『グラビアの読みかたーWPBカメラマンインタビューズー』Takeo Dec. 編 第二話「思い出を知る」 佐々木希の笑顔に魅せられて

取材・文/とり


あまり表に出ることのないカメラマンに焦点を当て、そのルーツ、印象的な仕事、熱き想いを徹底追究していく本コラム。"カメラマン側から見た視点"が語られることで、グラビアの新たな魅力に迫る。週プレに縁の深い人物が月一ゲストとして登場し、全4回にわたってお送りする。

第5回目のゲストは、浅倉唯のデビューグラビア『かわいいが渋滞中!!』のほか、武田玲奈1st写真集『short』や川崎あや引退写真集『ジャパニーズ グラビア』など、ヤングジャンプでの撮り下ろしも数多く務めるTakeo Dec.氏。笑顔溢れる"明るいグラビア"にこだわる理由や、各作品の思い出を語ってもらった。

※本記事は2022年1月14日に「週プレ プラス!」で配信された記事のアーカイブです。

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*  *  *

――独立後、グラビアに方向が定まってからはどのような活動を?

Takeo グラビアを撮るにしても、主に広告やファッション業界で活躍する師匠(写真家・ホンマタカシ)を意識した撮り方をしていたので、出版社に営業に行っても、なかなか仕事が決まらず......。アシスタント時代の知り合いから取材を中心に仕事をもらいつつ、作品撮りではひたすら女の子を撮り続けてって感じでしたね。

ちなみに、最初に「Takeo Dec.」とクレジットが載ったのは、雑誌『H(エイチ)』(ロッキング・オン)でした。木村伊兵衛賞をとった直後の師匠がお墓参りをしている写真を使ってもらったんですよね。とまぁ、他にもグラビアとは関係のない仕事をいろいろ引き受けて、何とか生活していました。

――そこからどのようにしてグラビアの仕事に繋がったんでしょう?

Takeo 明確なスタートがあったわけではないので、どこからどう繋がっていったか、具体的なことはあまりちゃんと覚えていないのですが(笑)、カメラマンとして転機になったのは、成海璃子ちゃんの写真集『12歳』(リトルモア)でしたね。

リトルモアは、出版以外に映画制作もやっている会社で。そこでうちの師匠が短編映画を作るというので、僕もちょっとだけ編集の手伝いをやらせてもらっていたんですよ。そしたら、いきなりリトルモアの社長が「お前、写真集撮ってみるか?」と声をかけてくださって。

――そ、そんなうまい話があるんですか!?

Takeo 僕も「えっ、マジっすか!?」ってビックリしましたよ(笑)。一応、これまで撮ってきた写真はお見せしていたんですけど、自信を持ってアピールできる写真もなかったですし、そもそも写真どうこうでお話をいただけた感じでもなくて。

とはいえ、僕も独立してから6年ほど経っていた頃でした。「この写真集で何かを残せないとマズイな」と覚悟を決めて、死ぬ気になって臨みましたね。何ページ目にどんな写真を載せるか、あらかじめ構成を決めてから撮影に行って。あまりに力を入れていたために、撮影が終わってから2~3ヶ月は放心状態になっていたほどでした。

――事前にページ構成を考えてから撮影するなんて、雑誌のグラビア以上にボリュームのある写真集にしては珍しいやり方ですよね。どんな風に構成を考えられたんですか?

Takeo 12歳って、ちょうど小学校を卒業する年齢じゃないですか。舞台は、冬の石垣島。冬から春に移り変わる季節感のなか、璃子ちゃんの年相応な素朴さを見せるには、どう抑揚を付けるのがいいかを考えて構成していきましたね。最後は、桜の下で制服を着たカットを撮る、みたいな。

ただ、そうやって、いちおじさんが勝手にその子のイメージを植え付けるようなストーリー考えていいのだろうか?というのは、ここ最近の悩みでもあります。

ある程度、設定がある方が女の子もやりやすいだろうと思う反面、普段やらないポーズがそのままイメージに繋がっちゃうのは、女の子に対して申し訳ない気がしていて。今は、その辺をかなり気にして撮っているので、璃子ちゃんの写真集は、若い頃だったからこそ撮れた写真集でもありますね。

――死ぬ気で撮った写真集。やはり、それなりに反応も大きかったですか?

