【ナイツ塙宣之×里崎智也×五十嵐亮太の特別鼎談!】野球界&芸能界で成功する人、しない人の特徴とは?

構成/長谷川晶一 撮影/本田雄士

「成功する人、しない人」について語った(左から)里崎智也、ナイツ塙宣之、五十嵐亮太「成功する人、しない人」について語った(左から)里崎智也、ナイツ塙宣之、五十嵐亮太

昨年まで「週プレNEWS」で配信された、日本を代表するレジェンドプレイヤーの2人が野球からの学びをライフハックに翻訳し、「生き抜く知恵」を惜しげもなく大公開してきた連載「里崎智也×五十嵐亮太のライフハックベースボール!」。こちらをまとめた単行本『野球的幸福論』が2026年1月26日(月)に刊行されることを記念して、こちらのふたりと大の野球好きとしても知られるナイツ・塙宣之氏との特別鼎談が実現!  それぞれの業界での「成功する人、しない人」に関する考え方に迫ります!

【センスだけではやっていけない世界】

――さて、週プレNEWSでお届けしてきた「里崎智也×五十嵐亮太のライフハックベースボール!」ですが、今回は特別鼎談ということで、野球大好き芸人、ナイツの塙宣之さんをゲストに迎えて、野球から学ぶ生きる知恵、成功と失敗の法則を語り合っていただきたいと思います。

 どーも、ナイツの塙です。今日は里崎さん、五十嵐さんとどんな話をするのか、よくわからないままやってきました(笑)。これまで、おふたりとはテレビでは共演しているけど、じっくり話をするのは初めてなので楽しみです。この連載も、過去の記事をすべて読んできましたよ。お互いに好き放題、言ってますね。

五十嵐 そもそも、好き勝手なことを言う連載だし、テーマはあってないようなものだから、その点は気にしないでください(笑)。僕も、塙さんとじっくり話したいなと思っていたので楽しみです。塙さんは大のジャイアンツファンであると同時に、大の野球ファンなので、いろいろな話を聞かせてください。

――今回は、プロ野球界に生きる里崎さんと五十嵐さん、そして芸能界、芸人の世界で生きる塙さんによる「成功する人、しない人」について語り合っていただきたいと思います。

 芸人でいえば、まずは「絶対的に面白いということ」が、成功の第一条件であることは間違いない。プロ野球界でいえば、大谷翔平の例を出すまでもなく、「圧倒的な実力があること」はマストですよね。身もふたもない言い方になるけど。

五十嵐 実力があるのは大前提として、実力があるのに成功しない人もいますよね。力があるのに成功できない理由はなんなのか? どんな要素が成功と失敗を分けるのか? 芸人の世界ではどうなんですか?

 芸人の世界に限らず、売れる人には売れるなりの理由があると思うんです。例えばSNSを通じて毎日ギャグを披露するとか、きちんとネタ作りに励むとか。それなりの努力をしていないと、センスだけではやっていけない世界だから。

里崎 プロ野球の世界もセンスだけではやっていけないし、成功した選手はそれなりにやるべきことをやっているよね。ただ、プロ野球の場合はドラフト会議という、この世界に入るための選抜システムがあったり、成績を残せなければ強制的に自由契約となったり、芸人さんの世界とは違う点もいくつかあるよね。

 それは、僕も思いますね。腹が立つのが、ほとんどバイトだけで生活しているくせに、「一応、芸人をやらせていただいています」なんて、いっぱしの芸人気取りのヤツが多すぎること。バイトでしか稼いでいないのに「プロの芸人」なんて名乗るなと思いますよ。とにかく「自称芸人」が多すぎるけど、プロ野球選手は「自称」ではなく、みんなドラフト会議を経ているわけだから、その点はちょっと違うかもしれないですね。

五十嵐 確かに、ほとんどの選手がドラフトで指名されてプロの世界に入ってくるけど、それだけで満足してしまって、ろくに練習もしていないのに「オレはプロ野球選手だ」とふんぞり返って失敗していく人もたくさん見てきましたよ。

【成功への近道は「冷静な自己分析」から】

里崎 さっきも言ったけど、プロ野球界には成績が残せなければ強制的にクビになるシステムがある。でも、芸人さんにはそれがないから、いつまでも続けられるよね。ただ、僕に言わせれば「芸人の世界のほうが1億倍は難しい」と思いますよ。

