
坂本慎太郎
さかもと・しんたろう
坂本慎太郎の記事一覧
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
公式X【@bucomi】
1972年に映画情報などを掲載した『月刊ぴあ』を創刊し、74年に会社設立。26年3月期は万博特需を受けて過去最高益を更新した
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
「推し活」という言葉が浸透し、関連市場の規模を総計するとなんと4兆円超というデータもある。この超巨大マーケットで存在感のある上場企業はある?
助手 所長、あのビル、店もないのに長蛇の列ができてますよ。看板を見ると......地下アイドルのイベント会場っぽいですね。こんなに集客できるとは驚きです。
坂本 自分も今、地下アイドルにハマってるんだけど、中の熱量はすさまじいよ。ライブのチケットはもちろん、物販や特典会、配信の投げ銭でも儲かるから、関連ビジネスもかなりアツい。
助手 そんなに景気がいいんですか。
坂本 最近の推し活ブームで、推せる対象を探す人が増えているからね。地下アイドルならチェキを撮れば少し話せるし、通えば名前を覚えてもらえる。距離の近さが「推したい」という気持ちにつながって、熱心なファンになる人が多いのよ。
助手 へぇー。推し活の恩恵を受ける上場企業があれば面白そうですね。
坂本 地下アイドルとはちょっと離れるけど、「ぴあ」なんていいんじゃないかな。「チケットぴあ」の会社です。今は音楽・演劇・スポーツ・映画・レジャーのチケットをオンライン販売するのが主力事業です。
助手 でも、チケットの販売手数料で稼ぐビジネスですよね。競合もいそうだし、儲かる感じはしないなぁ。
坂本 ぴあはファンと興行主催者の両方に大きな基盤を持っているから、薄利なチケット販売店じゃないよ。登録会員は約2200万人、取引先の興行主催者などは約4万5000社、さらに年間約16万公演、総発券枚数約8500万枚を扱う日本最大級の販売網なんです。主催者が集まるからチケットが増え、チケットが増えるからファンも集まる。この循環が、ぴあをエンタメ市場のインフラにしていると言っていいと思います。
助手 そのインフラが、推し活でさらに使われるわけですか?
坂本 そう。推し活は、ひとつのコンテンツから「現場に行く理由」が何度も生まれる消費です。例えばアニメなら、放送を見て終わりではなく、声優イベント、原画展、コラボカフェ、舞台化された2.5次元作品へと広がる。推しが別の形で動くたびに、ファンは会場へ足を運びます。最近はその対象がK-POPやスポーツ観戦まで広がっています。そして、その入り口になるチケットを幅広く押さえているのがぴあだから強いんです。
助手 ただ、さっきの地下アイドルのケースだと、グッズとかを売るから儲かるわけですよね。そういう消費は取り切れなくないですか?
坂本 そこはそのとおりで、グッズやチェキの売り上げをぴあが直接取れるわけじゃない。ただ、もともと自社で雑誌を発行していたノウハウを生かして関連ムックを刊行したり、イベントの企画・主催や会場運営まで手がけています。物販を丸取りできるポジションではないけど、推し活の熱量を周辺サービスで受け止めて儲けることはできる会社なんです。
助手 なるほど、単なるチケット販売店ではなく、推し活から多角的に利益を取れる会社ってことですね。実際、業績は伸びてるんですか?
坂本 業績は想定以上です。もともと中期計画では2026年3月期の営業利益は28億円が目標。それが実績ベースで43億円に上振れました。大阪・関西万博など大型イベントで一時的に利益がかさ増しされた面もあるけど、独自企画のイベントも好調で、稼ぐ力が強まってきたと見ていい。
助手 じゃあ投資できそうですね。
坂本 ええ。現状で株価に割高感もないし、推し活時代のエンタメインフラ株として長期で狙えると思うよ。
今週の実験結果
チケット販売を軸に、エンタメ界のインフラ企業として今後も成長しそうです!