世界中で重大事が起きるたびにネットを飛び交う「その裏には巧妙に隠された驚くべき事実が…」「実は私たちの知らない巨大な力が…」といった陰謀論。政治・経済を陰で操り、人類を支配するのは秘密結社なのか? それとも宇宙人なのか? 一見、荒唐無稽なストーリーが次々と飛び出す背景を実例とともに検証するシリーズ第6回!

***

アベノミクスで潤ったのは大企業だけ。庶民の暮らしは苦しくなるばかりだ。なぜそうなるのか? その疑問に“トカゲ宇宙人の陰謀論”が答える!

安倍晋三首相は「レプティリアン」だ! そんな驚くべき陰謀論が広まっている。

レプティリアンとは、太古に地球にやって来た“爬虫(はちゅう)類型宇宙人”のこと。彼らは、地下に住んで異次元空間から人間界に干渉しつつ、遺伝子操作で人類とのハイブリッドをつくり、貴族階級となったハイブリッド・レプティリアンを使って人類を支配してきた。そのための組織がイルミナティであり、その下部組織がフリーメイソンである。

従って、世界の支配者層の多くはレプティリアンだ。だが、選挙で選ばれた政治家はトカゲ宇宙人の血を引くとは限らない。その場合、レプティリアンは異次元から人間に憑依する。安倍首相も、そのようにして操られているのだ。

「放射能汚染水は完全にコントロールされている」などとウソばかりついている安倍首相だが、二枚舌を使いこなすのは爬虫類人の特技のひとつ。しかも2013年、安倍首相はケネディ米国大使と会ったとき、フリーメイソン式の握手をした。自らトカゲ宇宙人の配下にあることを示したのである。

人類は彼らの奴隷だから、アベノミクスをはじめ安倍政権の打ち出す政策は、ことごとく国民の生き血を絞るものばかり。絞り上げて、人類支配の道具である国際金融資本に貢ぐのだ。原発推進、TPP参加も、まさにそのため。金融緩和による円安誘導も、一部の大企業や富裕層だけを潤わせ、燃料費や食料品など生活に欠かせない輸入品の値上げを招いて庶民の暮らしを圧迫している。

日本国民はトカゲ宇宙人への生け贄に!?

消費増税をはじめ、さまざまな増税がされた一方で法人税は下げられ、労働者派遣法は改悪される。どれも格差を広げるための冷血な政策ばかりである。そして集団的自衛権行使容認の閣議決定など、戦争ができる国へと向かう動きも目立つ。

現閣僚の一部はレイシスト団体とも深い関係を持っている。人種差別による排他的な空気を広めようとするのは、そうした考えに染まった人間は操りやすいためだ。

レプティリアンは昔から人間支配にさまざまな宗教も利用してきた。安倍首相や閣僚の多くが、戦前の社会や国家神道の復権を目指す団体と親密だ。国家神道は国民を「聖戦」に駆り立てる力となったため、戦後は政治と切り離されたが、それらの団体は今も祭政一致の国家を目指している。

「日本を取り戻す」と宣言した安倍首相は、その勢力の中心にいる。これは、日本国民を国家主義一色に染め上げ、トカゲ宇宙人への生(い)け贄(にえ)にささげようとしているのである……。

【陰謀論研究の第一人者・田中聡氏による分析と解説】

いかにも荒唐無稽(こうとうむけい)ではありますが、レプティリアンという「お話」を抜きにすると、ここにあるのは安倍首相の政策や言動への疑問や疑惑です。

これをすべて“トカゲ宇宙人”の巻き添えにして無視すべきではありません。こんな「お話」でさえ、私たちが政治家の言動に目を向けるきっかけになるかもしれないからです。

●田中聡(たなか・さとし)1962年生まれ、富山県出身。怪しげなもの、奇妙なものを大マジメに論じ、分析することに定評のある文筆家。『怪物科学者の時代』(晶文社)、『妖怪と怨霊の日本史』(集英社新書)など著書多数。近年盛んになった陰謀論の核心に迫る近著『陰謀論の正体!』(幻冬舎新書)が好評発売中