 いくらなんでも、そんなことはないですよ。プロの世界に入れるのは、全国の高校球児のごく一部。選ばれたエリートだけが入ることのできる世界ですよ。でも、芸人はそうじゃない。「クラスのお調子者」程度のヤツでも、「自称芸人」にはなれるものだから。

里崎 いやいや。だってプロ野球の世界では、やるべき練習、取り組むべきことがだいたい決まっているけど、お笑いの世界は何がウケるのか、何が面白いのかなんて答えがないし、とてつもなく難しいじゃないですか。僕らの場合は、「とにかく数字を残せばいい。結果を出せばいい」と、すごくシンプルだから。

五十嵐 でも、それを言ったら、芸人さんだって「とにかく笑わせればいい、ただ面白いことをやればいい」っていうことになるんじゃないですか?

里崎 でも、野球には「正解」があると思うんだよね。一応、基本やセオリーはあるし、練習方法やトレーニング方法も確立されているわけだから。数値化できないお笑いのほうが、やっぱり1億倍は難しいと思うけどね。

五十嵐 それが「正解」なのかどうかはわからないけど、プロ野球の世界でも芸人さんの世界でも、きちんと自分の能力や立ち位置を見極めることができる人は成功しやすいと思うな。周りを見渡した時に「自分の武器は何なのか?」を自問自答して、見つけられる人はやっぱり強いと思いますね。

 僕らナイツも、そうやって売れていったんですよ。芸人になって4、5年目にオリエンタルラジオやキングコングがバーンって人気が出た。でも、僕らナイツには、彼らのような華やかさがない。だったら、どうすればいいのか? その時に頭に浮かんだのが「本格的な場所で修行している、ということが売りになるんじゃないか?」ということ。それで、事務所社長の勧めもあって、浅草の演芸場を舞台に活動することを決めたんです。

里崎 それも、ある種の戦略だよね。僕もプロに入った時はどんなボールでも打ちたかった。インコースもアウトコースも、高めも低めも、ストレートも変化球も、とにかく何でも打ちたかった。アマチュア時代はそれでも打てたけど、プロではさっぱりだった。だって、プロ4年目の僕の打率、.043ですよ。

五十嵐 マジですか? そこでモデルチェンジをしたんですか?

里崎 そう。その時に「このままじゃアカン」と実感したよね。それで自己分析してみると、僕の場合はタイミングを合わせるのがヘタだということに気がついた。だから、もう決め打ちをすることにした。狙い球を絞って確実に仕留める。狙い球が外れたら、もうごめんなさい。そうやって割り切った結果、次の年には打率が.319まで向上した。それが大きな転機になったよね。

【結果が出ないのなら、スタイルを変えるしかない】

五十嵐 今、サトさんが言ったように、自分の能力をきちんと分析して、「何が強みなのか?」「何が足りないのか?」を理解することは、本当に大事だと思いますね。ある程度、プロの世界を経験してから、ピッチャーならば「自分にはどんな球種が必要なのか?」とか、「変化球のキレはどれぐらいにすればいいのか?」とか、試行錯誤を繰り返して小さな成功体験を積み重ねながら、自分の理想とするビジョンに近づいていく。成功する人は、みんなその道のりを歩んでいると思いますね。

 僕らもまったく仕事がない頃、事務所の会議室でいつも自分たちの漫才のビデオを見ていましたね。そうすると、ウケるところとウケないところの違いに気づくんです。

五十嵐 何か「ウケる法則」のようなものが見つかるんですか?

 「法則」というよりは、「スタイル」を見つける感覚でしたね。相方の土屋(伸之)が大きく振りかぶってツッコむ時はだいたいスベるんです。僕のこの見た目、たたずまい、話し方だと、大ボケよりも小ボケのほうがよくウケるし、土屋も大声でツッコむよりも、ポロっと訂正する感じのツッコミのほうがウケる。僕が淡々と小ボケを積み重ねていって、土屋も淡々とツッコんでいく。「それが僕らのスタイルなんだ」って気づきましたね。野球で例えるなら、ピッチングフォームをガラッと変えたのが、デビュー7年目ぐらいのことでした。

里崎 それまでのスタイルを変えていくことに抵抗がある人もいるけど、ずっとそのスタイルで結果が出ないのなら、変えていくしかない。でも、それができる人はなかなか少ない。だから、どんどんスタイルを変えていくことができる人は成功の確率も高くなるんじゃないかな?

