続く、第3弾『キン肉マン 禁断の超人タッグ殺人事件』が7月3日(金)に発売
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