Takeo そうですね。この写真集を持って営業に行ったら、次々と撮影が決まりましたよ。いろんな出版社の方から、直々に連絡もいただきましたしね。なかでも、僕に大きな影響を与えてくれた仕事は、ヤンジャンで撮らせてもらった佐々木希ちゃんのグラビア。それは、僕にとって2度目のヤンジャンで。

1度目は、女子プロレスラーの方を撮らせてもらったんですけど、それはグラビアというよりは女性アスリートの特集ページだったので、希ちゃんは、実質、初めて撮らせてもらったヤンジャンのグラビアだったんですよね。

当時は、ヤンジャン主催の誌面オーディション「ギャルコン」が初開催された年(2005年)で、希ちゃんは、決勝に残った3人のうちのひとりでした。まだ無名だったにもかかわらず、笑顔がものすごくかわいくて。「この笑顔は人を幸せにするなぁ」と癒しを感じたとき、僕が撮りたいのはコレだと思ったんですよね。

――笑顔、ですか?

Takeo はい。それまでは、かつてのグラビアにありがちなニコパチ感が全く好きじゃなくて。真正面から笑顔を撮ったらおしまいだ、くらいの気持ちで、あえて笑顔を避けて撮っていたんですよ。

璃子ちゃんの写真集も、璃子ちゃんが撮影に向けた笑顔を見せる前に撮り切るつもりでいたので、笑顔というよりも、クールな表情が多めに写っています。それはそれで、いい写真集だと自負しているものの、希ちゃんと出会ってからは、見る人を幸せにする笑顔を撮るのがいちばんじゃないかと。撮影に対する気持ちもガラリと変わったんです。

――Takeoさんのグラビアといえば笑顔のイメージでしたが、その始まりは佐々木希さんだったんですね。

Takeo そのあと、モデル・女優として、希ちゃんもどんどん人気者になっていって。僕も定期的にヤンジャンからお仕事をいただけるようになりました。僕の写真が希ちゃんの人気に火をつけたとまでは言いませんが、グラビアは、女の子をひとつ上にあげてあげる場所であることは間違いない。

となると、いかに多くの読者にグラビアを見てもらって、好きになってもらうかが重要じゃないですか。書店やコンビニに並んでいる雑誌のなか、とびきりかわいい笑顔の女の子がいたら自然と目が行くし、手に取りたくなりますよね。

せっかく水着グラビアに挑戦してくれたわけだし、笑顔の力でどんどん飛躍していってほしい。それが、僕がグラビアを撮り続けるうえでの願望なんですよね。

――逆に、週プレのグラビアはどうですか? 雑誌の特色としては、ヤンジャンのような漫画誌と違って、明るいだけじゃない陰なグラビアも多く掲載されています。

Takeo 週プレは、縛りが少ないので、自由に撮らせてもらえる楽しさがありますよね。それこそ、多少笑顔が消えても、女性らしい魅力がグッと引き立っていればOKな場合もあるでしょうし。それでも、個人的にはやっぱり笑顔のグラビアが好きなので、週プレで自由に撮らせてもらったとしても、結局笑顔が多めの明るいグラビアになっちゃっている気がしますね(笑)。

――そこも含めて自由ってことですよね(笑)。それでいうと、最初に週プレで撮ったグラビアは何だったんですか?

Takeo まさしく、璃子ちゃんの写真集のあとにご連絡をいただいて。まだAKB48が黎明期だった頃、担当編集の方から「大島優子ちゃんって子がいるんだけど」と電話がかかってきたのを、今でも鮮明に覚えています(笑)。そのときは、確かスケジュールが合わなくて撮影はしなかったんですけど。

――最初はAKB48のグラビアを撮ることが多かった。

Takeo そうですね。AKB48のグラビアって、週プレにしてはどこか漫画誌的な明るさがあったというか。そういう明るくて爽やかな雰囲気の方が、僕には合っているんだろうなぁとつくづく実感しますね。

今もたまにヌードグラビアの撮影依頼が来ることがあるんですけど、「得意ではないので......」と言って、お断りしています。独立直後、グラビア以外にいろいろ撮ってきた経験がある分、今は笑顔に特化したカメラマンでありたい気持ちが特に強いですね。


Takeo Dec.(たけお・でぃっせんばー) 
写真家。1970年生まれ、埼玉県出身。 
趣味=無趣味すぎなので流行りのキャンプ始めてみました 
写真家・ホンマタカシ氏に師事し、1999年に独立。
週刊プレイボーイのほか、週刊ヤングジャンプ、週刊ヤングマガジン、週刊少年サンデーなど、各誌でグラビアを撮り下ろす。主な作品は、成海璃子『12歳』、佐々木希『nozomi』、前田敦子『あっちゃん』、武田玲奈『short』、篠田麻里子『Memories』(桑島智輝氏と共著)、山田南実『みなみと』、川崎あや『ジャパニーズグラビア』、十味『とーみにこ』、沢口愛華『背伸び』、柏木由紀『Experience』、田村保乃『一歩目』など。明るく笑顔を捉えた写真が特徴で、タレントからの支持も多く集めている。

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