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富士ケ嶺のオフロードコースで別格の走破性能を見せつけたジムニーノマド。悪路を難なく走り抜けた
昨年、シリーズ初の5ドア化で実用性を手にし、爆売れとなったスズキの新型ジムニーノマド。今年7月1日に発売となった改良モデルを、静岡県富士宮市で開催された報道陣向け試乗会でチェック! 公道から悪路まで走り込み、その走破性を検証。そこでわかったこととは!?
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ツチノコと同じくらい、幻と化したクルマがある。
2025年1月30日、スズキはジムニーノマドを発表した。国内ジムニーシリーズ初となる5ドアモデルということで大きな注目を集めたが、その熱狂はわずか4日後に別の意味で話題となる。2月3日、スズキは受注の一時停止を発表した。理由は想定を大きく上回る約5万台の注文が殺到したからだ。
正直に言えば、「買えない新車」は珍しくない。しかし、「試乗すら難しい新車」になるとは誰も予想していなかった。スズキの販売店関係者もこう語る。
「売れるとは思っていましたが、まさか5ドアの需要がここまであるとは......完全に想定外でしたね」
そんな幻の一台の存在を確かめるべく、週プレ自動車班は静岡県富士宮市で開催された報道陣向け試乗会へ突撃。長らくベールに包まれていたジムニーノマドの実力を検証した。
オフロード走行未経験の週プレ自動車班が運転しても、不安なく走れてしまう懐の深さは大きな魅力
まず向かったのは富士ケ嶺オフロードコース。5ドアになったと聞けば、「便利になった代わりにジムニーらしさは薄れたのではないか」と考える人もいるだろう。しかし、その心配は杞憂だった。
急な上り坂へ進入しても不思議なほど不安がない。アクセルを踏み込まなくても、ノマドは当然のように力強く前へ進んでいく。
週プレ自動車班が特に驚いたのは、悪路での別格の安定感と安心感。見た目は武骨な四駆だが、スズキに聞くと、その中身は長年磨き上げてきた四駆技術をギガ盛り状態で詰め込んでいるという。
悪路に慣れていないドライバーでも必要以上に緊張することなく走れる。それでいて、本格四駆ならではの操る楽しさもしっかり残されているのだから、爆発的な人気も納得である。しかも、武骨な外観から想像する以上に走りは洗練されていた。
スズキ ジムニーノマド 価格:292万6000円 悪路も舗装路もこなす二刀流。速さを求めるより、のんびり景色を楽しみながら走るのがよく似合う
ボディサイズは全長3890mm×全幅1645mm×全高1725mm。最小回転半径は5.7m。実にワイルドな外観
開発陣によれば、5ドア化に当たっては単純にボディを延長しただけではない。フレームや足回りを含め、見えない部分にも徹底的に手を加えたという。
つまりジムニーノマドはドアを2枚増やしたジムニーではない。「ジムニーの5ドア」という難題に真正面から向き合い、徹底的に造り込まれたモデルなのである。
富士ケ嶺を後にして一般道へ。今度の試乗車は5速MT。スポーツカーのように速さや刺激を味わうクルマではない。むしろ、知らない道へふらりと入り、気になった景色の前でクルマを止める。そんな付き合い方がよく似合う。気がつけば旅に出たくなっていた。ジムニーノマドとは、そういうクルマである。
乗り味も印象的だった。近年のSUVはスポーティさを重視するあまり、足回りを硬めに仕上げたモデルも少なくない。その点、ノマドは路面の凹凸を柔らかく受け止める。長時間の運転でも疲れにくく、肩肘張らず付き合える乗り味に仕上がっていた。
車体の傾きを把握しやすいよう、インパネは水平基調を採用。内装は男心をくすぐるギア感満載のデザイン
ボンネットの下には、1.5リットルエンジンを縦置きで搭載する。公道でも扱いやすく、走りに不満はない
さらに安全装備も強化された。衝突被害軽減ブレーキや高速道路で前のクルマとの距離を自動で保ってくれる機能など、現代のユーザーが求める装備も備えている。
オンロードとオフロード、その両方を走った週プレ自動車班は確信した。後席は広くなった。荷室も拡大した。それでもジムニーらしさは少しも失われていない。便利さとガチ性能。本来なら両立が難しそうな要素をスズキは見事にまとめ上げている。
価格は292万6000円。MTもATも同価格。この価格設定も大きな魅力だろう。そこで気になるのが今後の受注状況。普通に考えれば爆売れ必至のモデルである。再び注文が集中してもなんら不思議ではない。今回の取材でスズキ関係者は、「現在できる限りの対応を進めている」と説明していた。
ただし、ノマドはインド生産車を輸入するモデル。想定を大きく超える注文に対応するため生産体制の強化が進められているものの、その勢いに供給が追いついていないのが現状である。
発売発表からわずか4日で幻カーとなったジムニーノマド。しかし、実際に走らせればわかる。このクルマが支持された理由は希少性だけではない。便利さを追求した現代のSUVとは違う、武骨さや不便さを魅力に変えてしまう力が、このクルマにはある。
待たされても手に入れたい理由がよくわかった。