五十嵐 僕もいろいろスタイルを模索していくなかで、新たな壁にぶつかったり、迷ったりしながら現役生活を続けていましたね。それがあったから、アメリカでプレーすることを選んだし、ナックルカーブという新しい変化球を覚えたし、いろいろ挑戦することもできた。こうした経験のおかげで、結果的に現役生活を長く続けることができましたね。

――さぁ、話も盛り上がってきましたが、そろそろお時間となりました。明日配信の次回は、少しエンタメに寄った話題をお願いできたらと思います。引き続き、よろしくお願いします。

里崎五十嵐 了解です。では、次回もよろしくお願いします!

●「週プレNEWS」にて配信していた人気連載の単行本化!

単行本版のナイツ・塙宣之氏との鼎談では、「自分を変える勇気を持つことの大切さ」「令和時代の若者とのつき合い方」というテーマも収録されていますのでお見逃しなく!

『里崎智也×五十嵐亮太 野球的幸福論』

【発売日】2026年1月26日
【価格】1980円(税込)

書籍の詳細、購入はこちら>>

●1月26日には書籍発売記念トークイベントも開催!

ふたりのトークをアーカイブ配信でご覧になりたい方はこちら>>
(配信期間:2026年1月27日15時00分~2月10日23時59分)

  • 塙 宣之

    塙 宣之

    はなわ・のぶゆき

    お笑い芸人。1978年3月27日生まれ、千葉県出身。マセキ芸能社所属。中学時代に見たダウンタウンの漫才に衝撃を受け、芸人を志す。大学卒業後、2000年に土屋伸之と漫才コンビ・ナイツを結成。2008年に『M-1グランプリ2008』で決勝に進出し、第3位となる。THE MANZAI2011で準優勝。『M-1グランプリ2018』から審査員を務める。2023年、漫才協会の会長に就任した。主な著書は『言い訳 -関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』(集英社新書)、『極私的プロ野球偏愛論 -野球と漫才のしあわせな関係』(ベースボール・マガジン社)、『劇場舎人 : ずっと売れたい漫才師』(KADOKAWA)など。

  • 里崎智也

    里崎智也

    さとざき・ともや

    1976年5月20日生まれ、徳島県出身。鳴門工(現鳴門渦潮)、帝京大を経て1998年のドラフト2位でロッテに入団。正捕手として2005年のリーグ優勝と日本一、2010年の日本一に導いた。日本代表としても、2006年WBCの優勝に貢献し、2008年の北京五輪に出場。2014年に現役を引退したあとは解説者のほか、YouTubeチャンネルなど幅広く活躍している。
    公式YouTubeチャンネル『Satozaki Channel』 

  • 五十嵐亮太

    五十嵐亮太

    いがらし・りょうた

    1979年5月28日生まれ、北海道出身。1997年ドラフト2位でヤクルトに入団し、2004年には当時の日本人最速タイ記録となる158キロもマークするなど、リリーフとして活躍。その後、ニューヨーク・メッツなどMLBでもプレーし、帰国後はソフトバンクに入団。最後は古巣・ヤクルトで日米通算900試合登板を達成し、2020年シーズンをもって引退した。現在はスポーツコメンテーターや解説として活躍している。

  • 長谷川晶一

    長谷川晶一

    はせがわ・しょういち

    1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務を経て2003年にノンフィクションライターとなり、主に野球を中心に活動を続ける。05年よりプロ野球12球団すべてのファンクラブに入会し続ける、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」。主な著書に、『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間 完全版』(双葉文庫)、『基本は、真っ直ぐ──石川雅規42歳の肖像』(ベースボール・マガジン社)、『いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)、『中野ブロードウェイ物語』(亜紀書房)、『名将前夜 生涯一監督・野村克也の原点』(KADOKAWA)ほか多数。近刊は『大阪偕星学園キムチ部 素人高校生が漬物で全国制覇した成長の記録』(KADOKAWA)。日本文藝家協会会員。

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