猛暑は飲料メーカーに追い風が吹くはず! じゃあどこを選んだらいい?【坂本慎太郎の街歩き投資ラボ】

構成/西田哲郎 撮影/榊 智朗

1975年、大阪で設立。傘下にはダイドードリンコのほか、大同薬品工業、ゼリー大手のたらみなど。自社製品の株主優待もあり1975年、大阪で設立。傘下にはダイドードリンコのほか、大同薬品工業、ゼリー大手のたらみなど。自社製品の株主優待もあり

『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!

今週の研究対象 
猛暑(ダイドーグループHD)

水分補給の増える夏、飲料メーカーには追い風が吹くはずだ! 今回は飲料の売上比率が高い、ダイドードリンコに注目。自販機のイメージはあるけど、スーパーで見ないのはなぜ?

助手 いやあ、暑いですね。さっき自販機でお茶を買おうとしたら160円、スポーツドリンクは170円でした。この値段だと、暑いからといって気軽に買うのは抵抗があります。スーパーで買えば安いし。

坂本 投資家として、その肌感覚は大事にしたいね。暑ければ飲料の需要は増えますが、自販機の飲み物は値上げで高くなって、消費者も手を出しづらくなっているんです。実際、自販機の売り上げはスーパーなどの店舗経由に比べて苦戦しています。

助手 夏は稼ぎ時だろうに、飲料会社にはキツいですね。

坂本 その影響を強く受けているのがダイドーグループHDです。国内飲料の売り上げの約9割が自販機で、ほかの飲料メーカーより自販機への依存度が高いんです。

助手 9割! なんでそんなに自販機偏重なんですか? 

坂本 店舗だと他社と棚の取り合いになって、いい場所に置いてもらうのは簡単ではありません。一方、自前の自販機なら棚争いは起きないし、設置場所に合わせてコーヒーやお茶、水など、売れ筋商品の入れ替えもスムーズにできます。だから、意図的に自販機に注力したわけ。

助手 でも、その作戦も今やピンチだと。

坂本 そう。自販機は置くだけではなく、補充や点検のコストがかかるし、電気代や物流費もある。これをペイするためには、飲み物の値段を下げるのは難しいんです。だから今は値段が高くても売れる場所に絞って自販機を設置したり、補充や点検を効率化しないと利益は出ません。そのためにアサヒ飲料と連携して自販機網をまとめたりはしていますが、状況はなかなか厳しいみたいですね。前期は国内飲料が赤字になり、約298億円の減損も出ました。

助手 昔ながらの自販機ビジネスはしんどくなってるんですね。

坂本 ただ、ダイドーも指をくわえて見ているわけではありません。国内飲料の立て直しを図りつつ、新たな成長の場をトルコやポーランドなどの海外に見つけています。

助手 海外に進出していたとは。現状、どれくらいの規模なんですか?

坂本 会社計画では今期、海外飲料の利益は国内飲料をざっくり1.5倍上回る見通しだから、すでに会社の屋台骨になってるよ。

助手 なるほど。トルコでは何を強みにしているんですか?

坂本 自販機はやらずに、炭酸飲料やミネラルウオーターを売っています。ポイントは、M&Aで現地企業を買って入ったことです。最初から現地で生まれ育ったブランドを持っているので、海外大手だけの市場に後から丸腰で入るより戦いやすい。

助手 トルコって政治が不安定でインフレがすごいイメージがあります。安定的に稼げる国なんですか?

坂本 確かにそこは懸念点です。値上げで売り上げは伸びても、通貨安や高インフレで利益はぶれやすいからね。ただ、2024年に参入したポーランドでは自社ブランドに加え、小売店のPB飲料なども作っています。ポーランドが欧州の製造拠点として育てば、トルコ一本足より安定するはずです。

助手 なんだか期待できそうです。

坂本 国内飲料が再建中だから、PERの数字だけ見ると安くはありません。ただ、国内自販機を利益が出る形に直し、トルコとポーランドで利益を伸ばせるなら評価できます。変化を確認しながら、少しずつ投資するのがいいんじゃないかな。

今週の実験結果
国内事業は再建中。定期的に確認しながら長期投資するのがいいでしょう

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  • 坂本慎太郎

    坂本慎太郎

    さかもと・しんたろう

    こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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